2016年に東京・六本木で産声を上げた「CRAFT SAKE WEEK」は、訪日外国人も含めて累計約60 万人の来場者数を誇る日本酒ファンの枠を超えた一大イベントとして人気を博してきた。コロナ禍の影響で20、21年は見送られていたが、東京・国立代々木競技場で行われている複合型都市型フェス「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 〜BEST MUSIC & MARKET 〜」の会場内(フットサルコートエリア)でのスピンオフ企画として3年ぶりの開催が実現。同19日までの3日間限定で復活を遂げた。

「この3年あまりの期間、酒蔵の関係者さんやイベントによく来ていた友だちから『早くやってくれ』とせかされていました。僕としても開催したかったのですが、やはりコロナ禍ではさまざまな制約があり、非常に難しかったですね」

 そうJ-WAVEのインタビューで明かすのは中田氏だ。コロナ禍の制約の中でも、感染対策に最大限の注意を払いながら日本文化を伝える取り組みを続けてきた同氏だが、飲食業界の危機的な状況も相まって、「CRAFT SAKE WEEK」の復活を待ち望む声は関係者の間で日に日に高まっていたという。

 ただ、その思いは一般の消費者も同じだった。ネットでの事前チケットの売り上げは前回19年の数倍ペースで伸び、イベント開催に尽力した関係者は「酒蔵の方々だけでなく、ファンの方も復活を待っていてくれたようです」と感慨深げに話す。実際、初日の17日には屈指の人気蔵「新政」のブース前に数十メートルの列ができるなど、普段はなかなか気軽に飲むことができない貴重な銘柄も並ぶとあって、多くの来場客が各日10蔵限定で出展する酒蔵の“飲み比べ”を楽しんでいた。

CRAFT SAKE WEEKEND

 19日の最終日には、レア度でも、人気の高さでも日本最高峰の銘柄の一つと言える「十四代」などが出展する予定で、さらに多くの来場者が原宿に集うことになりそうだ。「お酒をたくさん飲んでもらうことが目的ではなく、銘柄を限定することで自分の好きな蔵を発見し、覚えてもらうことを大切にしているイベント。今回、来場される方も新たな出会いを楽しんでいただければうれしい」と中田氏は、より多くの来場者が日本酒の新たな魅力を発見してくれることを強く願っている。

 今回の「CRAFT SAKE WEEKEND」の盛況ぶりには“コロナの時代”におけるイベントの可能性も詰まっているといえそうだ。多くのスポーツをはじめとするイベントでは、コロナ禍前の水準になかなか戻らず、苦戦しているものも少なくない。一方でサッカーのパリ・サンジェルマン(フランス)が行ったジャパンツアーは連日活況を呈し、7月20日の川崎フロンターレ戦は6万4922人を集めて新国立競技場のレコードを更新したほど。開催目的やターゲットが明確で、希少性のある魅力的なコンテンツは“コロナの時代”にも高い集客力を持つ。「CRAFT SAKE WEEKEND」も、それを証明する一つの好例として捉えることができそうだ。

CRAFT SAKE WEEKEND

 全国400以上の蔵を訪問してきた中田氏率いる専門家により厳選された酒蔵と、世界トップクラスの日本のレストランが集結し、世界に誇る日本の食文化を体験できる稀有なイベントである「CRAFT SAKE WEEK」。中田氏がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組「TDK VOICES FROM NIHONMONO」とも連携し、「にほん」の「ほんもの」だけを集めたオンラインストア「にほんものストア」のリアル店舗も会場内に設けられ、厳選された日本の伝統工芸などにも触れることができる。

 中田氏は「日本全国をまわって農業や工芸、日本酒など地元に根付いた文化を勉強し、また、自然環境を見つめる中で、知るということ、知識を得て選ぶということがどれほど毎日の生活を豊かにするのか、思い知りました。そういった気付きを、できる限り多くの方とシェアしたい」と、こうした取り組みの意味、今回の「CRAFT SAKE WEEK」の復活に込めた思いを吐露する。そうした“こだわり”の深さが、多くの人の心に刺さっているようだ。

《CRAFT SAKE WEEKEND 2022 at J-WAVE INSPIRE TOKYO》概要

日時:2022年9⽉17⽇(⼟)〜9⽉19⽇(⽉・祝)
会場:国⽴代々⽊競技場 INSPIRE TOKYO内 外周エリア
時間:12:00〜20:30(L.O 20:00)
料金:【当⽇販売】スターターコイン オリジナル酒器+飲⾷専⽤コイン11枚¥3,600、追加コイン 10枚¥1,600/20枚¥3,000/35枚¥5,000

《出店酒蔵一覧》
■9⽉17⽇(⼟)「New ⽇本酒 Standardの⽇」
新政(新政酒造:秋⽥県)/春霞(栗林酒造店:秋⽥県)/AKABU(⾚武酒造:岩⼿県)/⼭の井(会津酒造:福島県)/あべ(阿部酒造:新潟県)/⼿取川(吉⽥酒造店:⽯川県)/播州⼀献(⼭陽盃酒造:兵庫県)/⾵の森(油⻑酒造/奈良県)/若波(若波酒造:福岡県)/仙禽(せんきん:栃⽊県)

■9⽉18⽇(⽇)「⽇本酒 New Waveの⽇」
産⼟(花の⾹酒造:熊本県)/⽥中六五(⽩⽷酒造:福岡県)/信州⻲齢(岡崎酒造)⻑野県)/にいだしぜんしゅ(仁井⽥本家:福島県)/総乃寒菊(寒菊銘醸:千葉県)/楽器正宗(⼤⽊代吉本店:福島県)/天美(⻑州酒造:⼭⼝県)/陸奥⼋仙(⼋⼾酒造:⻘森県)/結ゆい(結城酒造:茨城県)/紀⼟(平和酒造:和歌⼭県)

■9⽉19⽇(⽉・祝)「Team⼗四代の⽇」
⼗四代(⾼⽊酒造:⼭形県)/寶劔(宝剣酒造:広島県)/東洋美⼈(澄川酒造場:⼭⼝県)/三井の寿(みいの寿:福岡県)/鳳凰美⽥(⼩林酒造:栃⽊県)/伯楽星(新澤醸造店:宮城県)/冩楽(宮泉銘醸:福島県)/加茂錦(加茂錦酒造:新潟県)/みむろ杉(今⻄酒造:奈良県)/⽽今(⽊屋正酒造:三重県)

CRAFT SAKE WEEK公式サイト

世界最大級の“SAKE”イベントが3年ぶりに復活! 『CRAFT SAKE WEEKEND』を主宰する中田英寿が、そこに込めた思い

サッカー元日本代表の中田英寿氏が代表取締役を務める「株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」は、2022 年 9 月 17 日(土)から 19 日(月・ 祝)に国立代々木競技場で開催する複合型都市型フェス「J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 〜BEST MUSIC & MARKET 〜」において、世界最大級の”SAKE”イベント「CRAFT SAKE WEEK」のスピンオフ企画「CRAFT SAKE WEEKEND」を開催すると発表した。

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VictorySportsNews編集部