PGAツアー(米国男子ツアー)は3月13日に一時中断したツアーを6月11日~6月14日の「チャールズ・シュワブチャレンジ」(テキサス州コロニアルCC)から再開させる方針であることを明らかにした。

そこから9月4日~9月7日の「ツアー選手権」(ジョージア州イーストレイクGC)まで14試合を開催して2019-2020シーズンを終えた後、9月10日~9月13日の「セーフウェイオープン」(カリフォルニア州シルベラードリゾート)で2020-2021シーズンを開幕。
その後、6月に開催予定だったメジャートーナメント「全米オープン」(ニューヨーク州ウイングドフットGC)を9月17日~9月20日に、4月に開催予定だった「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)を11月12日~11月15日に開催するという異例のスケジュールを発表した。

LPGAツアー(米国女子ツアー)も2月第3週の「ホンダLPGAタイランド」(タイ・サイアムCC)の開催を見合わせてから試合が行われていないが、7月15日~7月18日の「ダウグレートレークスベイ招待」(ミシガン州ミッドランドCC)からツアーを再開させる方針。
メジャートーナメントに関しては、7月に開催予定だった「エビアン選手権」(フランス・エビアンリゾートGC)を8月6日~8月9日に移し、昨年8月に渋野日向子が劇的な勝利を挙げた「AIG全英女子オープン」(スコットランド・ロイヤルトゥルーンGC)は当初の予定通り8月20日~8月23日に開催。

その後、4月に開催予定だった「ANAインスピレーション」(カリフォルニア州ミッションヒルズCC)を9月10日~9月13日に、6月に開催予定だった「KPMG女子プロゴルフ選手権」(ペンシルベニア州アロミニンクGC)を10月8日~10月11日に、同じく6月に開催予定だった「全米女子オープン」(テキサス州チャンピオンズGC)を12月10日~12月13日に開催するとしている。

欧州男子ツアーは3月第2週の「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」(カタール・エデュケーションGC)を最後に一時中断しているが、最も早ければ7月30日~8月2日の「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」(イングランド・クローズハウスGC)からツアーを再開する見通しだという。

欧米諸国で新型コロナウイルスの感染が収束に向かっているかというと、決してそのようには見えない。ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国は世界最多となる100万人以上の感染者が出ており、欧州もスペインとイタリアが20万人以上、フランス、英国、ドイツは15万人以上の感染者が出ている(4月30日時点)。

それにもかかわらず、ゴルフツアーを再開させようとする気運が高まっているのは、欧米諸国の分析によると感染拡大はピークを過ぎたと判断していることに加え、外出制限の緩和や経済活動の再開に向けて動き出したいという強いチャレンジ精神が感じられる。

ゴルフは個人スポーツであり、ツアー再開に向けた準備もテクニカルコーチやフィジカルコーチなど少ない人数で行うことができる。試合会場への移動もチームスポーツに比べて少人数で済む。プライベートジェットを所有・レンタルする選手もいるので、移動時の感染リスクも比較的少ない。

試合会場には選手だけで100人以上、関係者も含めると数百人が集まることになるが、屋外スポーツで敷地も広大なので、ギャラリーの入場さえ制限すれば、密閉・密集・密接といった感染リスクは避けられると判断しているようだ。もちろん、試合会場に入る際には検温などの健康チェックを行い、会場内にウイルスを持ち込まない取り組みが徹底されるはずだ。野球やバスケットボールといったチームスポーツよりも先にゴルフが再開の意向を示したのは、こういった条件が有利に働いていると見られる。

一方、日本の感染者数はまだ1万人台であるものの、感染拡大がピークを過ぎたと言える状況にはほど遠い。日本男子ツアーは6月30日までのトーナメントを一時休止。日本女子ツアーは6月第1週の「ヨネックスレディスゴルフトーナメント」(新潟県ヨネックスCC)まで中止が決定している。
選手たちは一日も早くトーナメントが開催されることを願っているだろうが、PGAツアーが先陣を切ろうとしている中、その開催状況を見てからツアーの再開時期を決めるというのが現実的かもしれない。

米国と日本では国土の広さも人口も違うので、すべてが参考になるとは限らないが、今の状況でゴルフトーナメントを開催するためにはどういうことに注意すべきかというオペレーションの部分は見習うべき要素が多いと思う。

また、日本ではプロ野球やサッカーのJリーグなど他のスポーツよりも先にゴルフが再開することに対して反対意見が出る可能性もある。欧米と比べて横並び意識が強い国民性だけに、周囲の状況も見ながら再開時期を見極める必要がありそうだ。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。