「いや、すごいメンバーですよ。メジャーリーガーが5人っていうのは、今までで一番多いんじゃないですか?これだけ主力が積極的に参加できたっていうのが、今回の日本代表の魅力ですよね。もちろん戦略も大事なんですけど、これだけ揃ったらある程度、選手に任せて戦っていけそうなメンバーなのかなと思いますね」

 今回の侍ジャパンに名を連ねているメジャーリーガーはダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)、そして今季からレッドソックスでプレーする吉田正尚(前オリックス)に、母親が日本人のラーズ・ヌートバー(カージナルス)の5名。これは2009年と並び、WBC日本代表として出場するメジャーリーガーの数としては歴代最多となる。

「このメンバーを見たときに、やっぱり栗山(英樹)監督じゃないと、ここまで揃えられなかったのかなっていうのはありますね。それだけでも評価されていいと思います。さすが栗山監督だなって思いますよね。だって誰が見てもやってくれそうなメンバーじゃないですか」

 5人の現役メジャーリーガーに加え、昨年は史上最年少で三冠王に輝いた村上宗隆(ヤクルト)や、こちらも最年少で完全試合を達成した佐々木朗希(ロッテ)など、今回の代表メンバーには「史上最強」との呼び声も高い。もし五十嵐氏が監督だったなら、この豪華メンバーをどのように起用するのか?

「僕が監督だったらですか?じゃあ、ポジションごとにスタメンを決めていきましょうか。まずキャッチャーは甲斐拓也(ソフトバンク)。ファーストは山川穂高(西武)でいきます。セカンドは牧秀悟(DeNA)で、サードが村上。ショートは源田壮亮(西武)です。外野はレフトが吉田で、センターは本職の選手がいないのでヌートバー。ライトは鈴木で、DHは大谷ですね」

 投手のダルビッシュを除き、二刀流の大谷も含め残る4人のメジャーリーガーはすべてスタメンで起用。それではこの9人で打順を組むとどうなるのか?五十嵐“監督”が考える侍ジャパンのラインナップは─。

「大谷をどこで使うかなんですよね……。このメンバーを見ると、そこまでバンバン盗塁をする選手がいるわけじゃない(昨季の最多は阪神・中野拓夢の23)。だったら僕は大谷を1番で使っても面白いと思いますね。2番は置いといて、クリーンアップの3、4、5番を誰にするかって考えたら鈴木、村上、山川の3人。下位(6~9番)にはヌートバー、牧、源田、甲斐を並べます。そうすると2番は吉田か……。吉田って選球眼もいいでしょ?いいですね、これ。しっくりきます」

1番・DH  大谷翔平(エンゼルス)※
2番・左翼 吉田正尚(レッドソックス)※
3番・右翼 鈴木誠也(カブス)
4番・三塁 村上宗隆(ヤクルト)※
5番・一塁 山川穂高(西武)
6番・中堅 ラーズ・ヌートバー(カージナルス)※
7番・二塁 牧秀悟(DeNA)
8番・遊撃 源田壮亮(西武)※
9番・捕手 甲斐拓也(ソフトバンク)

 並べてみると、このようなラインナップになる(※は左打ち)。1番から3番まではメジャーリーガーがズラリと並び、4、5番は昨年のセ・パのホームラン王。パワーヒッターが目立つ打線でカギを握るのは、下位打線だと五十嵐氏は言う。

「かなり破壊力のある打線なので、下位打線がどう上位に繋げるかというのが重要になってくると思います。これだけいいバッターが揃っていたら、下位次第では点になる確率が一気に上がってくる。(6 番の)ヌートバーと(7番の)牧は打順を入れ替えてもいいし、キャッチャーは(プレミア12や五輪で)国際試合に慣れているっていうところで甲斐を選んだんですけど、中村悠平(ヤクルト)でもいいと思うんですよ。その辺は選手の状態や相手によって流動的になるかもしれないですけど、いずれにしてもポイントは下位打線ですね」

 五十嵐氏の選ぶスタメンから漏れた選手の中には、20、21年のセ・リーグ二冠王の岡本和真(巨人)、代表経験豊富な山田哲人(ヤクルト)、高い出塁率を誇る近藤健介(ソフトバンク)がいて、さらにいずれも盗塁王を獲得している中野(21年セ・リーグ)と周東佑京(ソフトバンク、20年パ・リーグ)も控えている。野手だけ見ても実に豪華なメンバーだが、五十嵐氏は懸念点もあると指摘する。

「守備を固めようというよりは、攻撃的な野球になると思うんですよ。ただ、(本職の)センターがいなかったり、ちょっとバランスは良くない印象がありますね。あとはどこでも守れるようなユーティリティーが、もう1人ぐらい欲しかったです。僕は個人的に牧原大成(ソフトバンク)を推していたんです。彼は内野も外野も守れるし、走れるし、けっこうガッツもある。山川か岡本、どちらかしか(スタメンで)使わないなら、代わりにそういう選手を入れてもよかったかなと思いますね。でも打線に関していうと、ハマったときの破壊力はすごいですよ」

 もっともいかに打線が強力であろうとも、投手力が7割とも8割とも言われるのが野球である。「後編」では既に発表されているWBCのスケジュールを元に、五十嵐氏に再び監督目線で侍ジャパンの投手起用を予想してもらう。


後編(近日公開)へ続く


菊田康彦

1966年、静岡県生まれ。地方公務員、英会話講師などを経てメジャーリーグ日本語公式サイトの編集に携わった後、ライターとして独立。雑誌、ウェブなどさまざまな媒体に寄稿し、2004~08年は「スカパー!MLBライブ」、2016〜17年は「スポナビライブMLB」でコメンテイターも務めた。プロ野球は2010年から東京ヤクルトスワローズを取材。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』、編集協力に『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』などがある。