池田氏とは神奈川・鎌倉高で同級生だった西田氏。球団と球場の一体経営という横浜DeNAベイスターズの黒字化においてブレークスルーとなったDeNAによる横浜スタジアム運営会社の買収が実現に向けて動き始めた頃、計画を進めていた池田氏は横浜・馬車道にある西田氏の建築事務所を“アポなし”で訪問し、2016年1月に公表したハマスタの「未来予想図」をともに描くこととなった。
「西田さんは将来の隈研吾、安藤忠雄と言われるくらいの存在。ハマスタを買収できるんじゃないかなと思い始めた時に、ハマスタを変えていこうというの中で横浜に事務所を構えているということを知り、手伝ってもらおう、一緒に設計図を書いてもらおうと打ち合わせをしにいったんです」と池田氏。西田氏は「建築事務所というのは普通、アポを取っている人しか来ない場所なんですけど、突然『よお!』という感じで入ってきて」と笑いながら当時を振り返る。
高校時代から互いの存在を知っていたという2人だが、このタッグがベイスターズ、横浜スタジアムを中心に地域活性化を目指すプロジェクト「コミュニティーボールパーク化」構想を、より強力に推し進める契機となった。スタンドや球場外からグラウンドを望める「DREAM GATE」など、横浜スタジアム買収発表時に描いた「未来予想図」は、まさに現在のハマスタの姿につながる部分が多い。今回の放送で、実は買収前にCGを完成させ、買収決定と同時に壮大なイメージとしてCGを発表したという秘話も語られた。さらには、指定有形文化財「旧関東財務局」をリノベーションしてつくられたベイスターズの新施設「THE BAYS」や横須賀市追浜公園内に完成した2軍施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」などにも、その成果が結実している。
そんな池田氏と横浜の地域活性化、コミュニティー形成を進めてきた西田氏が推す「湯」は、意外にも東京の銭湯だった。杉並区高円寺にある「小杉湯」。実はこの銭湯、ハマスタに通じる部分が大いにある。
「ハマスタのボールパーク構想が『街づくり×スポーツ』だとすると、小杉湯は『街づくり×銭湯』。非常に面白いんですけど、周りに住んでいる人たちでコミュニティーをつくって『銭湯のある街』を再定義しているんです」
昭和8年創業、高円寺で85年続く「小杉湯」だが、三代目店主の平松佑介氏を中心に地域住民や銭湯ファンを巻き込んだプロジェクト「銭湯ぐらし」を展開。解体を控えた隣接する風呂なしアパートを舞台に、多様なクリエイターがともに暮らし、それぞれの専門分野と銭湯を掛け合わせた活動を行うなどして、地域のコミュニティーを形作ってきた。このプロジェクトがさらに発展し、「銭湯ぐらし」はその後、法人化までされている。
ランニングステーションとしても利用されている「小杉湯」の取り組みは、まさに地域活性化の一つの好例といえる。現在、一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長として、さいたま市でスポーツを活用した「横浜の次」 の地域活性化プロジェクトを進める池田氏だが、今後の西田氏との新たな取り組みにも期待が高まる。
【小杉湯】
■住所
〒166−0002 東京都杉並区高円寺北3−32−2
■アクセス
JR高円寺駅北口から徒歩約5分
■営業時間
午後3時30分〜深夜1時45分(毎週木曜日定休)
※日曜日のみ8時から深夜1時45分まで
■公式サイト
http://kosugiyu.co.jp/
取材協力:文化放送
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文化放送「池田純 スポーツコロシアム!」(火曜後8・40〜50、Podcastで拡大版配信中)
パーソナリティ:池田純
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