日本はグループBで韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、中国と同組になりました。FIFAランクで考えると、日本が18位でアジア1位、韓国が24位でアジア3位、UAEが69位でアジア8位、中国は79位でアジア11位です。
他の組にはたとえばタジキスタン109位、マレーシア137位、インドネシア145位などが入っていて、上位チームと大きくかけ離れています。他の組に比べて非常に難しいグループに入ったと言えるでしょう。
日本は1968年メキシコ五輪に出場して3位になったものの、その後は本大会出場に苦労し、次に出場できたのは1996年アトランタ五輪のときでした。その後は2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪、2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪、そして2020年東京五輪(2021年開催)と、連続して本大会に出場しています。
ずっと本大会に出続けているので、アジア予選は簡単なものに思えるかもしれません。ですが、実はどの大会も苦労して本大会への切符をつかんできました。決して楽に戦い抜いているわけではないのです。
特に今回の予選は苦労するかもしれません。その理由は日本サッカーが進歩したからとも言えます。
というのも、今や五輪世代でもたくさんの選手が海外で活躍しているからです。たとえば2016年リオ五輪の予選の際には、海外でプレーしていた選手は南野拓実(ザルツブルク/オーストリア:当時)、久保裕也(ヤングボーイズ/スイス:当時)くらいでした。
ですが今や11月18日に行われたU-22日本代表とU-22アルゼンチン代表の試合で、先発メンバーのうち国外でプレーしているのは藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン/ベルギー)、鈴木唯人(ブレンビー/デンマーク)、佐藤恵允(ブレーメン/ドイツ)、小田裕太郎(ハート・オブ・ミドロシアン/スコットランド)と4人います。
ベンチにも山本理仁(シント・トロイデン)、福井太智(バイエルン/ドイツ)、福田師王(ボルシア/ドイツ)がいましたし、これまで招集された選手には鈴木彩艶(シント・トロイデン)、内野貴史(デュッセルドルフ/ドイツ)、チェイスアンリ(シュトゥットガルト/ドイツ)もいます。さらに言えば、久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)もパリ五輪世代です。
この選手たちが2024年4月に開催されるU-23アジアカップに来られるかどうか、という問題があります。4月といえばヨーロッパ各国のリーグは終盤戦。しかも4月にはインターナショナルマッチデーが設定されておらず、強制力を持った招集はできません。
そのため、どういう戦力を集められるのかという問題が生じてしまいます。そしてそんな選手の問題を解決したとしても、それでも予選そのものは難しいのです。
ただし、この世代はたとえどんな困難があっても必ずパリ五輪出場を勝ち取らなければなりません。
それは東京五輪のメンバーを考えてみれば分かることです。前回大会のメンバーには、久保、大迫敬介、鈴木、中山雄太、板倉滉、旗手怜央、冨安健洋、橋岡大樹、町田浩樹、堂安律、三笘薫、相馬勇紀、田中碧、前田大然、上田綺世がいました。現在の日本代表にしっかり名を連ねています。五輪当時でも久保、堂安、冨安は日本代表の常連でした。
ですが、現在のU-23日本代表で、日本代表に入っているのは、すでに前回の五輪代表に入っていた久保と鈴木だけ。もしもU-23日本代表の選手が2026年アメリカ・カナダ・メキシコワールドカップのメンバー入りを目指そうと思うのなら、予選で活躍するのは当然で、五輪に出てグループリーグを突破し、上位進出してこそ初めて日本代表の候補入りしてくると思うのです。
逆に言えばそれくらいの活躍ができない限り、彼らはピックアップしてもらえないでしょう。ですから2024年U-23アジアカップはパリ五輪出場権がかかっているのとともに、将来の日本代表へのチケットもかかっています。
11月のワールドカップ・アジア2次予選を前に森保一監督は「当たり前に勝つほど難しいことはない」と語っていました。そして日本代表は、招集後にケガで選手が次々に入れ代わる中でも、ミャンマー、シリアを相手に「当たり前」に勝っています。
U-23日本代表も、予選の中ではいろいろな予想外の出来事が起きるとは思いますが、それでも「当たり前」に勝ち上がっていってほしいと思います。その先に彼らの未来があります。
U-23アジアカップ(パリ五輪予選)組み合わせ
▼グループA
カタール、オーストラリア、ヨルダン、インドネシア
▼グループB
日本、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、中国
▼グループC
サウジアラビア、イラク、タイ、タジキスタン
▼グループD
ウズベキスタン、ベトナム、クウェート、マレーシア