パネルディスカッションでは近年の熱中症事情について意見が交わされたほか、登壇者それぞれが"過酷な夏の記憶"を語る場面も。松坂氏は、炎天下でのプレー経験を振り返り、「吹奏楽部やチアリーディングの皆さんはそういう環境での練習に慣れているわけではないと思うので、僕ら選手よりも応援する人たちの方が大変なんじゃないですかね」と、観客・応援者側のリスクに対する懸念を示した。

 続いてスポーツドクターの齊藤雅彦氏の講演も行われ、暑熱対策の三本柱として「暑熱順化」「身体冷却」「クーリングブレイク」を挙げた。子どもについては、体温調節機能が未発達で汗をかきにくいうえ、身長が低いために地面の照り返しの影響を受けやすいと指摘。また、指導者への遠慮から体調不良を伝えられないケースも多いとして、「やはり大人が守ることが非常に大事」と保護者・指導者の役割を強調した。

 試合中のクーリングブレイクについて、松坂氏は「試合の流れが変わるなど難しい側面もあるが、選手の身体を守ることを考えると、取り入れて正解なんじゃないか」と肯定的な見解を述べた。

 2026 FIFAワールドカップでのクーリングブレイク導入が予定されていることにも触れ、澤氏はサッカー現場での課題として、ポジションによって水分補給のしやすさに大きな差があることを明かした。「中央の選手はピッチを離れると数的不利になるリスクがあるので、セットプレーの隙を狙ってゴール裏まで走って水を飲んでいた」と当時の状況を語った。

 齊藤氏は身体冷却の方法として、「一番おすすめは手掌冷却」と説明。氷水に手をつけることで、手の血管を通じて深部体温を効率よく下げられるとした。

 イベントでは冷感ポンチョ「ザムスト COOL SHADER」を用いた実証実験も行われた。

 ゲスト3名が気温40度超の「酷暑日」を再現した透明テントに入り、体表面温度の変化をステージ上の巨大スクリーンのサーモグラフィでリアルタイムに映し出した。テントから出た直後は体が真っ赤に染まった状態だったが、濡らした冷感ポンチョを羽織ると、サーモグラフィ上の色が一気に「青」へと変化し、冷却効果が視覚的に確認された。澤氏は「首元はスナップボタンでとめられるので、自由に動かしやすい」と着心地についても言及した。

 齊藤氏は医学的見地から、「クーリングは運動中だけでなく、運動前・運動後も含めた全てのタイミングで行うことが重要」と解説。設備の整っていない環境で運動する小中学生にも冷感グッズの活用を勧め、「水分摂取と身体冷却を組み合わせながら、夏のスポーツを乗り切ってほしい」と締めくくった。


VictorySportsNews編集部

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