一昨年まで箱根駅伝を4連覇、昨年は優勝を逃し、主力選手も卒業。一強時代に終わりを告げたかと思った青山学院大学だったが、蓋を開けてみれば記録を大幅に更新する圧勝だった。

「今回の箱根駅伝を青学が勝つかどうかに注目して観た人も多かったのではないかと思います。そういう意味では、これから青学がかつてのプロ野球界のジャイアンツのようになるのではないかと思いました。全国的な注目を集め、スポンサーもつき、監督や選手がスターになる。監督がポケットマネーで選手をハワイに卒業旅行につれていくなんて、ほとんどプロと変わらないですよね」

毎年選手が変わる学生スポーツでは、長年好成績をおさめ続けるのは至難のわざだ。しかも駅伝は屈指の人気スポーツ。各大学とも箱根での勝利を目指し、選手の獲得・育成に力を入れている。

「原監督のスカウティング、指導力や戦術がすばらしいのはいうまでもありませんが、いまや全国の有力な高校生選手がもっとも行きたい大学になっているのではないでしょうか。すべてが青学中心にまわっているような状況に感じます。これだけ勝ち続けていますから、全国的な人気になっていますが、憎らしいくらいに強いからアンチ青学みたいな駅伝ファンもどんどん出てくるでしょう。昔のプロ野球でジャイアンツの選手以外がみんな打倒ジャイアンツを目指したような構図が出来上がりつつあるような気がします」

この対立構図が陸上界を活性化する力になりうると池田氏は語る。

「青学VS他大学という構図が生まれることで、より駅伝、陸上が注目されることになる。それで陸上界が活性化するなら、まったく問題ない。原監督にはどんどん頑張って欲しいと思います。私自身は大きな力に立ち向かいたい性格なので、青学を負かすようなチームの登場や巨人に対する阪神のような対抗勢力の登場に期待しますが(笑)」

テレビなどにも積極的に出演する原晋監督は、もはや全国的な知名度を得て、発信力も強い。箱根駅伝前に受けたインタビューでは、「日本の陸上界に一貫した育成・強化メソッドがないことが大問題。日本陸上界の未来のために日本陸上競技連盟を解体し、リスタートしなければならない」と発言、話題となった。

「陸上界にいながら、陸連の解体を公言し、しかもそれに対して表立ったクレームもない。そのこと自体、原監督が大きな力を得てきていることの証のようにみえます。原監督は箱根駅伝を全国の大学に開放するとか、国立競技場を使うといったプランを提案していますが、彼のような存在が陸上界をよりよい方向に導いていくことになればいいですね」

選手たちの奮闘の裏側で、日本の正月には欠かせないイベントとなった箱根駅伝。だが、視聴率30%のお化けコンテンツには、莫大なスポンサー料の行方や選手のボランティア問題など、不透明な部分も散見される。青山学院大学、原晋監督の活躍が、そんな“見えない壁”を突き破るきっかけになることを祈る。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部