最多大会/最多試合出場

 ポルトガル代表のクリスティアノ・ロナウドは2004年大会から実に6大会連続の出場を果たしている。既に前回大会で5大会出場という最多記録を樹立していたが、今回で自らの記録を更新した。39歳の大ベテランは主将として、2大会ぶり2度目の優勝を目指すチームを牽引している。2023年から欧州のトップシーンを離れてサウジアラビアのアルナスルでプレーしているが、今大会は決勝トーナメント1回戦を終えた時点でノーゴールではあるが、1次リーグ初戦のチェコ戦では鋭い裏への抜け出しや打点の高いヘディングなど、切れのある動きを披露している。

 欧州選手権の通算出場試合数も29でトップ。ゴール数は元フランス代表の「将軍」プラティニの9点を大きく引き離す14点で1位に君臨している。W杯も5大会連続出場、そして5大会連続ゴールという唯一無二の記録を持っており、まさに大舞台が似合うスーパースターといえる。

 ロナウドに続き、今大会で5大会出場となったのはポルトガル代表の同僚で守備をまとめるぺぺと、クロアチア代表の精神的支柱であるモドリッチの2人だ。ドイツの守護神ノイアーは1次リーグ最終戦で通算18試合出場となり、イタリア代表の名手ブッフォンの17試合を上回ってGKとしての最多記録を達成した(決勝トーナメント1回戦で19試合に更新)。この先チームがどこまで勝ち上がり、記録を伸ばせるか。

最年長ゴール/最年長出場記録

 前述の通り、5大会目の欧州選手権を戦ったクロアチアの10番、モドリッチは24日の1次リーグ最終戦のイタリア戦で、38歳289日でゴールを決めて大会最年長得点記録を打ち立てた。後半9分にPKをいったんはGKドンナルンマに阻まれたが、その流れからの2次攻撃でこぼれ球を左足で蹴り込んだ。大会初勝利を目指していたチームにとって、前回優勝国からの貴重な先制点。勝てば自力でベスト16入りを引き寄せられる一戦だったが、後半アディショナルタイムに追い付かれて2分け1敗の勝ち点2に終わり、他組の結果を受けて1次リーグで敗退。小さな巨人、モドリッチは大会を去ることになってしまった。

 同じくポルトガルのベテランDFぺぺは41歳113日で1次リーグ初戦のチェコ戦に出場し、2016年大会でハンガリーのGKキラーリが樹立した最年長出場記録(40歳86日)を塗り替えた。レアル・マドリード(スペイン)を退団した後も、ベシクタシュ(トルコ)ポルト(ポルトガル)と強豪クラブを渡り歩くセンターバックは、ロナルドとともに攻守の柱としてチームを支えている。

最年少出場記録

 スペインの新星、ヤマルは1次リーグ初戦のクロアチア戦で先発し、大会史上最年少となる16歳338日でピッチに立った。3度の優勝を誇る強豪国の次代を担う逸材は3―0と快勝した一戦でチームの2点目に絡んだかと思えば、3点目をアシスト。さっそく期待に応えてみせた。所属するバルセロナ(スペイン)でもクラブの最高峰大会、欧州チャンピオンズリーグ(CL)でプレーするなど成長の階段をものすごいスピードで駆け上がっており、今大会のブレーク候補の一人といえる。ゴールを決めれば、2004年大会にフォンランテン(スイス)が記録した18歳141日の最年少記録を大幅に更新する。

 1次リーグ初戦のトルコ―ジョージアでは、トルコのギュレルが19歳114日で史上5番目の年少記録となるゴールを記録(同4位は「ピクシー」として知られるストイコビッチの19歳108日)した。やや右寄りの位置から左足で鮮やかなミドルシュートをゴール左へと突き刺した。スペイン1部リーグのレアル・マドリードでプレーし、2023/24年シーズンはリーグ戦で6ゴールをマーク。左利きのテクニシャンで、潜在能力の高さを今大会で示している。

チーム記録

 開催国のドイツは14大会連続14度目の出場で、これは欧州選手権の最多記録である。欧州選手権はワールドカップ(W杯)よりも歴史が浅く、1960年に第1回大会が行われた。ドイツは1972年大会から連続出場を続けている。今大会で唯一の初出場チーム、ジョージアは1次リーグ最終戦でポルトガルを破って見事にベスト16入りを果たした。

 前回優勝チームにとっては鬼門となっているのが決勝トーナメント1回戦で、2016年大会はスペイン、2021年大会はポルトガル、そして今大会はイタリアが敗退に追い込まれた。

 優勝はドイツとスペインが3度ずつで最多を誇る。ワールドカップ(W杯)優勝には縁がないオランダも1988年大会で頂点にたったことがあり、チェコスロバキア=当時=(1976年大会)、デンマーク(1992年大会)やギリシャ(2004年大会)といった伏兵もタイトルを手にしたことがある。

 欧州選手権はワールドカップ(W杯)よりもレベルが高いと言われる。今大会も現に1次リーグB組はスペイン、イタリア、クロアチアが同居。ワールドカップ(W杯)優勝経験国2チームと、直近2大会のW杯で準優勝と3位という実績を持つチームが序盤からぶつかり合うのだから(そしてクロアチアは早期敗退、イタリアもラウンド16で涙をのんだ)、約1カ月の戦いも気の休まるタイミングはないに等しい。決勝トーナメントは29日(日本時間30日未明)に始まり、決勝は7月14日、ベルリンのオリンピア・シュタディオンが舞台となる。


VictorySportsNews編集部