そして4月に松山英樹が「マスターズ」で海外メジャー初制覇の快挙を達成したことで、ゴルフ練習場やゴルフ場により多くの人たちが集まるようになったと感じる。そんな矢先に笹生優花が「全米女子オープン」で史上最年少優勝を成し遂げ、ゴルフブームにますます拍車がかかるかもしれない。

 ゴルフ業界は近年、ゴルフ人口の減少を食い止めようと試行錯誤を重ねてきたが、目立った成果は得られなかった。団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が定年退職を迎えていった2015年前後にゴルフ人口が一気に減るのではないかと懸念されていたが、幸いにもこの世代は今でも元気にゴルフ場に足を運んでおり、何とか危機を免れた。ただ、2025年には団塊の世代が後期高齢者の年齢に達するため、今度こそゴルフ人口が急減すると見られていた。

 そんな悲観的な状況の中、渋野日向子が2019年8月の「AIG全英女子オープン」で42年ぶりの海外メジャー制覇を達成し、ゴルフが注目される大きな契機となった。その後、新型コロナウイルスの流行による新しい生活様式の普及により、生活の中にゴルフを取り入れる人が増えた。そして今、松山と笹生の快挙により、ゴルフに対する関心がこの上なく高まっている。

 しかし、以前からゴルフをしている人間から見ると、このところちょっとした異変が起こっているような気がする。それは「土日祝のプレー料金が以前と比べて高くなっているのではないか」という点だ。

値上がりした?土日祝のプレー料金

 私はここ数年、1カ月に1~2回のペースでラウンドに行っている。平日でも土日祝でもスケジュール調整が可能なのでプレー料金が安い平日にラウンドすることのほうが多いが、同伴競技者やコンペ参加者の都合により土日祝にラウンドすることもある。割合としては平日7割、土日祝3割くらいのバランスだ。そして土日祝にラウンドする場合は、平日のだいたい1.5倍の料金というイメージを持っていた。つまり、平日1万円のコースであれば、土日祝1万5000円という感覚である。

 ところが今年に入ってから、土日祝の料金が平日と比べて1.8倍から2倍くらいになっているのではないかと感じるラウンドがいくつかあった。最初は気のせいかと思ったが、毎年同じ時期に同じコースで開催されているコンペの料金が明らかに高くなっている印象を受けたので前年の明細書を探して見比べたところ、2000円高くなっていた。

 もちろん最近のゴルフ場のプレー料金は、同じ月でも予約が多い日と予約が少ない日で異なることもあるし、予約を入れるタイミングによっても異なるケースがあるので一概には比較できない。ただ、肌感覚として今年は土日祝のプレー料金が例年と比べて高い印象を受ける。

 この感覚は個人的なものかと思い、何人かのゴルフ仲間に話を聞いたところ、やはり今年に入ってから土日祝のプレー料金が高くなっていると感じており、予約も非常に取りづらくなっているという。

長い目でみたゴルフ業界の発展のために

 ゴルフ場のプレー料金は基本的に需要と供給のバランスで決まる。新規参入ゴルファーの増加により需要が増えている一方で、今の日本は新設コースの開業による供給量の増加はゼロなので、プレー料金が上がっているのだろう。ゴルフ場もコロナ対策で多少の投資を余儀なくされており、地域によっては酒類の提供を中止したことによって客単価が減少しているので、プレー料金を値上げすることによって収益を確保しているのかもしれない。

 だが、利用者目線で言わせてもらえば、土日祝はコースが混んでいて予定のスタート時間にティオフできないことが多く、コースに出てもホールごとに待ち時間が発生し、ハーフ2時間30分で回れればマシなほうで、ひどいときは3時間近くかかる。そのせいで昼休憩も極端に短かったり長かったりすることがある。

 帰りの渋滞を避けるため早めのスタート時間を予約し、14時前にはホールアウトできるだろうと計算しても、上がってみたら結局15時前後で、交通情報を見ると帰り道は渋滞の発生を示す赤いラインで塗りつぶされている。

 その埋め合わせとして何らかのサービスがあるなら、まだ気持ちも少しは晴れるのだが、提供しているサービス自体は平日とまったく変わらない。それであれば土日祝のラウンド数をできるだけ減らして平日のラウンド数を増やしたほうが、経済効率がいいしストレスなくゴルフが楽しめる。

 私個人は別にそれでいいが、かわいそうなのは土日祝しかラウンドできない人たちだ。若い世代の多くは平日に仕事をしており、土日祝にラウンドの予定を入れている。実際、平日に比べて土日祝は若い人の数が圧倒的に多い。彼らにとって「ゴルフはお金と時間がかかりすぎるスポーツだ」と思われてしまうのは、せっかくのゴルフブームに水を差すことになりかねない。

 土日祝プレーの需要が高まっているので土日祝の料金を値上げしたいというゴルフ場の気持ちも分かるが、ゴルフ業界の発展を長い目で見た場合、若年層に安価なプレー環境を提供する新たな仕組みが必要かもしれない。

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保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。