2人目のゲストは、プロサッカークラブV・ファーレン長崎の代表取締役社長、高田明氏だ。高田氏は長崎県平戸市の出身。大阪経済大学卒業後、機械製造メーカーで通訳として海外常駐を経験した後、74年に父親が経営するカメラ店へ入社。86年に「株式会社たかた」として独立し、通信販売事業を展開し、一台で通販大手に育て上げた。2015年1月に株式会社ジャパネットたかたの代表を退任し、2017年4月からV・ファーレン長崎の社長に就任した。

企業ではなく、長崎のチームという意識を

V・ファーレン長崎は、2005年3月に誕生したクラブだ。ジャパネットHDは2009年からメインスポンサーとなっていたが、クラブが3億円以上の経営赤字を抱えるなか、2017年に100%株式を取得、グループ会社化した。

ジャパネットたかたの“高田社長”と言えば、その知名度は全国区だ。高い声と巧みなセールストークは一度聴いたら耳から離れない。池田氏も、「ずっとTVで見ていた」というが、それだけに社長就任はスポーツ界に驚きと話題を呼んだ。池田氏がその経緯を尋ねると、「僕も、なんで僕がサッカーチームの社長をやっているんだろうと思う」と率直な気持ちが返ってきた。

経営不振にあえぐクラブを何とかしたいと、高田氏に最初に持ち掛けてきたのは現在株式会社ジャパネットたかたの社長を務める息子の旭人さんだった。メインスポンサーとして長くクラブを見つめてきた高田氏の頭には、試合を楽しみにしている子どもたちやお年寄りたちの顔が浮かんだ。V・ファーレン長崎は、長崎県唯一のサッカークラブだ。「県民の夢を無くしてはいけない」。サッカーのことは何もわからなかったが、社長を引き受けることを決めた。

こうしてクラブはジャパネットHDの一つとなったが、長崎県民の夢、誇りとなるという想いはメインスポンサー時代からも変わらない。「子会社であっても、ジャパネットのチームではなく、長崎のチーム。長崎のために頑張りたい」と話した。

スポンサーにもサポーターにも、自ら会いに行く

“高田社長”は2018年のJリーグをピッチ外から盛り上げた。アウェイの試合にも足しげく帯同し、敵味方問わず握手に応じる姿は、SNS上で話題となった。愛くるしいマスコットキャラクターのヴィヴィ君の人気も高く、ともに他チームのサポーターからも広く認知され、“名物”として観戦に訪れる人を楽しませた。愛されるチーム作りへの貢献は疑う余地がない。

その姿勢は県内のスポンサー営業でも同様で、高田氏自らが企業を回り、支援を依頼しているという。その甲斐あって、就任当初7億円だった総収入は24億円になった。J2降格が決まっても、減収の見込みを裏切ってそれまで以上にスポンサーを申し出る企業が増えたという。このラジオの収録後も、一社訪問するそうだ。

入場者数も大幅な減少はなく、J1を戦った2018年の平均1.1万人を維持しているという。「選手全員、長崎県民全員で盛り上げている」(高田氏)今年の目標はJ1時代の年間19万人の入場者数を下回らないこと。社長自身も昨年に引き続き、メディアへの出演も交えながら来場を呼び掛けている。

500億円規模のスタジアムタウン構想で、平和を発信

池田純氏が最後に尋ねたのは、V・ファーレン長崎の新スタジアム構想についてだ。街づくりにまで及ぶ構想について尋ねると、高田氏の一声目は「らしいですね」と少し肩透かしを食らう形に。実際の計画については、息子の旭人さんを中心とした株式会社ジャパネットたかたの若手社員が中心となって進めているようで、高田氏いわく「私は何も関わっていない」という状況のようだが、想いは一つだ。

高田氏「長崎は原爆を落とされた街。一番平和を発信できる。スタジアムタウン構想はそのための企画の一つ。私は子会社の社長として応援するという立場にあります。この構想がみんなに満足してもらっていい結果を出せるように協力していこうと動き回っています。」

このスタジアム構想の規模は500億円にも上るとみられているが、もし高田氏自身が意思決定をする立場にあったらどうするかと池田氏が尋ねると、「僕だったらやっていないかもしれない。500億円という額は一企業としてはとんでもない額ですから」という慎重な姿勢を見せた。それだけの覚悟を示し、サッカーを通じて人を幸せにするという想いを実現しようとする、旭人さんはじめジャパネットたかたの姿勢を高く評価した。
ジャパネットたかたの企業理念『「今を生きる楽しさ」を!』は、お客様の「今」を楽しくするという意思が込められている。高田氏自身が大切にしてきた理念は、今なお受け継がれ浸透しているようだ。

昇格後1年でJ2降格というJリーグの厳しさを味わうも、長崎に灯った火は消えずにむしろ強くなっていることを感じさせた。今年必ずJ1に戻ると宣言し、収録を締めくくった。

小田菜南子

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