「練習を再開しても、気持ち的に身が入らない日々が続いて、練習を休んでしまったりしています」

「正直、自分を見失っていて、何を目指したいのか、分かっていません」

 8月3日、スポーツブランドのオンラインイベントに参加した水泳の瀬戸大也は、コロナ禍で目標を失ってしまった現在の心境を率直に語った。池田氏は、瀬戸の発言こそ選手の本音なのではないかと語る。

「選手たちからは延期を前向きに捉える発言が多かった気がしますが、実際のところ瀬戸選手のようにモチベーションの置き場がないという選手も多いのではないでしょうか。プロ野球やJリーグも観客数に制限があるまま、甲子園も代替の交流試合は開かれましたが、1試合だけで観客も関係者のみ。本当なら暑い中でもスポーツで盛り上がるのが日本の夏だと思うのですが、この状況では熱狂するような感じになりませんよね。そういう意味でスポーツ界にとっても“特別な夏”になっている気がします」

 プロ野球やJリーグでは、5,000人の上限に観客が届かないこともあるのだという。

「感染者数が増え続けていますから、よほどのファンでない限り、スタジアムまで足を運ぶ気になれないんじゃないでしょうか。東京ドームの巨人戦でも観客が3000人台とか、普段の10分の1以下ですからね。仕方がないこととはいえ、どのチームも試合をやればやるほど赤字という状況が続いています」

 自らもB3リーグ・さいたまブロンコスの代表として、プロの興行のあり方を模索している段階だという。

「プロ野球のように20億円赤字を出しても親会社が面倒をみてくれるようなチームではないですからね。この状況でカッコつけて大きな会場をおさえても赤字が増えるだけです。それならいつも練習している体育館に椅子を並べて、限られた観客だけに試合を観てもらうような興行スタイルもありなのではないかと考えています。コロナ禍の先行きが見えない状況ですから、“特別な夏”が“特別な秋”になり、“特別な1年”、“特別な3年”にならないとも限らない。カッコつけてチームが存続の危機になるようなら、カッコ悪くてもチームが続く方法を考えたいと思っています」

 モヤモヤとした状況は、観客はもちろん選手のプレーにも大きな影響を与えていることだろう。瀬戸だって、表彰台の一番上に立ち、大歓声を浴びることを夢見ていたはずだ。大きな会場で、大声で歓声を送り、まわりとハイタッチし合う。そんな誰もがスポーツに熱狂できる日が来るのを待ち望まずにいられない。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部