キャプテン不在の間、ジャイアンツのショートを守ったのは、廣岡大志、増田大輝、湯浅大、中山礼都、北村拓己の5人。坂本が離脱した当初は特に守備面で不安を露呈し、次々と選手を入れ替えて起用していたが、5月8日以降は、高卒2年目の中山が全試合でスタメンを任されている。

 肩が強く、フットワークのいい守備に加え、レフトやセンターへキレイにはじき返すシュアなバッティングで坂本の代役を務めてくれている中山。ジャイアンツファンとしては、将来を見据えて使い続けてほしいという思いもあるが、現状2割前後の打率にとどまっていることから、今シーズンはレギュラー奪取とはいかず、復帰とともにキャプテンが定位置に戻ることになりそう。

 ただ、右打者として史上最年少で通算2000本安打を達成したレジェンドプレイヤーも33歳。まだまだ老け込む年齢ではないが、今回の故障個所が右膝ということ、負担が大きいショートという守備位置も考えると、シーズンオフにはいよいよコンバートを具体化しないといけない時期に来ている。

 高卒2年目の2008年にショートのレギュラーに定着して以降、昨シーズンまで14年連続で100試合以上に出場。ベストナイン7回&ゴールデングラブ賞5回を獲得する活躍でチームをけん引してきたキャプテンだが、今回の右膝に加え、開幕前にも脇腹を痛めて戦列を離れるなど、年齢とともにシーズンを通して万全の体調を保つのは難しくなってきているのは確か。

 近年の名ショートとして名前が挙がる宮本慎也さん(元スワローズ)、鳥谷敬さん(タイガースなどで活躍)、石井琢朗さん(ベイスターズなどで活躍)も現役晩年はショートよりも負担の少ないサードにコンバートされている。また、レギュラーとしてショートを守った期間を見ても、宮本氏が1996年~2008年の13年、鳥谷氏もタイガース時代に13年(2004年~2016年)、ベイスターズ時代の石井氏も13年(1996年~2008年)と、内野守備の要であるショートを守り続ける勤続疲労を考えてもそろそろ頃合いだろう。

 3人と同様、坂本もショートと比較的動きの近いサードにコンバートするのが一番よさそうだが、そこには2年連続2冠王の4番・岡本和真がいる。となるとセカンドかファーストになるが、セカンドも運動量が多く、膝を故障したことも考慮すると、コンバート先はファースト一択なのか。ただ、ここにも今ジャイアンツファンが一押し(!)の増田陸が猛アピール中で、今は沈黙しているものの打点王3回でファースト守備も上手い中田翔もいる。

 ということで、坂本のコンバートが実現した場合、ジャイアンツの布陣がどうなるのかシミュレーションしてみた。

<坂本をサードにコンバートした場合>
必然的にサードの岡本和がファーストにコンバートされそう。ショートは中山がそのまま守るのか、今季スローイングが安定してきたセカンドの吉川尚輝が本来の守備位置であるショートに戻るかもしれない。もしくはファーストからはじき出されたユーティリティ選手・増田陸のショートもある。増田陸ももともと高校時代はショートが本職。坂本の高校時代の恩師・金沢成泰監督の薫陶を受けていた経緯もあって、坂本がかつてつけた61番を背負っているというドラマが絡むのもいい。

<坂本をファーストにコンバートした場合>
岡本和がそのままサードを守り、セカンドとショートは前述と同じだが、そのままショート中山&セカンド吉川でいくのか、ショート吉川でセカンドは中山もしくは増田陸、セカンド吉川でショートが中山&増田陸の争いになるのか。ファースト坂本って大丈夫?という疑問も出るが、2013年に3試合で守った経験あり。背が高くハンドリングもいいので当時はそつなくこなしていた印象があるし、キャンプなどで準備すればファーストでもゴールデングラブ賞を受賞できる気がする。


 シミュレーションしてみると、どちらかというとファーストへのコンバートがいい気もするがどうなるのか。いずれにせよ、シーズンオフに下されるだろう原辰徳監督の判断に委ねられるので、常勝軍団を築くために指揮官がどんな決断を下すのか大いに注目したい。

 ちなみに、サード坂本、ファースト坂本のどちらになった場合も中田がはじき出されることになるので、中田はファイターズ時代に守ったレフトにいくしかない? ただ、今の中田が外野を守れるのかという問題もあるし、グングン守備が上達しているアダム・ウォーカーが日本でどこまで成長していくのかを見守りたいという気持ちもあって悩ましい。さらに、ファームで主にレフト、ファーストを守っている秋広優人のポジションはどこにすれば? などと妄想している時が、いち野球ファンとして至福の時間だったりする。


越智龍二

1970年、愛媛県生まれ。なぜか編集プロダクションへ就職したことで文字を書き始める。情報誌を中心にあらゆるジャンルの文字を書いて25年を超えた。会ったら緊張で喋れない自分が目に浮かぶが、原監督にインタビューするのが夢。