酸味のある日本酒梅酒を再現した「キットカット 梅酒 鶴梅」

9月にネスレ日本株式会社より、「キットカット 梅酒 鶴梅」が発売される。これは2017年に発売となった「キットカット ミニ 日本酒 満寿泉」に続き、元サッカー日本代表選手の中田英寿氏がプロデュースする新商品だ。

ネスレ日本株式会社コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長の槇亮次氏は、中田氏監修のキットカット第2弾の制作が始まる際、第1弾の満寿泉とは異なる日本酒を使ったキットカットをつくるのだろうと考えていたという。

「中田さんには、別の酒造の話をいただくと思っていたのですが、まさかの梅酒でした。梅酒を使ったキットカットをつくるうえでは、これまで開発してきた中で蓄積してきたものとは別のアイディアが必要でした。中田さんに梅の産地和歌山にある平和酒造の梅酒を推薦いただきましたが、ここの梅酒は、甘さが控えめですっきりしていて飲みやすいのが特徴です。その中でも、完熟の梅を使ったものがいいのか、酸味が残るものを使ったほうがいいのか。それを選ぶところから始め、試作を重ねて、微調整も繰り返してきました」と、槇氏は言う。

過去に350種類以上のキットカットをつくってきたネスレにもノウハウがなかった梅酒を、なぜ選んだのか。中田氏は「全国各地にいろいろな日本酒蔵があります。異なる蔵の、いろいろな日本酒を使うこともできますが、大きな違いを出すのは難しい。それよりも近年アジアや、ヨーロッパでも、特に女性に人気の高まっている梅酒という違うジャンルのお酒に挑戦し、『チョコレートの甘みと梅酒の酸味』を融合する新たな味を作れないかと思いました。これがヒットしたら、またその先のシリーズ化につながる可能性もあると思いました」と、その理由を語った。

4月にマスコミを集めて行われたイベントでは、最終の試作品を中田氏が試食する場面があった。しかし、そこでも中田氏からのOKは出なかった。

「特にこだわっているのは、酸味です。梅酒というのは、漬けるお酒で味が変わります。ほとんどの梅酒は焼酎やホワイトリカーがベースでできていますが、今回、『キットカット梅酒』に使っている和歌山の銘酒『梅酒 鶴梅』は、日本酒がベースになっています。日本酒梅酒はさっぱりしているので、その特徴をきちんと出すためにも、最後に爽やかな酸味をつけたかった。試食した際、最後に酸味を感じることができたのですが、スッと消える前の余韻をあと1秒か、コンマ何秒か、伸ばしたい。ほんのりとした酸味のある日本酒梅酒を伝えたいんです」

中田氏がキットカットづくりに込める想い

中田氏がこだわるのは、味だけではない。梅を連想させる爽やかなグリーンのパッケージにも工夫が凝らされている。「キットカット ミニ 日本酒 満寿泉」の鮮やかな赤いパッケージと並べたときに映えることに加えて、パッケージの中央の酒瓶には「固く結ばれた絆」「運命向上」といった縁起の良い意味を持つ、赤い梅結びがあしらわれている。

単に見た目にインパクトがあるわけではなく、パッケージ横には梅酒にまつわる豆知識も記されている。「たとえば南高梅が何か、食べるお米とお酒用のお米は違うとか、そういう情報も読んでもらえれば知ってもらえます。マーケットをつくるうえで、情報をきちんと伝えていくことは本当に大切。キットカットは人気があって売れる商品ですし、同時に情報も伝えられれば、梅酒業界、日本酒業界のためにもなります」

実際に第1弾の「キットカット ミニ 日本酒 満寿泉」の発売後には、満寿泉の売り上げが大幅に伸びた。
ただし、「僕がやっているのは、モノを売ることではないんです」と中田氏は言い、「みんなに多くのことを知ってもらったり、何かをつなげていく。つなげていく場をつくることが好きですし、それが自分のやりたいこと、得意なことなのかなと思っています」と説明する。

「キットカット 梅酒 鶴梅」には、平和酒造さんの『梅酒 鶴梅 すっぱい』が使われています。キットカット発売によって売り上げが伸びて、梅酒に使われている紀州南高梅という地域ブランドが広く知られるようになれば、地方の活性化にもつながると思います。商品を売ることではなくて、その先までつなげたい。いろんな意味で地方を活性化できる施策ができますし、そこまで商品に込められるようなブランド戦略をしていきたいと思っています」

ビジネスの先にある、地域活性化。それこそが、中田氏がこだわりを持ちながら、キットカットづくりに取り組む狙いだ。
キットカットと中田氏が自信を持って届ける「キットカット 梅酒 鶴梅」の発売まで、約2カ月。少し気は早いかもしれないが、「日本酒」「梅酒」に続く、第3弾のプランはあるのか。

「やりたいものはいろいろありますが、キットカットさん側が受けてくれるかは別の話ですからね。日本酒と梅酒が並んで、その先も並んでいけばいいですね」

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VictorySportsNews編集部