大谷は事前撮影の動画で会見に登場し、「子供の頃から大好きなおむすびは、今でも僕の原動力となっています。撮影でファミマのおむすびを食べましたが、お米、海苔のおいしさ、そして手で握ったようなふっくらさにびっくりしました。僕もファミマのおむすびとともに進化を続けたいと思います。ぜひCMもご覧ください! 僕と一緒にファミマのおむすびを食べましょう!」とコメント。特設サイト(https://www.famima-ohtani-omusubi.com/)もオープンした。
ファミリーマートは今回、人気のおむすびを刷新。目玉商品として、おにぎり専門店ぼんご監修による「新作」2種類と、1.5倍サイズの「名作」定番手巻きおむすび2種類をそろえ、「おむすび二刀流、解禁。」と題したキャンペーンを全国の店舗で3月4日から全国の1万6200店舗で開始。大谷を起用した新CMや店内デジタルサイネージ(ファミリーマートビジョン)、店頭横断幕やポスターなどが展開されている。

ファミリーマートが導入する手巻おむすび成型機は、「ぼんご」のおむすびを参考にしており、米と米の間に空気を抱き、最適な圧力で成型することでふっくらとした食感を実現。「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」をブレンドした米はもちろん、振り塩に「瀬戸内の藻塩」を使うなど素材にもこだわり抜いた逸品となっている。PRに大谷を起用した辺りに、商品への自信度がうかがえる。

今回のファミリーマートとの契約が発表された翌28日には、寝具メーカーの西川が大谷と睡眠コンディショニングサポート契約を結んだことも発表された。同社によるサポートは日本ハム時代から続き、今年で9年目。新ビジュアルが公開され、引き続きコンディショニング・マットレス、nishikawa[エアー]シリーズのイメージキャラクターとして新CMや広告ビジュアルに登場するという。

これまでもECC(英会話教室)、コーセー(化粧品)、dip(ディップ、人材サービス)、ポルシェ(自動車)、ヒューゴボス(アパレル)など、さまざまな業種の企業と契約してきた大谷。その数は現役メジャーリーガーで最多となる20社を超え、名立たるグローバル企業、有名ブランドが並ぶ。米経済紙フォーブスによると、2024年のスポンサー収入は6000万ドル(約90億円)。企業による大谷への”投資”は拡大の一途をたどっている。
なぜ、ここまで大谷は広告業界から熱い視線を浴びるのか。冒頭の会見に登壇したファミリーマートのエグゼクティブ・ディレクターCMO兼マーケティング本部長CCRO兼デジタル事業本部長の足立光氏は、「本格感を訴求する意味でも、世界のトップ・オブ・トップである大谷選手以上の存在はいないと考えた」と起用の理由を説明する。
2023年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では投打で活躍し、日本の3度目の世界一に貢献。昨季はメジャー史上初の「50-50」(フィフティ・フィフティ、50本塁打&50盗塁)を打者として達成し、右肘の手術を経て今季の復帰を目指す投手としてもエンゼルス時代の2022年に15勝を挙げるなどトップクラスの実力を持つ。そんな唯一無二の「二刀流」に挑み、成功を収める開拓者精神やストーリー性に、日米をはじめ世界が魅了されている。

それだけではない。関係者は「大谷選手の持つ魅力は、グラウンド上での圧倒的な存在感にとどまらない」と証言する。野球にひたむきに取り組む姿、真摯でストイックな姿勢が生むクリーンなイメージ、時に垣間見せる同僚や先輩にいたずらを仕掛けるような親しみやすさ。そうした要素が活躍とともにメディアを通じて世間に浸透し、大谷の“ブランド力”をさらに高めているという。
通常、野球選手は中高年男性からの支持が高いとされるが、大谷の場合は男女問わず若年層から中高年まで幅広い層から支持されており、同関係者は「誰からも愛されるスター」と表現する。実際に、コーセーのブランド、コスメデコルテの美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告モデルに起用された際には、百貨店の化粧品売り場の客層に明らかに変化。男性客が普段の13倍に増え、男性客による売り上げも7.5割増しになったという。ブランド価値の向上や国際市場での訴求力を期待する企業にとって、まさにこれ以上の存在はおらず、同社は3月6日に新たな広告ビジュアルを公開するなど大谷を継続起用。また、ECCが小・中・高校生を対象とした海外留学プロジェクト「ECC SHOW YOUR DREAMS」を共同で実施するなど、さまざまな社会貢献でタッグを組む例が多いのも特徴的だ。
3月4日にはファミリーマートの新テレビCMの放映が始まり、大谷が“ドヤ顔”で新作おむすびを披露する記者会見風のコミカルな演出が、SNSなどで好評を博している。同社の足立CMOは「昼食を控えて撮影に臨まれていました。『おいしいです!』と、合計19個をパクッと。撮影後も、たくさんおむすびを持ち帰っていました」と、ロサンゼルスで行われた撮影の裏話を披露。そんなスター然としていない、ほほ笑ましいエピソードが漏れ伝わってくる辺りにも、大谷の魅力が表れているといえるだろう。
ファミリーマートの細見研介代表取締役社長は「今回のキャンペーンでは、未だかつてない驚きの企画を用意した」と自信を見せる。とどまるところを知らない“大谷効果”に、今回も大きな注目が集まりそうだ。
さまざまなキャンペーンも実施

ファミリーマートでは、大谷が選んだ「最強のファミマおむすび打線」を当てると、抽選で1人に17万円分のQUOカードが当たるクイズキャンペーンを公式X(@famima_now)で3月4~9日に実施する。また、「ぼんご監修おむすび」の発売を記念して「おにぎり ぼんご」の店主、右近由美子さんとの「親子で行く田植えツアー」や宮城県産ひとめぼれ5キロを抽選で合計50人にプレゼントするキャンペーンも実施する。
睡眠の質向上のメリット語る
西川は、睡眠コンディショニングサポート契約を結ぶ大谷の新ビジュアルや睡眠について語るインタビュー動画などを公開した。同社と大谷の契約は大谷が日本ハムに所属していた2017年から続いており、今年で9年目。動画では「睡眠の質を上げるメリットは体の回復だけでなく、一日のリズムをコントロールできること。だからこそ最適な睡眠環境を整えてくれるnishikawaさんは、僕にとってすごく大切なパートナー」と話している。