「僕の場合、競輪が好きでこの業界に入ったわけではないんです。学生時代は、ファッションとかDJが好きで、ストリートで流行っていたピストバイクに興味を持ったのがきっかけでした。でも競輪の関連会社に就職が決まって初めて競輪場に行ったときは、あまりのことに衝撃を受けました。施設は古いし、地面はゴミだらけ。昭和のままで完全にとまっている。このままじゃダメだ、変えなければいけないと強く思いました」

 かつて同じようなイメージだった競馬は、人気馬や人気騎手の登場で生まれ変わり、いまや競馬場は若い人が押し寄せる健全な場となった。競馬にできて、競輪にできないことはない。

「競輪も時代にあわせてアップデートしていかないと未来がない。PIST6は、アート、フード、ファッションなどのエンターテインメント性が融合した、まったく新しいスポーツエンターテインメントを目指しています。そのために木製バンクを持つ専用の競技場も作りました。競輪は日本で生まれ世界に広がったスポーツ。世界では2500万人のファンがこの自転車競技を楽しんでいます。日本発祥のスポーツですから、オリンピックでも柔道と同じくらいの“お家芸”になっていてもおかしくない。

 PIST6では、国際規格に準拠したルールを採用して、選手の強化も考えています。世界のトップレベルの選手と切磋琢磨することで、日本人選手が強くなり、競技自体の人気につながる。そして、選手たちが注目され、子供から憧れられる存在になることで、選手のステータスが向上する。そういう好循環を目指しています」

 PIST6では観客の楽しみ方も大きく変わる。従来の窓口での車券販売のシステムを採用せず、ミクシィが提供する共遊型スポーツベッティングサービス「TIPSTAR」でのみベッティングが可能。かなり大胆な変更だが、鈴木社長はだからこそ意味があると語る。

「いままでのシステムを使わないことのリスクはもちろんあります。でもそこまでやらないと従来のイメージを脱却できない。PIST6はギャンブルのひとつとして見られるのではなく、競技としての魅力、エンターテインメントとしての魅力に加えて、ベッティングがあることで、より楽しく、熱く観戦できる。そんなスポーツベッティングとして楽しんでほしいと思っています。

 野球ならメジャーリーグ、バスケならNBA、サッカーならヨーロッパリーグが本場。僕らは、自転車の世界でそういうトップに立ちたい。自転車なら日本のPIST6だと、世界の選手が目指すような場所になるといいですね」


 PIST6が日本の競輪を変える。それだけのパワーと楽しさを、この競技は持っているような気がする。

PIST6 Championship 概要

 PIST6 Championship(ピストシックス チャンピオンシップ)とは、千葉市が主催する国際基準のルールに基づき行われる日本初の自転車トラックトーナメント。国内トップクラスの競輪選手、ワールドクラスの自転車トラック競技選手約800人が参戦するハイレベルな競技性と、アート、フード、ファッションなどのエンターテインメント性が融合した、全く新しいスポーツエンターテインメントを目指している。

PIST6 Championship

会場について

 PIST6 Championshipは、千葉競輪場跡地に新設された「TIPSTAR DOME CHIBA(ティップスター ドーム チバ)」で開催。約2,000席の観客席を備え、国内3例目となる国際基準の木製トラック(周長250m)を構える。

「TIPSTAR DOME CHIBA(ティップスター ドーム チバ)」外観

VictorySportsNews編集部