※1:格闘ゲームとは、プレイヤーが操作するキャラクターが、1対1の格闘技で戦う対戦型コンピュータゲームのこと。代表的なタイトルは『ストリートファイター』『鉄拳』『グランブルーファンタジー ヴァーサス』など


 「格闘ゲーム(eスポーツ)の大会ってどんな大会なの?」そんな疑問に応えるべく、注目の本イベントを取材してきました。さらに今回、誕生した新プロゲーマーとんちゃん選手に優勝直後の独占インタビューを敢行しました。

・人生の半分をバーチャファイターに捧げてきた
・プロになって変えたいこと
・野球での経験がゲームに活きている
・「格の違い」を見せつけたい

 eスポーツだけでなく、スポーツ業界全体を変える可能性のある新時代のプロプレイヤーの発言に注目です!

※eスポーツとは?
コンピュータゲーム、ビデオゲームを使った個人またはチームでの対戦をスポーツ競技として行うこと。eスポーツの市場は、増加傾向にあり2025年には約180億円まで成長すると予想されている。

参考:【2022年10月26日発表】日本eスポーツ連合(JeSU)2021年の規模および内訳・2025年 までの成長予測

どんな大会なの?

 ゲーム会社として誰もが一度は聞いたことがあるであろう、株式会社セガ。今回は、セガが配信している格闘ゲーム『Virtua Fighter esports』のeスポーツ大会について取材してきました。

【ゲームタイトル】
『Virtua Fighter esports』

【開催形式】
オフライン・有観客開催

<FREE部門>
ファイナリスト全16名によるシングルイリミネーション形式のトーナメント戦を開催し、優勝者を決定。

※本大会には「FREE」「3on3」2つの部門があり、本記事は「FREE」の大会レポートです。FREE部門では、2022年10月1日(土)オンラインで予選が開催されており、予選を勝ち抜いた上位16名が、本大会に出場しています。

【表彰】
<FREE部門>
優勝者には、以下3つが授与、付与されます。

・スタープレイヤーの称号の授与
・トロフィーの授与
・『Virtua Fighter esports』の「ジャパン・eスポーツ・プロライセンス」発行権利を付与

優勝者に独占インタビュー

 優勝に輝いたのは、とんちゃん選手!とんちゃん選手には、日本eスポーツ連合(JeSU)から『Virtua Fighter esports』のジャパン・eスポーツ・プロライセンスの権利が付与されました。

 今回は、新たにプロ選手となったとんちゃん選手に、VICTORY独占でインタビューをさせていただきました。

人生の半分を格闘ゲームに捧げてきた

ーー優勝おめでとうございます!バーチャファイターは何年ぐらいプレイされてきたのでしょうか?

とんちゃん選手(以下、とんちゃん):ありがとうございます。歴は16年くらいですかね。中学生からやっていて、もう30歳になるんで(笑)。人生の半分ですね。 

ーーバーチャファイターの魅力は何でしょうか?

とんちゃん:格闘ゲームにおける、ジャンケンの要素が魅力ですね。ジャンケンといっても、運要素ということではなく、読み合いのことです。
後出しする人もいたり、さらに後出しして被せてきたり。

 ジャンケンは、1試合に2、3回行われる程度ではなく、ボタンを押すたびに毎回発生しているんです。瞬時の判断による、さっき「グー」だったから「パー」だす「チョキ」だす、といった被せ合いが、複雑で難しいのですが、これがバーチャファイターの魅力ですね。

ーー選手によっては、精神的に追い詰められてきたら、自分の癖が出てきて「グー」ばかり出すようになる、というのもよく聞きます。

とんちゃん:そのとおりです。あとこのゲームは、自分がジャンケンに勝ったときの(相手の)体力ゲージの減り方とか、爽快感がすごいんです。読み勝ったときの気持ちよさがこのゲームの醍醐味です。

「勝ちきれない」ことが周囲に申し訳なかった

ーー優勝候補と言われつつもタイトルに手が届かない時期が長かったと思います。どんな心境でしたか?

とんちゃん:いままで周りから「早くプロになって」「そろそろならないと」といわれていたので、今日ようやくプロになれてよかったです。

 これまで勝ちきれなかったときも、僕に厳しい意見をいうような人はいないんですが「今日、緊張しちゃった?」と慰められることが多くて。

 今回は、「いい加減、勝たないとマズいんじゃない?」と周囲からプレッシャーをかけられていたので、それが今日で終わってよかったです。勝って嬉しいというよりは、安心しましたね。

ーー表彰式では、涙を浮かべているようにも思えましたが、どんなことが頭をよぎっていましたか?

