文=斉藤健仁

世界一の証が日本全国を巡回

©VICTORY

2019年、日本だけでなく、アジアで初めてとなるラグビーワールドカップが開幕するまでいよいよ2年を切った。

ラグビーワールドカップは、オリンピック、サッカーのワールドカップに次ぐ、世界第3の規模を誇る国際的なスポーツイベントだ。2015年、8回目となったイングランド大会も観客動員は約250万人、TVで40億人が、決勝戦1億2千万人が視聴し、イングランドにも海外から約46万人のファンが訪れておおいに盛り上がりをみせた。

その2019年の日本大会の開幕戦のちょうど2年前となる9月20日(水)を皮切りに、11月4日(土)まで46日間の間、この世界最大級の国際スポーツイベントを盛り上げる「ラグビーワールドカップ2019 2 YEARS TO GO FESTIVAL(トゥ・イヤーズ・トゥ・ゴー・フェスティバル)」が日本全国各地で行われている。

まず「2 YEARS TO GO FESTIVAL」の一環として、ワールドカップの優勝トロフィーが全国各地を回る「トロフィー・ロードショー」が開催される。

過去8大会にわたり世界の強豪国のキャプテンが掲げてきたワールドカップの優勝カップは「ウェブ・エリス・カップ(The Webb Ellis Cup)」と呼ばれる。1823年、ラグビー創始者と言われ、ボールを持って走ったという伝説のある、英国のラグビー校というパブリックスクールのウィリアム・ウェブ・エリス少年の名が由来である。

そのカップは純銀製で、金箔で覆われている。カップの持ち手には、ギリシャ神話のサテュロスとニンフの頭部が施され、また顎鬚のあるマスク、ライオンのマスク、そしてぶどうの木のモチーフによりカップ全体が装飾されており、歴代の優勝チーム(ニュージーランドが3回、オーストラリアが2回、南アフリカが2回、イングランド1回)が刻まれている。

すでに始まっている今回の「トロフィー・ロードショー」の特徴は、東京や大阪といった大都市だけでなくワールドカップが開催される12の都市など日本全国を巡回する。

公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会・チケッティング&マーケティング局広報・コミュニケーション部長の楠本淳氏は「世界に一つしかない優勝トロフィーを生で見る絶好の機会ですし、日本中でラグビーワールドカップを身近に感じることができると思います。また各訪問都市のメディアからも多く問い合わせをいただいている」と手応えを口にした。

◇今後の「トロフィー・ロードショー」のスケジュール

・10月14日(土)大阪 万博記念競技場(トップリーグ・神戸製鋼対パナソニック)
・10月21日(土)愛知 瑞穂公園ラグビー場(トップリーグ・近鉄対NEC、豊田自動織機対トヨタ自動車)
・10月22日(日)兵庫 神戸市御崎公園球技場(トップリーグ・NTTドコモ対キヤノン、神戸製鋼対リコー)
・10月28日(土)福岡 東平尾公園博多の森球技場(日本代表対世界選抜)
・10月29日(日)札幌 札幌駅前通地下歩行空間北3条広場
・11月4日(土)神奈川 横浜国際総合競技場(日本代表対オーストラリア代表)

展示場所や時間など、詳細についてはラグビーワールドカップ公式HP(https://www.rugbyworldcup.com/trophy-roadshow)でもチェックしてほしい。また、上記だけでなく、大阪府など開催自治体でも巡回イベントが開催される予定もあるので、近くに住んでいる方は間近で優勝トロフィーを見る絶好のチャンスとなる。なお優勝トロフィーは実際に手にすることはできないが、いっしょに写真を撮ることはできるという。

大会の全貌は11月に発表

©Getty Images/World Rugby

W杯へ向けた動きは、一気に加速していく。2019年9月20日に開幕戦(@東京スタジアム)、2019年11月2日に決勝戦(@横浜国際総合競技場)で決勝戦が行われることはすでに決まっていたが、この11月2日にはいよいよ2019年のワールドカップの48試合のすべての対戦カードと日程、会場が決定し、いよいよチケット販売の概要も発表される。

「48試合の対戦カードと試合会場、日程が決まると同時に、この11月2日に、いよいよチケットの発売スケジュールなどの詳細も発表されます。この発表を機に、日本全国の皆様に、ラグビーワールドカップが日本で開催されるということを改めて実感してもらいたいですね」と楠本氏も語気を強める。

つまり、ラグビー日本代表をはじめ、2連覇中の「オールブラックス」ことニュージーランド代表や、元日本代表の指揮官であるエディー・ジョーンズが率いるイングランド代表など各チームの試合会場、日程なども決まるため、日本のスポーツファン、ラグビーファンだけでなく世界中のラグビーファンが、具体的な日本への観戦旅行の計画を立て始めることができるようになろう。

ラグビーワールドカップはオリンピックと違い、その国の複数の都市で開催される。また、コンタクトの激しいラグビーは、試合と試合の間隔もサッカーワールドカップより長い。そのため、サッカーのワールドカップの開催期間が約1ヶ月であるのに対して、ラグビーのワールドカップは約1ヶ月半と長丁場となっている。

世界のラグビーファンは、この機会を利用して、試合と試合の合間に開催国に長期滞在し、観光を楽しむのが通例となっている。2019年ラグビーワールドカップは、アジアで初の開催となり、ニュージーランドやオーストラリア、そしてヨーロッパからも直行便で日本まで来られるため、海外から多くの人が日本中を訪れることになることになろう。

楠本氏も「この9月20日からラグビーワールドカップの公式チケットサイトがオープンし、チケット購入のためのID登録が始まったのですが、実は想像していたよりも海外からの登録が非常に多くてビックリしています!」と言うほど、海外からの注目度は高いのが現状である。

そして、11月4日(土)には神奈川・横浜国際総合競技場で、ラグビー日本代表と前大会の準優勝チームで過去に2度の優勝を誇る世界ランキング5位のオーストラリア代表戦が行われる。2年後の11月2日にラグビーワールドカップ2019の決勝戦が開催されるスタジアムで、今回の「トロフィー・ロードショー」と「2 YEARS TO GO FESTIVAL」もゴールを迎えることになる。

海外では2年後のラグビーワールドカップに向けて興奮は高まっていることは間違いない。日本のスポーツファンもラグビーファンも、スタジアムで日本代表や世界の強豪の試合を見たいと思っている人も多いはずだ。

まずは大会公式チケットサイト(www.tickets.rugbyworldcup.com)でID登録をし、日本中だけでなく世界中で争奪戦必至となるチケットを手に入れて、2019年はぜひともスタジアムで熱い声援を送ってほしい!

ラグビー組織委員会の楠本淳氏 ©VICTORY

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スーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズは2日に記者会見を行い、ラグビー日本代表のヘッドコーチ(HC)であるジェイミー・ジョセフ氏が、18年シーズンの同チームのHCに就任したことを発表した。2年後に迫っている日本開催のラグビーW杯での歓喜を目指し、前例のない兼任HCとして采配を振るうジョセフHCは、どのような強化策を描いているのか。

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斉藤健仁

1975年生まれ。千葉県柏市育ちのスポーツライター。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパンの全57試合を現地で取材した。ラグビー専門WEBマガジン『Rugby Japan 365 』『高校生スポーツ』で記者を務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。『エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡』(ベースボール・マガジン社)『ラグビー日本代表1301日間の回顧録』(カンゼン)など著書多数。Twitterのアカウントは@saitoh_k