ZOZOは2019年からPGAツアー(米国男子ツアー)の「ZOZO CHAMPIONSHIP」のタイトルスポンサーを務めている。トーナメントのタイトルスポンサーを務める企業は一般的に、自社が主催するトーナメントに出場するのにふさわしい選手を探し、ホストプロやホステスプロとして所属契約を締結するケースが多い。なぜZOZOは男子選手ではなく女子選手と所属契約を結んだのか。また、女子選手の中でも活躍が際立っている“黄金世代”や“プラチナ世代”ではなく、なぜ上田桃子だったのか。

 その理由はZOZOが報道関係者に配信したリリースでうかがい知ることができる。一つ目は上田が2007年に最年少賞金女王に輝いて以来、2020年の全英女子オープンで自己最高位の6位に入賞を果たすなど、国内外で広く活躍する女子プロゴルファーであり、公式インスタグラムが高いファッションセンスにも注目が集まる人気アカウントで、フォロワー数が10万人を超えていること。

 二つ目は上田自身がZOZOTOWNのヘビーユーザーで、以前からファッションの購入を楽しんでおり、ZOZOTOWNユーザーの平均年齢とも近いことから親和性が高いプロゴルファーの一人であること。

 三つ目はゴルフがウェアやグッズなどファッション面での注目が集まるだけでなく、大会中はメイクアップしてプレーする選手が多いのでコスメも楽しめるスポーツであり、ZOZOTOWN上のゴルフアイテム専門ゾーン「ZOZOGOLF」、3月18日にサービスを開始したコスメ専門モール「ZOZOCOSME」、フェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」とのシナジーにも期待できること。

 四つ目はゴルフがプレーにおいてフォームの正確さやウェアの機能性が非常に重要であることから、3D計測用ボディスーツ「ZOZOSUIT2」などの計測技術の応用の可能性も検証・研究できること。

 これらの理由により、ZOZOのさまざまな事業との関連性が強いことから、男子選手ではなく女子選手との契約を選んだわけだ。また、“黄金世代”や“プラチナ世代”ではなく上田だったのは、ZOZOTOWNユーザーの平均年齢と近いことが一番の理由のようだ。

同世代の選手が第一線から退く中、トップ選手として輝き続ける

 上田は1986年6月15日生まれの34歳。東海大学付属第二高校(現東海大学付属熊本星翔高校)を卒業した翌年の2005年プロテストで一発合格を果たし、ツアー実質1年目の2006年シーズンで賞金ランキング13位に入り、初シードを獲得した。

 そして2007年4月に地元熊本開催の「ライフカードレディス」でツアー初優勝を挙げると、6月の「リゾートトラストレディス」、7月の「スタンレーレディス」、11月の「ミズノクラシック」と「大王製紙エリエールレディス」で年間5勝を挙げ、史上最年少で賞金女王の座に輝いた。

 2008年シーズンからは主戦場を米ツアーに移し、賞金ランキング45位でシード権を獲得。2013年シーズンまでシードを守り続けた。その間、日本ツアーにも出場を続け、2008年6月の「We Love KOBE サントリーレディス」、9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」、2009年8月の「アクサレディス」、2011年11月の「ミズノクラシック」で勝利を挙げている(ミズノクラシックは米ツアーの資格で出場したため、海外優勝回数に加算)。

 2014年シーズンから戦いの舞台を再び日本に移し、8月の「CAT Ladies」と11月の「樋口久子 森永レディス」で年間2勝。30代になってからも2017年5月の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」、10月の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」、2019年3月の「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」、6月の「ヨネックスレディス」で勝利を積み上げている。

 30歳を過ぎたらベテランと呼ばれる今の女子プロゴルフ界。1学年上の宮里藍が現役を引退し、同学年の諸見里しのぶもツアーの第一線から退いた中、34歳の上田が今もトップ選手として活躍を続けており、企業からも宣伝効果が高い選手として注目を集めているのは素晴らしい。

 上田はZOZOとの所属契約について、自身のインスタグラムで次のようにファンに報告している。

「父がアパレルの仕事をしていた事もあり、小さな時からファッションには凄く興味があったのでプライベートでは買い物に行って気分転換をする事が多い私でしたがZOZOさんのサイトを知ってからはシーズン中の忙しい中でも、ファッションを楽しむ事が出来ています」

「ファッションの世界で(中略)ユーザーのために常に新しいことにチャレンジされているZOZO さんとご一緒させていただく以上、私自身もチャレンジという部分では負けないよう、ZOZO さんの心強いサポートを受けて、精一杯頑張っていきたいと思います!」(いずれも原文ママ)

 2021年シーズンが始まって4試合終了時点という異例のタイミングでの所属契約発表だったが、契約発表から5試合目の「パナソニックオープンレディース」で“黄金世代”の大里桃子とのプレーオフを制し、さっそく勝利を挙げた勝負強さは尊敬に値する。ZOZOのロゴマークを身につけた上田がこれからもベテランの健在ぶりを見せつけてくれそうだ。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。