とんちゃん:そうですか?(笑)いっぱいカメラがあって「どこ見ればいいんだろ、眩しいな」って思ってました(笑)。

 考えてたのは、過去の大会でも、期待してくれる人や応援してくれてる人がたくさんいて、そこで残念な声を聞きまくってたので、正直、悔しい気持ちがあって。

 今回は、それを晴らせたって感じですね。ポケットにスマホを入れてたんですけど、優勝した瞬間ずっとブーブー鳴ってて(笑)。まぁそれほど、みんな見てくれてて応援してくれてたんだなって考えてましたね。

VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL

プロとして変えたいこと・変えないこと

ーー今後、プロとしての発言や行動が注目されていくかと思います。どのような心構えをされていますか?

とんちゃん:(プロとしては)まずは強さが1番だと思うので、圧倒的な強さを見せます。その次に、モラルとかって話になると思いますね。

ーープロとして自分の中で「変えていきたいこと」や「変えないでおきたいこと」はありますか?

とんちゃん:やっぱり新しいバーチャファイターのタイトルが出るよう貢献したり、競技人口が増えるように業界を盛り上げていきたいですね。(僕自身)いままで活発に発信活動をしてなかったので、ゲーム配信とかしていきたいですね。

VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL

野球の経験がゲームの強さに

ーー格闘ゲーム界隈特有の煽り文化(※)は、スポーツ業界全体にも良い刺激になると思うんです!この文化を大事にして欲しいのがファンとしての願いです。期待していいですか?(笑)

※格闘ゲーム界隈は、歴の長いプレイヤーが多く、1vs1のゲーム性も相まって、選手同士の関係性(友情関係やライバル関係)が強固に構築されている。要するにめちゃくちゃ仲が良い。そういった心を許せる関係性があるがゆえに、試合では対戦相手を挑発するようなマイクパフォーマンスが頻繁に繰り広げられている。時には人間ドラマとして、時にはプロレスとして、ファンの楽しみの1つとなっている。


とんちゃん:そうですね。僕もそっち側なので、今後も変わらないですね(笑)。勝負なので、「自分と同じくらいかな」とか「自分より強いかも」っていうのは、思わないようにしていて。

 煽りというより、(強い気持ちを持ち続けるための)見下しって感じですかね。正直いって、負けてる大会とかは、(心の中で)絶望してたりするので、気持ちはすごい大事だなと思いますし。

 控えめに「勝てたら勝ちたいです」って、いう人もいますけど、ちょっと違うんじゃないかなって思ってて「そんな気持ちなら大会出るなよ」って思ってます。

ーー闘劇とか観ていた世代なので、あの頃のヒリヒリ感を期待しています!ちなみにこれまでフィジカルスポーツなどはされてきましたか?

とんちゃん:昔、野球をしてました。野球のときの経験でいうと、バッターボックスに立つと「どんな球種がくるのか?」「自分が狙われているコースはどこか?」をすごく考えるんです。

 格闘ゲームも常に「2ストライク3ボール」みたいなものなので、そこで考えること、意識しなければいけないことは、スポーツとすごく共通しているのではないかなと思いますね。

 先ほどのジャンケンの例えと同じ話で、インコースが全然打てなかったり、空振り続きなとき「またインコースくるのかな」「いや、もうこなそう」とか自分の中で色々考えていました。

 格闘ゲームも「最後どう出し抜いてやろうか」って考えてプレイするので、共通してる部分もあると思いますね。読みが当たるとめちゃくちゃ楽しいですし、醍醐味でもあると思ってます。

ーーありがとうございました!最後に改めて本当におめでとうございます!

とんちゃん:自分的には(優勝というタイトルが)遅いかなと思ってますが嬉しいです。

 「あぁいう風になりたい」「あぁいう風に活躍したい」と思われる、目標にされるプレイヤーになれるよう頑張りたいと思います。強さが1番だと思うので、自分より強いプレイヤーがいない、世界で1番強いプレイヤーになって、若い世代に目指してもらえるように頑張ります。

大会レポート(決勝戦を中心に)

 ここからは、とんちゃん選手が優勝した「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL」FREE部門のレポートをお届けします。

 16名のうち、準決勝まで残ったのは以下の4名です。

●ハート様選手(使用キャラ:鷹嵐)
●じゃんぬ選手(使用キャラ:ジャッキー・ブライアント)
●らいおん選手(使用キャラ:ジャッキー・ブライアント)
●とんちゃん選手(使用キャラ:ジャッキー・ブライアント)

