スポーツを新たな視点で観戦できるマルチアングル映像だが、フィギュアスケートではどのような見方ができるのだろうか。

 20年に渡り、フィギュアスケートを撮り続け、羽生結弦をはじめとするトップスケーターたちの固い信頼を得るスポーツフォトグラファー田中宣明氏に、マルチアングル映像で見るべき選手を、シングルスケーター、アイスダンス、ペアの3つのカテゴリ別に選出してもらった。

①シングルスケーター:羽生結弦(日本)

田中宣明氏評:
 やっぱり何といっても、五輪を二連覇したスケーター、羽生結弦でしょうね。ずっと撮り続けている僕ですら、多分撮り飽きることがないでしょう。テレビで放送されるのは全身が多いですが、足元だけの映像で1滑走見るという楽しみ方もありますよ。フィギュアスケートはジャンプが一番注目されますが、スピンもとてもきれいです。

 そして何と言っても、羽生選手の見るべきポイントは表情です。そこまで豊かな選手はなかなかいません。世界には多くのスケーターがいますが、羽生選手は同じ曲でも毎回違う表情をみせてくれると思います。撮影中は遠くの表情を捉えることができないので、いつも「ここでどんな表情をしたんだろう」と気になるんです。顔だけにフォーカスした映像で、1滑走見続けたいですね。

②アイスダンス:ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン(フランス)

田中宣明氏評:
 フランスのパパダキス・シゼロン組は、2019年の世界選手権で優勝を飾ったアイスダンスの代表的な2人です。アイスダンスの見所であるリフトが、大きな魅力であるペアです。

 パパダキス・シゼロン組のリフトは、なんかちょっと不思議なんですよ。女性をリフトして回りながら、さらに姿勢を変えてくる。それが気になって、大会前の練習で、わざわざ違う角度まで移動して確認しに行ったほどです。

 かつてリフトは、男性の頭より高く女性を持ち上げることが禁止されていましたが、2018年〜19年シーズンでルールが改正されてからは、条件付きで可能になり、よりダイナミックな演技が可能になりました。

③ペア:ウェンジン・スイ&ツォン・ハン(中国)

田中宣明氏評:
 ペアの演技は、あまり日本では人気がないですが、このペアはぜひ見てみてほしいですね。男性のツォン・ハンは、170cm、女性のウェンジン・スイは150cmと、ヨーロッパだけでなくアジアで比べても小柄な選手と言えるでしょう。でも演技のダイナミックさでは決して負けていません。

 ペアの見どころである「ツイストリフト」は、男性が女性を上に投げ、女性が上で回転し、降りてきた女性を男性がキャッチするという投げ技です。このペアのツイストリフトは圧倒的に高いです。投げられた上方で4回転もできます。奇跡の中国ペアです。このツイストリフトの高さは、客席からでは味わえない。下からあおるように撮影する、テールカメラからの映像で見てみたいですね。




 現在配信中の「世界フィギュアスケート国別対抗戦2019」では、アイスダンスのパパダキス・シゼロン組が優勝を飾った演技と、エキシビションに出場したウェンジン・スイ&ツォン・ハンの2組を見ることができる。

 マルチアングル映像、フィギュアスケートをさらに一歩深く知るきっかけにしてみてはいかがだろうか。

【参考】マルチアングル映像の視聴画面例

スポーツフォトグラファー田中宣明が考える、マルチアングル映像の楽しみ方

フィギュアスケートの映像を同時に複数の角度から再生できるコンテンツが、「auスマートパスプレミアム」で2020年9月25日から配信開始となった。映像を4画面の複数アングルで同時に視聴できる機能「マルチアングル動画プレイヤー」を使用し、自由にカメラを切り替えながら演技を楽しむことができる。

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小田菜南子

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