テニスの錦織圭(日清食品)が新型コロナウイルスに感染していることが発表された。テニス界では6月にノバク・ジョコビッチが無防備なパーティで感染したことが分かり世界中から顰蹙を買ったが、錦織の場合、故障からの復活した姿を全米オープンで披露する予定だったため、間違いなく、最大限の対策を行っていたはずだが、それでも感染を防ぐことができなかった。
「アメリカや日本だけでなく、もはやコロナはいつどこで感染するかわからない状態に入っていると思います。どんなに気をつけていても避けようがないし、感染するのも仕方がない。ただ島根の高校サッカー部や天理大ラグビー部、日体大レスリング部など、ここにきて各地のスポーツ部でのクラスターが報告されています。寮などで共同生活を行っていることが大きな原因になっているようですが、スポーツそのものが原因のように思われてしまうのではないかと心配しています」
池田氏は、感染そのものだけでなく、このコロナ禍がスポーツ界に与える経済的なダメージも心配している。
「先日、日本の4−6月期のGDPがマイナス27.8%だと発表されて大きなニュースになりました。7−9月期は回復基調にあると言われていますが、それほど大きな回復にはなりえないんじゃないでしょうか。
とりわけスポーツ界のダメージは深刻です。どの競技も試合数が大幅に削減された上に無観客や観客制限が続き、どのスポーツもマイナス27.8%どころではないと思います。稼ぎ時の夏場に来て、再び感染が拡大したのも痛かったですし、秋以降も元通りになるとは思えません。
アメリカではMLBやNBAも無観客ですし、4大スポーツと言われるアメリカンフットボールのNFLやアイスホッケーのNHLも縮小開催になると言われています。日本だけでなく、全世界的に見たら“スポーツGDP”は、とんでもなく悪化しているはず。マイナス幅は50%を超えているかもしれません。経営側が本気でこれからのことを考えていかないと、このトンネルを抜けるのは難しいと思います」
もちろん選手はもちろん、すべての人の命と健康が大切であることはいうまでもない。だが、もしこのまま新型コロナウイルスが広まっていけば、日本はもちろん世界のスポーツ界、スポーツビジネスも瀕死の状態になっていくかもしれない…。
取材協力:文化放送
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月曜後6・45〜7・00、Podcastで拡大版配信中
パーソナリティ:池田純
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錦織圭も感染…。止まることのないコロナ禍は“スポーツGDP”をどこまで下げるのか
米フロリダでトレーニングを続け、今シーズンからの戦線復帰を目指していたテニスの錦織圭が新型コロナウイルスに感染していることが判明。日本でもまだまだ感染拡大が止まらないコロナ禍は、スポーツ界にどのような影響を与えるのか。横浜DeNAベイスターズ初代球団社長であり、現在一般社団法人さいたまスポーツコミッション会長、バスケットボール男子B3リーグ・さいたまブロンコス代表を務める池田純氏が、まだまだ先行きが見えないとその展望を語った。
(C)Getty Images