日本にとって、非常に手強い相手

ストミール・オルシュティンでプレーした際、元ポーランド代表ストライカーのアルカディウス・ウォズニャックとマッチアップしたことがある。球際の競り合いで強さを持ち、ボールを保持できる間合いも広い。前への突破力と強烈なシュートは脅威で、ゴールへの執着心の強さも感じさせられた。
 
またチームメイトだったGKピョートレ・スキッバは、185センチとポーランドのGKにしてはそれほど身長は高くなかった。だが守備範囲が広く、敏捷性に優れ、幾度となく決定的なピンチを救ってくれた。PKをストップしたのも1度や2度ではない。的確なコーチングと安心感は我々DF陣にとっては非常に守り易く、非常に頼りになる存在だった。そのスキッバでも、代表経験は1度もない。このことからも、ポーランド代表GKのレベルの高さを痛感していた。
 
この2つの例を挙げたのは、紹介記事にあるようにポーランド代表の強みはストライカーとGKにあるからだ。名実ともに世界最高レベルのストライカーであるロベルト・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)等、近年多くの選手が国内外の大きなクラブで活躍し、充実した戦力を保持している。
 
昨年のEURO2016ではベスト8に進出。ブラジルW杯の欧州予選敗退以降、右肩上がりに結果を残してきている。今回のW杯予選では堂々とグループ首位通過を果たし、最新のFIFAランキングでも7位(11月23日発表)。コロンビア、セネガルもそうだが、日本にとって非常に手強い相手になることが予想される。

ピシュチェク、ブワシュチコフスキらが織りなすサイド攻撃

EURO2016、W杯欧州予選での基本布陣は、4-2-3-1及び4-4-2だが、先月の直近2試合の国際親善試合では3-4-2-1の布陣を試行した。
 
攻撃は10番のグジェゴシュ・クリホビアク(WBA、パリ・サンジェルマンからローン中)が中盤の底からボールを散らし、前をうかがい、ゲームメイクする。レバンドフスキにいかにいい状態であてられるかを探りながらビルドアップを行う。
 
スピードが持ち味のウィンガー、カミル・グロシツキ(ハル・シティ)、縦への推進力があるヤクブ・ブワシュチコフスキ(ボルフスブルク、元ドルトムント)に早めにボールをいれて、サイドバックとのコンビでサイド攻撃をする形も攻撃パターンの1つだ。
 
右サイドのコンビである、SBウカシュ・ピシュチェク(ドルトムント)、右MFブワシュチコフスキはドルトムントで香川真司選手とも長くプレーしており、レバンドフスキ含め、彼らを知っている日本の方も多いのではないだろうか。
 
EURO2016でレバンドフスキと前線でコンビを組み、彼の周りを衛星のように動き存在感を発揮していた、次世代のエースと言われるFWアルカディウシュ・ミリク(ナポリ)。今年9月に右ひざ前十字靭帯を損傷し現在リハビリ中だが、ミリクが離脱した後の10月のW杯欧州予選の2試合を、アルメニアに6-1、モンテネグロに4-2と、2試合で10ゴールを決めて勝利していて、攻撃陣に厚みがある。
 
また、レバンドフスキを起点にしたカウンター攻撃も得意とする形の1つだ。ボールをキープし、起点になれるレバンドフスキを信じて後ろから多くの選手がボールを追い越していく、スピード感と迫力あるカウンターアタックは日本にとっても脅威となるだろう。
 
そして、直近2試合の国際親善試合では、1トップ2シャドーのような形で1トップの選手の周りに2人のアタッカーを配置する形も試行しており、攻撃のバリエーションはさらに多彩になっていくことも予想される。

背後に弱点はあるが、待ち構えるは世界最高水準のGK

EURO2016予選の初戦、2014ブラジルW杯で優勝した直後のドイツ代表に対して、しっかり守備のブロックをつくり、カウンターで2-0で勝利した試合は記憶に新しい。組織的な守備からスピード感あるカウンターを発動する形もあるが、日本と対戦する際には比較的高い位置でプレスをかける形をとってくる可能性が高いだろう。
 
