ジョッキーの活動について

―どのような活動をしておられますか?
野中:毎週土日に、全国10か所にある競馬場で、レースに騎乗して1日最大で12レースを52週繰り返しています。

―1日12回試合しているのですか。
野中:依頼があれば12レース乗ることもあります。

―実際、どれくらい乗られますか。
野中:平均では6,7レースですが、12レース乗ったこともあります。

―多く乗る時の疲れはありますか。
野中:もちろんあります。だいたい木曜日くらいから乗る馬のレースをチェックしたり、一緒に走る馬の脚質を考えたりしてレースを組み立てていきます。そして、実際レースが始まったら、思っていた展開と違うことに対応していきながら、1レース1レースこなしていくという感じです。そのため、頭も使いますし、毎週日曜日が終わったら、「今週も無事に終わった」という安堵感がありますね。

―精神的にも疲れますか。
野中:そうですね。「お金がかかっている」ということを考えてしまうと余計なプレッシャーになってしまうので、レースに臨むときはフラットな気持ちでいきます。人気馬に乗るときは、責任が大きいですが、勝てた時はそれだけ喜んでくれる人も多くなるので、余計に気合が入りますね。

―そこのメンタルを整えるのも難しいのですね。
野中:人気馬で負けたとしても、次のレースが待っているので。結果を引きずることなく、次の馬に乗らなければいけなくて、メンタルをリセットして次へと向かうことを繰り返しています。

―木曜日から騎乗する馬のことも把握して、周りのライバルも把握するのは大変ではないですか。
野中:1レース最大18頭くらいなのですが、自分の乗る馬が勝てる力があるとすると、相手はあまり多くはありません。多くても4,5頭です。レースのレベルが上がってくると、その分相手は増えてきますが。あとは、ずっと乗っていると、ほとんどのレースを見ているので、馬の名前を見た時に、「こないだここで走っていた馬だ」とか、「どんなレースしていたか」などはわかるので。相手の馬を1から丁寧に調べるわけではなく、記憶と過去の映像を頼りにして考えていきます。

―月曜日から金曜日は何をしていますか。
野中:月曜日はお休みです。火曜日から金曜日までは、朝は各トレーニングセンターで馬の調教に騎乗して、その週に乗る馬やその翌週に乗る馬の最終追い切りに乗ります。それが終わってからはフリーなので、トレーナーとトレーニングをしたり、レースの予習復習をしたりしています。

―ジョッキーをしていて一番難しいことは何ですか。
野中:物事を話せない相手と一緒に競馬をやっているところですね。馬と話せたらどれだけ楽かと思うくらいです。馬によっては気分屋だったり、頑固だったりして、馬の仕草や雰囲気など、今までの経験を重ね合わせて感じ取りながらやっていくので、生き物と一緒にやっているという難しさがあります。

―今までで一番のハプニングはありますか。
野中:馬に振り落とされることがあるので、気性の難しい馬に乗っている時はいつもより気を遣います。中には人の落とし方をわかっている馬もいて、走るのが好きではない馬に乗るとコースに行く時に落とされるので、難しいなと思いますね。

「他のスポーツと違う」ジョッキーとファンの関係について

―楽しい瞬間、嬉しい瞬間について教えてください。
野中:レースに勝った時ですね。1着と2着ではゴール板を通過する時の風が違います。何万人というお客さんがいる中で勝つと、歓声もすごいですし、生で声をかけてもらうのが嬉しいですね。そして、オーナーさんや、管理する調教師の先生、普段馬のケアをしてくれる厩務員さんなど、みなさんが喜んでくれるので、嬉しいです。

―ジョッキーとファンサポーターとの関係について教えてください。
野中:良い時は良いですが、嫌な時は嫌ですね。他のスポーツと違って、「お金がかかっている」というのが大きい要素で、お客様の大事なお金をかけているので、当然負けた時はヤジが飛んでくることがあります。でも僕らも、ファンの人たちが買ってくれる馬券から賞金が出て、生活ができているので、お客さんがたくさん来てくれて馬券を買ってくれるのはとてもありがたいです。

