左膝の違和感により、全力で走れなくなった40代

43歳・男性・会社員が、MRI検査を受けて分かったことは、左膝の外側側副靱帯断裂、半月板損傷、骨挫傷だった。原因は、サッカー。社会人になってから趣味程度に20年以上、地域リーグでプレーしている。怪我から3ヶ月後、通っていた整形外科では側副靱帯は繋がったと言われたが、膝の曲げ伸ばしにまだ違和感はあった。運動の許可も出たが怖さもまだある。

あと20年はサッカーをしていたい。かといって仕事を休んで、移植手術をするのは現実的に厳しい。そんな状況で出合ったのが、「幹細胞注射」だった。

幹細胞注射とは何なのか。

長年膝の痛みを抱えていた鳴戸親方が「幹細胞注射」を体験した「お茶の水セルクリニック」を訪れ、寺尾友宏院長に話を伺った。

「人間の身体にある約37兆個もの細胞には寿命があり、古い細胞は徐々に失われます。そこで、細胞の元とされる幹細胞が分裂、分化することで、新しい細胞が補充されます。その幹細胞には、人間にもともと備わっている自然治癒力を促す働きがあるんです」

その人間の体内に存在している幹細胞を、人工的に培養し、注射で補充するのが、「幹細胞注射」。それによって、細胞の修復を促進し、本来の機能を取り戻させる、という。

では、実際にどうするのか。痛くはないのか。失敗はあるのだろうか。

「おへその横あたりから自分の脂肪組織を採取し、そこから幹細胞を抽出して、1ヶ月間培養します。その培養した幹細胞を左膝(患部)に注射します。患者本人の脂肪から採取する自家細胞なので、身体に戻した後に副作用を発症する危険性は極めて低いです」

実際にMRI検査の結果をもとに、膝の診察を受け、その1週間後、まずは血液検査と脂肪組織の採取をしてもらうことになった。

まずは血液検査。80ml程度の血液を採取。これは、人間ドッグの際に行う血液検査と同様の痛み程度だ。振り返ると、今回の施術ではこれが一番の痛さ。ただし、普通の血液採取の痛み程度だ。

その後、おへそ近辺に局所麻酔の注射。これはほぼ痛みを感じない。いよいよ、脂肪組織採取。皮膚を5mmほど切開し、脂肪組織を採取とはいうものの、麻酔が効いているため、痛みは全く感じなかった。10分程度で終わり、患部に綿を貼り、簡易コルセットのようなものを腹回りにつける。これは3時間程度でとっていい。

その日はこれで終わり。本番は1ヶ月後。培養した幹細胞を膝に打ち込む。翌日も痛みや違和感は全くなし。

そして、本番。幹細胞注射の日。

予約した朝10時にお茶の水セルクリニックに向かう。注射する時間に合わせて、培養した幹細胞を新鮮な状態で準備するため、時間厳守だ。

おへそ付近から、自分の幹細胞を抽出してから1ヶ月。
培養した幹細胞の数は1億2300万個を超えていた。2000万〜5000万個程度の場合もあるが、1億個を超えると十分らしい。

早速診察室に入り、まずは麻酔の注射だ。
ほんの少しチクッとする程度でほぼ痛みなし。

そして、いざ幹細胞を打ち込む。
注射針は細くて長い。これは、痛みのある膝の奥に幹細胞を入れ込むため、長い。
全く痛みはない。何かを流し込まれているような、ほんの少しむず痒い感じが膝から感じられるものの痛みはない。
10秒ぐらい注射で流し込み終了。幹細胞を行き渡らせるために、少し患部をおさえられる。出血はほぼなく、絆創膏を貼るだけ。呆気なく終わった。

幹細胞を各所に行き渡らせるためにも膝を動かしたほうがいいそうで、翌日から軽いストレッチを始めた。

幹細胞治療は、治療時間が短く、副作用のリスクも極めて少ない。今回治療してもらったお茶の水セルクリニックでは、同クリニックで診療を行う齋藤琢医師と幹細胞研究の第一人者である辻晋作医師が共同開発した「TOPs細胞」を用いる。
辻先生いわく、人間の細胞には寿命があり、老化や病気、損傷によって、どんどん失われてしまう。けれど、体の機能を維持するには、新たな細胞を補充する必要がある。そこで大きな役割を果たすのが、細胞の元とも言える幹細胞。幹細胞が分裂、分化することで、新しい細胞が補充されるのだという。

関節や靱帯といった損傷部に、幹細胞を投与して細胞の再生を促進。そうすることで、関節や靱帯が、本来の機能を取り戻してくれる。

お茶の水セルクリニックと同じビルにある細胞培養加工室(CPC:Cell Processing Center)でつくられたTOPs細胞は、ヒト脂肪由来幹細胞。患者本人の脂肪組織から取り出した細胞組織がベースなので、感染症にかかるリスクが低く、安心して治療を受けられる。

また、脂肪の採取も、TOPs細胞の投与も短時間で終了し、入院や通院の必要がない点も大きなメリットだ。仕事を休むことなく、治療できるのは会社員の身としては嬉しい。
そして、66万円という価格が高いのか、安いのかは人それぞれの捉え方だが、トップアスリートと同様の最先端の治療ができ、何年も悩まされ続けていた膝の痛みを解消できることを考えてみると、個人的にはいい選択だったと感じる。
治療の決断を後押ししたのは、お茶の水セルクリニックの寺尾先生だ。仕事や家庭に影響が出ないように配慮いただき、疑問点を何度も親身に聞いて、解消してくれたことは安心につながった。

注射から3ヶ月。
膝の痛みはなくなり、スイミングやジョギングも普通にできるようになった。
これから、半年、1年と経つごとに徐々に効果が現れてくるという。
幹細胞治療の成果が待ち遠しい。

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VictorySportsNews編集部