 準決勝進出者のうち、ハート様選手以外は同じキャラクターを使用しており、プレイスタイルの異なる3名(じゃんぬ選手、らいおん選手、とんちゃん選手)が同じキャラを使用してどのような戦いになるのかが注目されました。

 また初代優勝者であり、今大会の優勝候補者でもあるハート様には大きな注目が集まりました。

準決勝第1試合:じゃんぬ選手VSハート様選手

VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL

 準決勝第1試合は、じゃんぬ選手VSハート様選手の睨み合いからはじまりました。初代優勝者として負けられないハート様選手は、鷹嵐のどすこいキャラで押し切ろうとするも第1セットは、じゃんぬ選手が先取。第2セット、ハート様選手はアキラにキャラクターを変更。一気に攻め込み、第2セットを勝ち取りました。

 ただ、優勝候補であったハート様対策をしっかり実践できたじゃんぬ選手に対応しきれず。じゃんぬ選手が3-2で制し、念願のプロライセンス獲得と決勝進出に駒を進めました。

準決勝第2試合:らいおん選手VSとんちゃん選手

VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL

 準決勝第2試合は、らいおん選手VSとんちゃん選手。「1回だけでいいんで勝たせてくださいよ〜」と懇願するような仕草を見せたらいおん選手ですが、プロライセンスがかかった勝負で、実際の会場では「負ける気はさらさらないよ」というような空気でした。

 試合は、らいおん選手がとんちゃん選手に壁を背負わせる場面が何度かありましたが、かわされ逆に詰め寄られる展開。普段なら防御も巧みならいおん選手ですが、それをも超えてカウンターを打ち続けるたとんちゃん選手に3-0で軍配があがりました。

決勝戦:じゃんぬ選手VSとんちゃん選手

VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL

 決勝戦は、じゃんぬ選手VSとんちゃん選手。

 お互いに意気込みを発表するも、少し緊張している様子のじゃんぬ選手に対して、「(決勝の舞台で)ハート様にリベンジしたいと思っていたんですけどね。あれ?いないですね。帰っちゃったんですかね?」と話したとんちゃん選手。決勝に進めなかったハート様選手までも煽るとんちゃん選手の方が、心に余裕がありそうにも見えました。

 そしていよいよ試合開始です。第1セットは、さっそく2-2までもつれ込み、ここまで決して順風ではなくギリギリで勝ち抜いてきたじゃんぬ選手がとんちゃん選手に食らいつきます。しかし結果的に第1セットは、3-2でとんちゃん選手が先取。ここまでの圧倒的な勝利の連続で、自分に追い風が吹いたかのような勢いで、第2セットもとんちゃん選手が3-1で勝利。

 じゃんぬ選手が追い込まれた状態で始まった第3セット。魅せ場面も見せたじゃんぬ選手でしたが、とんちゃん選手の勢いに押され3-1で決着。とんちゃん選手が優勝となりました。

「格の違い」をみせつけ、期待に応えたとんちゃん選手

 決勝戦前の意気込み通り「格の違い」をみせつけ、決勝戦で3連取と異次元の強さをみせたとんちゃん選手。勝因としては、「スライドシャッフルの置き所が的確すぎた」「1セット目の入りがよかった」などが挙げられますが、一番は勝利に対する『想い』だったのではないでしょうか。

 今大会では、完全勝利で勝ち抜いてきたとんちゃんですが、周りに期待されながらもいつも一歩手前のところでプロになれず。みんなの期待に「今度こそ応えたい」という気持ちが後押ししたのではないかと思います。

 今回、プロライセンスを取得したじゃんぬ選手、プロライセンスに加え「スタープレイヤー」の称号を手にしたとんちゃん選手の今後に大注目です!

まとめ

 株式会社セガ公式の格闘ゲーム大会「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【2nd】FINAL」の優勝者は、とんちゃん選手でした!

 野球やサッカーなど体を動かすことだけがスポーツではなく、『本気』であればゲームもスポーツなんだと、改めて新スポーツジャンル「eスポーツ」の可能性を感じた大会でした。

 次回、「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【3rd】FREE 予選」の予約はすでにはじまっています。熱い想いのある方は、ぜひ挑戦してみてください!

【予約について】
2022/11/06 16:00 〜 12/05 00:00まで。

「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_1【3rd】FREE 予選」
小川翔太

著者プロフィール 小川翔太

1987年生まれ。会社経営者。システムエンジニア→人材コンサルタントを経て(趣味のカードゲームで世界大会に出場したことをきっかけに脱サラ)2017年にメディア業界に飛び込む。5年に渡りeスポーツの取材を続け、これまで総勢100名以上のプロゲーマー&ゲーム関係者にインタビューしている。