ロッテファンには悪いが、今年の日本シリーズでジャイアンツの相手を務めるのはソフトバンクじゃなきゃいけなかった。
思い返したくもない昨年のシリーズ。最多勝に最高勝率、最多奪三振の投手3冠に輝いた山口(俊)を立てた初戦を落とすと、そのままズルズルと3連敗。最後の希望として腰痛から強行復帰したエース、菅野(智之)もその流れを止められず、悪夢を植え付けられた。
それゆえ、2位を引き離してセ界独走状態に入った9月から、もうソフトバンクしか見えていなかった。
でも、ですよ。
ロッテと首位を争っていた10月上旬までとは、まるで別のチームになった宿敵。我らが澤村(拓一)の快投もむなしく、コロナ禍の影響もあってロッテが失速するのとは対照的に、ラストスパートがえげつない。10月だけで、プロ野球記録を更新する22勝を挙げ、わずか4敗1分けの勝率.846は、ありえない強さである。
クライマックスシリーズでは、ロッテと4戦目まで戦ってもらい、少しでも投手を使って欲しいという願いもむなしく、あっさり2戦で終了。どちらも先制を許しながら、あっさり逆転する横綱相撲でポストシーズン12連勝を飾った。
4年連続の日本シリーズ進出を決め、2014年以降の6年間で5度の日本一に輝くソフトバンク。一方、2012年以来の日本一を目指すジャイアンツは、最後の10・11月を13勝18敗4分け。優勝確実となって以降は選手の体調をみながらの戦いだったとはいえ、負け越してシーズンを終えた。
ゆえに、戦前の下馬評は、ソフトバンク有利の声が圧倒的である。
打線も守備も勝っていると思うし、なんといっても菅野が万全で準備する今回。実力で劣っているとはもちろん思わない。が、その声に圧され、悪夢が繰り返されるのは勘弁と弱気になりつつ、過去の日本シリーズをポチポチと調べてみた。
結果、今回のジャイアンツのように、前年にスイープされたチームが、翌年の日本シリーズに進出した例はなかった。(1959年のジャイアンツ、1960年の大毎、1990年のジャイアンツ、2002年の西武、2005年の阪神は、いずれも翌年の日本シリーズ進出ならず)
が、日本シリーズで負けた翌年に日本一になったケースは5回あり、以下の通り。
**********
<1986年> 前年に2勝4敗で阪神に敗れた西武が、4勝3敗1分けで広島を下して日本一
<1993年> 1992年に3勝4敗で西武に屈したヤクルトが、4勝3敗で西武にリベンジ成功
<1996年> 前年のシリーズでヤクルトに1勝4敗で敗れたオリックスが、4勝1敗でジャイアンツを倒して日本一
<2007年> 前年に1勝4敗で日本ハムに負けた中日が、4勝1敗で日本ハムに雪辱を果たす
<2009年> 2008年に3勝4敗で西武にやられたジャイアンツが、4勝2敗で日本ハムを下して日本一
**********
ジャイアンツも2009年に前年の雪辱を果たして日本一に輝いているが、注目してほしいのは、1993年のヤクルトと2007年の中日。どちらも同じ相手に、前年の逆スコアでリベンジしている。
今回のジャイアンツVSソフトバンクの日本シリーズは、その1992~93年のヤクルトVS西武、2006~07年の中日VS日本ハム以来となる2年連続の同一カード。1993年から2007年が14年ぶりで、今年同じことが起これば、2007年から13年ぶり。微妙に1年違うが、大体のサイクルは同じ。
前年に0勝4敗で敗れながら翌年のシリーズに進出した初のチーム(つまりチーム力はあるということ)、ジャイアンツが、13~14年サイクルで訪れる「前年と同じ相手に逆スコアでリベンジ」する。
これ、ないですか?
あるとすれば、とにもかくにも初戦。昨年同様、千賀(滉大)を立ててくるであろう相手を、絶対エースの菅野でねじふせれば、このシナリオが現実味を帯びてくる(はず)。
「前年と同じ相手ソフトバンクに、ジャイアンツが逆スコアでリベンジ」する。
これ、大いにあると信じて、全力で見守ります!
※敬称略
取れればシナリオ発動?初戦につきる今年の日本シリーズの見どころ
いよいよリベンジの時が来た(はず)。11月21日から始まるプロ野球のSMBC日本シリーズ2020、ジャイアンツの相手は、あのソフトバンクホークスである。
(C)共同通信