早大在学中に友人と北海道のバイクツーリングに出掛けたという池田氏。学期試験が終わり、世間が夏休みに入る前の閑散期という大学生の恩恵を最大限に活かした季節に訪れたのが、知床「カムイワッカ湯の滝」だった。

「川が温泉になっているんです。20年以上前に訪れた時は、まだ知床が世界遺産に登録される前。普通に気軽な感じで行けました。今は事故防止などでいろいろと規制もあると聞いていますが、当時は歌を歌いながら友達と上流まで登って入浴したものです」

活火山である知床硫黄山の中腹から涌き出る温泉が川に流れ込み、川全体が流れる温泉のようになっている「カムイワッカ湯の滝」。かつてはどの滝壺にも自由に入れたが、2005年に知床が世界遺産に登録されたことで観光客が激増し、滑落などの事故も発生したため、車道にほど近い「一の滝」より上流への立ち入りが禁止された。この滝壺は湯温が30度ほどとぬるく、以前のように入浴は難しくなっている。

今や貴重な「カムイワッカ湯の滝」での入浴も経験した池田氏だが「知床といえば、ベイスターズの現在の好調の要因がここにあるんです」と冗談を交えて切り出したのが、2011年12月から16年10月まで務めたベイスターズの球団社長時代の思い出。実は、セ・リーグ球団の社長による“懇親視察旅行”で、釧路球場の視察の後に再び知床を訪れることになったのだという。

「セ・リーグの球団社長は当然6人いるのですが、皆さん60歳くらい。球界最年少の35歳で球団社長になった私なんて、小僧みたいなものでした。ただ、当時は社長が一堂に会する場がほとんどなく、懇親を深める機会を設けようと『みんなで視察旅行に行きましょう』と提案。旅館・ホテルは全部私が予約するなど、ほぼ添乗員状態で台湾や韓国などに行きました。第４度目は釧路と知床に行くこととなり、4度目ともなると“ツアコン”としての私の腕が定評を得てきて『あいつに任せよう』となっていて…（笑）。みなさんを楽しませ、満足させる自信もありましたし（笑）。釧路の球場を視察する傍ら、大学時代に知床に来たことを思い出して、ヒグマを観に行きましょうとみんなで足を伸ばしたんです。あれでセ・リーグの親睦が深まり、今のベイスターズの地位があるといえるかもしれませんよ」

現在、行政とともにスポーツによる地域活性化を目指す「さいたまスポーツコミッション」（SSC）の会長を務める池田氏は、世界最大の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の名前を冠する日本唯一の自転車競技イベント「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」（今年は10月27日に開催）をSSCが今年から主催することを受け、今年7月には「ツール・ド・フランス」が開催されているフランスを視察。「きれいな背景の中を自転車が走る様子を夏休みの旅番組みたいな感覚で、みんな家のテレビで見ている。自転車を“つまみ”に飲んでいるんです」と、現地の意外な盛り上がり方を肌で感じ、今後へのヒントを得たことを明かす。

旅は知見を広げ、新たなビジネスのきっかけにもなる。そんな“池田流”の旅の原点が「カムイワッカ湯の滝」に垣間見える。

【カムイワッカ湯の滝】
■住所
〒099−4356 北海道斜里郡斜里町大字遠音別村

■アクセス
カムイワッカ湯の滝のすぐ手前に無料駐車場があり、十数台が駐車可能。
自家用車は混雑緩和のため、お盆前後に乗り入れ禁止期間あり（2019年は8月1〜25日）。同期間は知床自然センターなどからシャトルバスを運行。冬期は道路が通行止めとなる。（詳細は下記知床自然センターサイト参照）

■公式サイト
知床斜里町観光協会
https://www.shiretoko.asia/kamuiwakka.html
知床自然センター
http://center.shiretoko.or.jp/guide/kamuiwakka/



取材協力：文化放送

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文化放送「池田純 スポーツコロシアム！」（毎週月 20:00～20:30）
パーソナリティ：池田純
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