EURO2016、W杯予選ではアダム・ナバウカ監督は4バックを採用していたが、ここ2試合の国際親善試合(対ウルグアイ、対メキシコ)ではカミル・グリク(モナコ)を中央に配置する3バックを試行。ウルグアイとは0-0、メキシコとは0-1。2試合で1失点と、南米の強豪相手に守備面でのある程度の成果は見られた。だがメキシコ戦の前半12分の失点シーンのように、中盤4人のサイドの背後、3バックとタッチラインの間の脇のスペースにボールを流し込まれ、3バックの1人が釣り出されると、中央が薄くなりピンチになる。
 
高さと強さのある3人のセンターバックが待ち構えている中にクロスを供給しても、ゴールを奪える確率は低い。もし日本戦でアダム・ナバウカ監督が3バックを採用してきた場合は、このシーンのように3人のうち1人を外に釣り出すことで中を手薄にしてから進入していくことも、ゴール前の錠前を外す糸口になるかもしれない。
 
またポーランドDF陣は、グリクなど前のボールに圧倒的な強さを発揮する選手が多い反面、背後のボールへの対応はそれほど得意ではない。ポーランドが比較的高い位置からプレスをかけてきた場合、DF陣の背後を取り、例えばサイドの背後のスペースから低く速いクロスをGKとDFの間に入れていくようなことも効果的になってくるだろう。
 
ただ、DFラインを突破しても、ポーランドには世界トップレベルのGKボイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)とルカシュ・ファビアンスキ(スウォンジー)がいる。世界一のGK輩出国とも言われるポーランド。最後の砦の彼らを突破することは容易ではない。

参考記事:なぜポーランドは優秀なGKを輩出し続けることができるのか

優勝をも期待されている

前述したミリク、グロシツキに加えカロル・リネティ(サンプドリア)、ピオトル・ジエリンスキ(ナポリ)、マリウシュ・ステピンスキ(キエーボ)ら、国外クラブへ飛び出していったポーランドの次世代を担う選手達も、それぞれのクラブで活躍を見せている。このあたりの選手たちが、W杯まであと半年ある中でさらに飛躍的に成長する可能性もあるだろう。 
 
アダム・ナバウカ監督は、2014年のポーランド代表のW杯予選敗退後から就任し、ユーロ2016でベスト8、2018W杯予選グループ首位通過、と今回のW杯で第一ポットに選ばれる結果を出す、攻撃力が高く勝負強いチームを作り上げた。
 
その活躍に2006年のドイツ大会(グループリーグ敗退)以来となるW杯ということもあり、国民は大きな期待を抱いている。過去に2度W杯で3位となったポーランド、これまで超えられなかった準決勝の壁を超え決勝進出、そして優勝をも狙えると期待されている。ポーランドは、グループリーグ突破はもちろん、それ以上の結果を残さなければいけない。
 
対日本戦では、日本がボールを持つ時間もあるだろうが、レバンドフスキを中心とした攻撃陣は常にカウンターを狙っている。決めきる力もあるため、攻撃時にレバンドフスキに対するリスク管理を通常以上にしていく必要があるだろう。簡単ではないが、レバンドフスキをいかに自由にさせないかが1つのポイントになる。
 
また3バックと4バック、W杯本番でどちらの形をアダム・ナバウカ監督が採用するか、あるいは併用して戦っていくのか、日本戦の際にどちらを採用するかは、これからW杯までの経緯を注意深く見ていく必要がある。先日のメキシコ戦で出た事象を踏まえ、DFラインの修正をこれから図っていくとは思うが、前述したようにDFラインの背後のスペースを攻略することやセンターバックの選手を釣り出していくことも効果的になってくるかもしれない。
 
相手を引き込んでDFラインの背後のスペースを攻略していくことも1つだが、最終ラインからボールを繋ぐ際にDFラインの連携ミス、個人のミスから危ない場面になるシーンも見られる。高い位置からプレスをかけていき、相手DFラインでボールを奪うことを狙うのも1つの策だろう。
 
カウンターも鋭く、ボールを保持した状態からの攻撃のバリエーションも多彩。4バックや3バック、守備ブロックの形成、高い位置からのプレス…多種多様な戦い方を高いレベルで展開するポーランド。試合の中で、状況に応じた判断をしていく、臨機応変な判断力も求められるかもしれない。

<了>

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VictorySportsNews編集部