J1昇格の長崎は遠藤の獲得に前向きも…

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今年もまたサッカー界が過熱する季節がやってきた。選手の契約更新や移籍などについての話題で盛り上がる、俗にいうストーブリーグの時期である。選手や監督の入れ替わりが激しいサッカー界ならではの風物詩だが、信憑性の疑わしい噂話からサプライズ移籍まで、報じられる記事の中身は千差万別。読者の関心は高く、我々記者も力の入る時期だ。そんな晩秋、目を見張るようなニュースが飛び込んできた。

遠藤保仁にG大阪退団の可能性――。

15日付の一部スポーツ紙でセンセーショナルに報じられたが、結論から言う。遠藤保仁は来季も青と黒のユニホームを身にまとう。まだ契約更新をしていないため、大どんでん返しが起こり得ないとは言いきれないが、2018年シーズン末まで契約を残しているG大阪のレジェンドがクラブを去る確率は現状、「0%」である。

あくまで私個人の取材ではという注釈付だが、某スポーツ紙の報道で正しかった部分が一部ある。それは来季J1に昇格する長崎が遠藤の獲得に興味を持っていたということだ。違約金を含めて、1億円超の年俸を支払う意思もある――。そういう情報は私の下にも入っていた。そのため、退団報道が出る前、遠藤本人に長崎からの接触について取材していた。

そのとき、彼は「何も聞いていない」といつも通りマイペースの返答をしていた。食い下がり「正式オファーが来たら検討するか?」と突っ込んだ。遠藤は少し考え「代理人や家族とも相談しながらですけど……。まあ断るとしても、すぐには断らない」と返してきた。〝断る〟というフレーズ。この時点でレジェンドが今、環境を変える気持ちが薄いことを察した。そして報道が出た15日、あらためて問いただした。「クラブとも契約が1年残っている」と口にした彼に大阪を離れる気持ちは、やはりないようだ。

「来年はメンバーもスタッフも多少なりとも代わる。新しい刺激を受けるのは良いこと。サッカー人生で色んな人と会って、色んなサッカーを学べる楽しみもある。5年間、長谷川監督とやって、また違う監督が来る。より大きなビッククラブになるためには、違うスタイルを付け加えつつ、数多くのタイトルを獲得することが絶対に必要。楽しみです」

G大阪でも得られる『新しい刺激』

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もちろん、他クラブへ移籍した方が、より多くの「新しい刺激」を受けることはできるだろう。だが、まもなく38歳となるベテランにとって、環境を変えることが必ずしもプラスに働くとは限らない。01年から17シーズンを過ごしてきたクラブを離れることは、同時に慣れ親しんだ環境や生活を捨てることも意味する。また、もし大阪に家族を残して単身赴任することになるのであれば、サッカー選手としてだけではなく、家族との過ごし方も変わってくる。

昨シーズン、元日本代表MF中村俊輔がジュビロ磐田に移籍したことが話題となったが、クラブに対する不満が大きかったからこそ、普通ではあり得ないレジェンド的選手の移籍が成立した。しかし、上記のコメントを見てもわかるように、遠藤はG大阪に対する不満を持っていない。

むしろ遠藤の視線は、すでに来季のガンバ大阪へと向いている。今季はすでにすべてのタイトル獲得の可能性が消失し、2季連続で無冠という苦汁を味わった。今季限りでの退団が決定している長谷川健太監督(52)に代わり、来季はレヴィー・クルピ氏(64)の就任が内定済み。今シーズン残り3試合に集中する構えを見せつつも、創造性を重視するブラジル人監督の下でサッカーができる喜びも隠さない。

もちろん、クルピ氏のサッカーにも遠藤は不可欠なパーツだ。クルピ氏がC大阪を指揮した当時、中盤の底のボランチと呼ばれるポジションには、羽田憲司、シンプリシオ、山口蛍といった守備能力の高い選手と、マルチネス、扇原貴宏ら展開力のある選手を並べることが多かった。今季の遠藤は、トラップミスやパスミスが目立ち、デュエルにも物足りなさを感じさせ、高いパフォーマンスを発揮できたとは言えない。それでも、味方からは「ヤットさんがいれば相手の急所を突く縦パスがスッと入る」と言われ、相手チームからすれば「攻撃のときも守備のときも、とても嫌なポジションを取ってくる選手。やりづらい」と畏怖される。目に見えない戦術眼や流れを読む能力は今でもJ屈指だ。若手ではU-20W杯で活躍したMF市丸瑞希が控えているとはいえ、来季は攻撃の起点として〝自由〟が与えられることが濃厚な中、マルチネスや扇原のような役割を担うことになるのは遠藤だろう。

もう一つ、遠藤が残留する大きな根拠がある。来年、ロシアで開催されるW杯だ。06年、10年、14年のW杯を経験している遠藤は、「滑り込み、狙ってますよ」と口にしており、自身4度目のW杯出場をあきらめていない。欧州遠征を行った日本代表にも、G大阪からは倉田秋、井手口陽介、三浦弦太、東口順昭の4選手が選ばれている。滑り込みで本大会のメンバー入りを目指すのであれば、彼らとともにプレーしていた方が、ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督の目にも留まりやすい。

ただ遠藤が永久的に青黒のユニホームを着て、ピッチを走り回ることはありえない。別れの時は、いつか必ずくる。遠藤というレジェンドの退団報道が出たというのは、その甘美な時間が残り少なくなってきている証左でもある。今後、さらに過熱していくであろうストーブリーグで、クラブは早急に〝ポスト遠藤〟を見つけなければならない。遠藤とともにプレーすることで、その選手が学ぶことも多いはず。この〝ポスト遠藤〟を探る旅も、今季のストーブリーグの大きなテーマになりそうだ。

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著者プロフィール 飯間健

1977年9月24日、香川県高松市生まれ。02年からスポーツニッポン勤務。06年からサッカー担当。名古屋、G大阪、浦和、鹿島、日本代表などを担当する。