2020年の東京オリンピックが終わったら、スポーツチームの買収などが活発になると予想していたという池田氏。

「オリンピック前のこのタイミングというのは正直驚きました。親会社の日本製鉄(旧住友金属)にとっては、合併や社名変更などもあり、アントラーズを保有するメリットを見直さなければならない状態が続いていたのでしょう。それにしてもアントラーズはJリーグのなかでもトップクラスの名門で、歴史も実績もある。スタジアムの場所も決してよくないのにすごく経営努力をしていて、集客力もかなり高い。そのチームが16億円というのは、日本製鉄が“売りたかった”からというようにも受け取れますが、この価格が今後のベンチマークになっていくとすると、プロスポーツチームの価値評価としてちょっと寂しい気もしますね」

ちなみに2011年、DeNAが横浜ベイスターズの経営権を取得したときの費用は、株式取得に65億円、NPBへの保証金30億円の計90億円。長年下位に低迷していた当時のベイスターズの金額と比べても、かなり安いといえるだろう。しかも当時は、野球人気も低迷以上に失落が叫ばれていた時代。その後ベイスターズの経営が様変わりしそれを契機にスポーツビジネス、プロスポーツチームの保有は新興系企業にとってアイドルのような存在となった。

今は、まさにオリンピックを前にスポーツブームの時代。そのタイミングでのこの買収は、メルカリにとってはメリットが大きいと池田氏は語る。

「今のところメルカリがなぜアントラーズを買収し、これから何をしていくのかがわかりませんが、会社としてのブランド力は間違いなくアップしますし、メルペイの普及にも貢献するでしょうね。メルカリのターゲットである若年層をJリーグに引き込んでいくきっかけにもなるかもしれない。どんなことをしてくれるか楽しみですし、どんどんJリーグ、サッカー界、日本のスポーツ界を非連続的に盛り上げてほしいと思っています。

でも門外漢的として最初に私が思ったのは、まずはアントラーズをメルカリのサイト上で売りに出すような盛り上げができていたら“非連続の進化への期待感”の醸成にもっともっとなっていたかもしませんよね(笑)。メルカリのルール上、そんなことができるのかわかりませんが、そうやってオープンな場所でスポーツチームの経営権の売買が行われたら、かなり話題になったと思います。リーグガバナンスが強いJリーグですし、日本製鉄のレピュテーションリスクや、事業譲渡の性質を考えたら、そういった手法は全方位的に歓迎されるものでもないかもしれませんが、買収発表は最大の注意喚起とメディア露出の機会ですからね」

もともとアントラーズのファンだったというメルカリの小泉文明社長は、「クラブと地域との三位一体でビジネスを推進していくことが極めて大事」、「アントラーズは地域の成功の象徴。地域の協力を得ながら三位一体でチームを強化していく」と地域密着型の経営をアピール。

まだ30代の若い社長がこれからどんな戦略を見せていくのか。新社長は誰になるのか? 新経営体制はどうなるのか? 楽天のように大物獲得がメインの戦略になるのか? それら含め今後どんな動向と非連続の進化をみせてくれるのが楽しみだ。




取材協力:文化放送

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