開催に際しては「アース・モンダミンカップ」と同様に、プロゴルフトーナメント運営の指針となる「日本国内プロゴルフトーナメントにおける新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に則り、できる限りの感染予防対策を講じるという。選手・キャディー・大会関係者に対しては、PCR検査を全員実施する予定だ。

「アース・モンダミンカップ」では大会に関わる計821人がPCR検査を受けた。このうち817人が陰性で、4人が再検査。その中の1人が増幅不良のため判定不能という結果になり、判定不能者は大会直前に関与を控えることになった。

このような前例も踏まえ、今回はPCR検査の実施人数や実施のタイミングなどについてもあらためて検討されるだろう。「アース・モンダミンカップ」は出場人数144人の4日間競技だったが、「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」は出場人数108人の3日間競技なので、検査自体は前回よりもスムーズになりそうだ。

また、無観客試合のセキュリティー対策の一つとしてNECの顔認証システムを導入し、入場管理を徹底することでセキュリティー面でも対策を講じて運営するという。ぜひとも感染者を1人も出さずに大会を成功させてほしい。

■両大会の大きな違い

ただ、大会概要を見ると「アース・モンダミンカップ」と「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で明らかに異なる点がある。それはテレビ放送予定だ。「アース・モンダミンカップ」はテレビ放送が一切なく、その代わり初日から最終日までYouTubeの公式チャンネルでインターネットライブ配信を行った。一方、「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」のテレビ放送予定は、最終日の優勝決定シーンが地上波のフジテレビ系列27局ネットで8月16日16:00~17:25(VTR)という従来型の録画放送スタイルだ。

感染症対策の面では、インターネットライブ配信もテレビ放送も大きな違いはないだろうが、視聴者から見た大会の印象は大きく変わるかもしれない。優勝決定に至るまでの道のりはBS放送のBSフジ(8月15日13:00~14:55生中継)、CS放送のフジテレビONE(8月14日14:00~15:30、8月15日13:00~15:00、8月16日9:00~10:30生中継)、CS放送のゴルフネットワーク(8月15日7:00~11:00、8月16日7:00~9:00生中継)でライブ観戦できる時間帯もあるのだが、視聴者は最もライブで見たい場面をライブで見せてもらえないのである。

「アース・モンダミンカップ」で筋書きのないドラマの醍醐味を堪能した視聴者が、「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でテレビ局が筋書きを作ろうとする従来型の録画放送スタイルに満足できるのか一抹の不安を感じる。

■広がりつつあるライブ配信

同大会の無観客開催発表と同じようなタイミングで、動画配信サービスの「GOLFTV」が8月1日からLPGAツアー(米国女子ゴルフツアー)のライブ配信を日本でスタートすることを発表した。日本時間の8月1日~8月3日に開催される「ドライブオン選手権」(米国オハイオ州インバネスクラブ)を皮切りに、9月に日程変更された「ANAインスピレーション」(9月10日~9月13日、米国カリフォルニア州ミッションヒルズカントリークラブ)、10月に日程変更された「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」(10月8日~10月11日、米国ペンシルベニア州アロニミンクゴルフクラブ)のメジャー2試合を含む年内のほぼすべての大会をライブでもオンデマンドでも楽しめるという。

「GOLFTV」は視聴料金が発生し、地上波は視聴料金が発生しないので一概には比較できないが、なぜ米国の試合がライブで見られて日本の試合がライブで見られないのか。日本の試合は主催者とテレビ局がタッグを組んでおり、テレビ局の都合で放送時間が決められているからだ。

フジテレビがゴルフトーナメントの最終日である日曜日に地上波で生中継できないのは、15時~16時に中央競馬の生中継があることが理由なのは周知の事実。以前、男子トーナメントの生中継を15時までに終了するスケジュールで行ったことがあったが、天候の影響などで優勝決定シーンまで放送することができず、競馬中継の中でゴルフの結果を伝えたこともあった。

だが、「アース・モンダミンカップ」のライブ配信を楽しんだ視聴者は、ゴルフトーナメントの最終日が必ずしも日曜日ではなく、月曜日でも構わないことを知ってしまった。ただし、この大会は開催前から72ホール完遂のために予備日を設定していたので、日曜日が悪天候に見舞われた際、月曜日に順延という決断を下すことができた。

予備日の設定についてはJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)と主催者が協議して決めることになっているが、6月28日時点のJLPGAの説明では予備日が設定されている試合の中に「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」は含まれていなかった。したがって最終日が悪天候の場合は36ホール短縮競技になるし、初日から悪天候に見舞われた場合は27ホール実施でも競技成立になる。

大会開催という決断には大きな拍手を送りたいが、「アース・モンダミンカップ」のライブ配信と大会運営が素晴らしかっただけに、同じ無観客開催でもテレビ放送の内容などで極端に対比されるような事態にならないことを祈りたい。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。