規模がとにかくスゴい!NBAオールスター2023の寄付総額1,487,800ドル
今回のオールスターで寄付金が設定されたイベントは、『NBAオールスターセレブリティゲーム』、『スリーポイントコンテスト』、『NBA HBCUクラシック』 、『第72回NBAオールスターゲーム』の4つ。
『RUFFLES オールスターセレブリティゲーム』
アメリカのポテトチップスブランドRUFFLESが冠スポンサーとなり、元NBA選手をはじめ、俳優やミュージシャンなど著名人が出場するエキシビジョンマッチ。
ハワード大学(ワシントン州)とがん研究のためのクラウドファンディングを行う非営利団体「5 For The Fight」との提携によるインターンシップへの支援金として10万ドルを寄贈。また、第3クォーターと第4クォーターの間に行われた3ポイントコンテストにて6万3000ドルの寄付額を集めた。
『Starry 3ポイントコンテスト』
NBA、WNBA、NBA GリーグのオフィシャルソフトドリンクとしてスポンサードしているStarry主催のイベント。ルールは、1点、2点、3点の3種類(最大40点)のボールをスリーポイントラインから狙い、より多くの点数を獲得した選手が勝利となる。まずは8選手よる予選ラウンドが行われ、上位3選手が決勝ラウンドを戦った。
各ラウンドで30ポイント超が達成されるとNBA基金に30万ドルが贈られる仕組み。予選ラウンドにてタイリース・ハリバートン選手(インディアナ ペイサーズ)が31点の高得点を記録し、STARRYがNBA基金に30万ドルを寄贈。
『NBA HBCU クラシック』
本取り組みは、教育、キャリア、経済的機会を必要とする伝統的黒人大学(HBCU)コミュニティを支援する取り組みの一環として、2022年に初開催された。第2回目となる今回は、グランブリング州立大学とサザン大学による試合がユタ大学ジョン・M・ハンツマンセンターにて開催された。協賛を務めるAT&T(情報通信会社)より両大学の学生への支援金として10万ドルずつ寄付された。
『第72回NBAオールスターゲーム』
今回のオールスターゲームは、チームレブロンが青少年サポート団体「ビッグブラザーズ/ビッグシスターズ」に、チームヤニスが里親に引き取られた若者を減らし、生涯の目的構築を促す団体「レイズ・ザ・フューチャー」への寄付金をかけて行われた。
まず、NBAオールスターゲームが開催される前日にユタ大学構内にあるジョン・M・ハンツマンセンターにて公開練習が実施され、90秒の間にハーフラインから3本のシュートを決めるチャレンジが行われた。両チームともチャレンジにクリアし、それぞれの団体に15万ドルの寄付金が集められた。
そして、オールスターゲーム当日は、最初の3クォーターは各クォーターの勝利チームに10万ドル、試合終了時に勝利したチームに15万ドルが贈呈された。
第1クォーター:46-46の同点で両チームに5万ドル
第2クォーター:53-46でチームヤニスが制し「レイズ・ザ・フューチャー」に10万ドル
第3クォーター:59-46でチームヤニスが制し「レイズ・ザ・フューチャー」に10万ドル
第4クォーター:最終184-175でチームヤニスが制し「レイズ・ザ・フューチャー」に15万ドル
さらに、ゲーム中両チーム合わせて92アシストを記録したことから、NBAスポンサーのステートファーム保険より17万4800ドルそれぞれ団体に分配された。
社会・地域と連携したチャリティ活動も幅広く実施
NBAでは、アメリカおよび世界の社会課題を解決するために活動する「NBA Cares」というプログラムが展開されている。今回のNBAオールスター2023では、現役選手、OB選手による地元小学校への訪問やフードバンク、子どもを対象に未来のバスケットボールプレーヤー育成を目的としたクリニックなどが実施された。
今回、NBA Caresの取り組みの一環として、ソルトレイクシティにあるリンカーン小学校に教育と遊びのためにNBAの設備が導入された。それを記念して行われた落成式では、NBA副コミッショナー マーク・テイタム氏やユタジャズのコリン・セクストン選手、OBのサール・ベイリーらが出席し執り行われた。本プロジェクトは、保険会社ステートファームと共同で資金提供している。3Dプリンターやロボットを活用したプログラミング教育、タッチスクリーンボードなど最新技術が備えられたSTEM教室、バスケットボールフープ、照明の改善、床デザインがリニューアルされた体育館の改装が行われた。
改装されたばかりのSTEMラボと体育館では、現役選手・OB選手によるレクリエーションも実施され、児童たちが最新鋭の設備に興味津々の様子だった。
日本のスポーツ界でも地域と連携した様々な社会貢献活動が行われているが、リーグを立ててここまでの規模での取り組みはあまり見かけない。日本との大きな違いは、スポンサーとの連携にあるのではないか。今回のリンカーン小学校の事例も、ステートファームの協力なくして実現はなかったはずだ。アメリカ企業は、チャリティやボランティアに対する考えが寛容で支援する文化が根付いている。日本のリーグ及びスポーツチームは、スポンサーとの強固な関係づくりが未来に向けた活動として重要になるだろう。周りのステークホルダーを巻き込むことでチーム単位の活動よりもはるかに限界が広がるはずだ。
もう1つNBAならではの活動を紹介したい。それは、次世代の黒人起業家や黒人技術系リーダーを支援することを目的とした「NBA基金ピッチコンテスト」。Black Lives Matter運動をきっかけに発足した活動で、各社自社のビジネスモデルを3分間でプレゼン。記念すべき初開催となった今回、NBAとパートナーシップを組むアメリカン・エキスプレスの最高マーケティング責任者や音楽配信サービス会社United Mastersの最高経営責任者ら5名が審査。見事1位に輝いた企業には、NBA基金より5万ドルの支援金が授与されるというもの。
黒人起業家、技術者の支援を目的に初開催された「NBA基金ピッチコンテスト」今回、ワックス脱毛サロン「Empire Body Waxing」を経営するJenna White氏が見事に1位に輝き5万ドルを手にした。このサロンでは、女性にも男性にも対応できる、贅沢でリーズナブルなワックス脱毛を提供している。また、Empireではボディシェイミングなく、どんな人でも安心して施術を受けられるサービスであることが評価された。
「NBA基金ピッチコンテスト」で1位に輝いたワックス脱毛サロン「Empire Body Waxing」本記事内で紹介した活動以外にもオールスター期間中に限らず多くのチャリティ活動に取り組んでいるNBA。日本にもNPB、Jリーグ、B.LEAGUE、Vリーグ、Tリーグなどプロリーグはあるが、どのスポーツにおいてもリーグ単位よりもチーム単位での活動が多い。日本のリーグもチーム・スポンサーなどあらゆるステークホルダーとタッグを組んだ活動を活発化させることが未来に繋がるのではないか。NBAが行う活動範囲は、小学生から社会人まで幅広く、世代を超えたファンを取り込むことに成功している。