―ヤジが飛んでくるのですね。
野中:飛んできますね。僕の感覚では、関西より関東の方が、ヤジが飛んできます。

―そのヤジとどうやって向き合っていますか。
野中:気にしないようにしています。

―メンタルが強いですね。
野中:この職業をしていくと強くなるのかもしれません。

―毎週大金がかかった試合をしていると強くなりますよね。
野中:気にしていられないですね。1レースだけで何十億も動いていると考えてしまうとやっていけないので、周りの人たちもレースの時はお金のことは気にせず、自分が如何にして勝つかしか考えていないですね。お金がかかっていることは考えても仕方ない要素かなと思います。

―野中さんのことを応援しているコアファンの方はおられますか。
野中:ありがたいことにいらっしゃいます。

―そういう人は支えになったり、力をくれる存在の一人だったりしますか。
野中:競馬の場合、パドックというレース前に馬の状態をチェックする場所があるのですが、馬や厩舎、ジョッキーの横断幕を張れるスペースがあって、そこで自分の名前の横断幕を見るととても嬉しくなります。わざわざ横断幕を作ってくださって、競馬場まで足を運んで付けてくださると気合が入りますね。あと、勝った時にウイナーズサークルで写真を撮るのですが、そこで「サインください」と言ってもらったり、「プレゼントです」と言ってお菓子をくださったりする方もいて、とても嬉しいですね。

―応援してくださる方の存在は大きいのですね。
野中:そうですね。スポーツをやっている人はみんなそう思っていると思います。

「少しでも距離感を縮めていけたら」

―PasYouのどの点を魅力に感じていただけましたか。
野中:僕は小学生の頃から競馬を見ていて、競馬ファンとして夢を見てこの世界に入りました。実際ジョッキーになった時に、中学生の時から見ていたジョッキーの人と一緒のレースに参加することになって、最初は「テレビで見ていた人だ」とか「ゲームに出ていた人だ」と思いました。当然、勝負の世界なので、倒していくつもりで臨んでいますが、レースがない時にその人たちとコミュニケーションを取って、「昔から応援していました」と伝えたこともあります。また、あまりうまくいっていない時にそういう先輩方からアドバイスをもらうと、すごく励みになります。なので、応援している人からメッセージをもらうことは、その人の生活や仕事の中で良いモチベーションになるのではないかと思っています。競馬は他のスポーツと違って、ファンとジョッキーの間に若干距離があるので、このコンテンツを機に、少しでも距離感を縮めていけたらと思います。

―特にこういう人にメッセージを届けたいというイメージはありますか。
野中:小中高生でも大人でも、何か自分がやりたいと思っていることに対して頑張っている人たちの励みになればと思っています。

―連載企画で伝えたいことはありますか。
野中:僕は小さい頃からスポーツが得意な方ではなくて、中学生の時の通知表も5段階評価で「オール3の体育4」のような「ザ・平凡」な生徒だったのですが、小学校高学年くらいから「ジョッキーになりたいな」と思ってコツコツ努力をして、ありがたいことに競馬学校に入れました。競馬学校に入ってからも3ヶ月ごとに試験があるのですが、実技の成績が点数で出されて、10点満点で小数点第二位まで出て、廊下に張り出される形式で、同期が6人いた中で最初は5位でした。「ここから上を目指すしかない」と思い、コツコツ頑張って自分なりに努力して、卒業前の最後の試験で初めて1位を取ることができました。スポーツ選手で活躍する人は、最初から飛びぬけてうまい人が多いというイメージがあると思います。ですが、それだけではなく、僕のような人の経験を通して、「コツコツ努力することによって、自分のやりたいことができて、成績が伴ってくるよ」ということを伝えていきたいと思います。

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VictorySportsNews編集部