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ネット上のうわさはどこまで本当か?

――今回は2本立てなので、下町PJさんの思いという部分は兄弟記事に任せ、「ネット上で語られているうわさはどこまで本当か」という部分にフォーカスして伺います。
 
下町PJさんは、ネット上で要約すると「何も知らないジャマイカを騙してタダで粗悪品を送りつけた」「自分たちのマーケティングのためにジャマイカを踏み台にしようとした」「検査にも通らないソリを作った」、はては安倍晋三首相との写真に収まったことで「安倍首相案件」といった言われ方をしています。残念なのは、根拠に乏しい風評を広めたのがネット上の有象無象だけでなく有名なジャーナリスト、ブロガー、タレントなどでもあったということ。
 
大野和明(以下、大野) われわれは、その状況については把握しています。
 
――今回のインタビューは、そうした状況について当事者に話を聞いたメディアがほとんどないことを踏まえ、「実際どうなのか」ネット上でのデマを直接あててみるのがテーマです。別に特別なことでは何もなく、当たり前の取材なのですが。その前に大前提として、ジャマイカ連盟と下町PJの関係は「共同開発者」なのですね? 選手とサプライヤーということだけではなく。
 
國廣愛彦(以下、國廣) そうです。こちらが勝手に作ったものを納品しているということではなく、ジャマイカと話し合いをし、了解のもとで開発を進めてきたということです。
 
――ジャマイカ側が選定した元メダリストの技術者を招へいし、共同開発を進めてもいたそうですね。ネットには「選手の声が入っていない」などの書き込みもありました。まずはこちらの質問から伺います。

Q.2018年1月に行われた2度のレギュレーションチェックに不合格だった ⇒ A.事実だが、レギュレーションチェックの捉え方が違うし、日付も違う。

國廣 レギュレーションチェックは1月4日、16日、20日の3回受けています。4日は4点の指摘を受け、16日は問題なく合格、20日は2か所の軽微な修正を指導されました。下町ボブスレー9号機と10号機は、あくまで開発当時ジャマイカ側の技術者であったトッド・ヘイズ氏のコンセプト・設計に合わせたソリです。
 
国際ボブスレー連盟のレギュレーションはソリ各部のサイズや材質を細かく規定した分厚いもので、審査時には審査員によって測定方法が違うこともあります。今回の1回目のレギュレーションチェックでの指摘事項には、下町PJから「レギュレーションの解釈や測定方法によって違反とされる恐れがある。」と指摘した部分も含まれていますが、ジャマイカ側の希望通りに作りました。
 
ジャマイカ側に悪意があったわけではなく、実際2017年10月の北米杯に挑む前のレギュレーションチェックでは合格しています。だから、ジャマイカ代表を北米杯に送りだすことができ、銀メダルも獲得できています。
 
――2017年12月のW杯から、ジャマイカはラトビアBTCというソリを使い始めました。もちろんそれは契約違反なのですが、その後にハンネス・コンティ氏を紹介されたのですね。
 
大野 そうです。BTCのソリを使用後に、そのソリより速くして欲しいという要望が出てきました。そこでジャマイカ連盟から紹介されたのがハンネス氏です。下町PJは2017年12月にジャマイカ連盟の指名した公平な第三者であるオーストリア人技術者ハンネス・コンティ氏とお会いし、彼の意見を踏まえて改良を行ないました。そして、1月の中旬に入りネット上で言われる「2回目のテスト」が行われました。
 
國廣 コンティ氏のノウハウを追加した10号機は、より速くなりました。改良部分の確認が必要ですから、レギュレーションチェックをセットしたのは私です。このチェックは「課題をあぶり出す」ために受けたものです。2017年1月4日のことで、これがネット上で言われている「1回目のチェック」に当たります。
 
ヨーロッパカップの会場で行なわれたものですが、IBSFに確認し「レギュレーションチェックのレベルは五輪を含め均一である。」との回答を得ています。そして、1回目のレギュレーションチェックの課題を修正してジャマイカチームに1月14日に10号機を引き渡しました。ジャマイカチームは1月15日、16日に比較テストを行ない、16日の夕方にはレギュレーションチェックを行いました。そのチェックでは、合格しています。
 
手元には書類はないですが、現在IBSFの審査官から郵送してもらう事になっています。普通ならこれで問題は解決ですが、ジャマイカチームは20日に再度レギュレーションチェックをセットし、軽微な不良のみ指摘されました。アジャストすれば問題ない部分です。
 
――ということは、最終的に納品はきちんと終わっているわけですね。

國廣 終わっています。そもそも半年前の2017年3月にトット・ヘイズ氏の元で、ジャマイカと共同で開発した9号機と呼ばれる、10号機と同様のジャズミン選手専用モデルを納品しているのです。また契約書では「納品したら、その後の責任はジャマイカ連盟が持つ」ということが明記されています。
 
納品後に、必死になってレギュレーションチェックを通さねばいけないのは本来ジャマイカ側なのです。もちろんこちらも協力しますので、コミュニケーションとしては「レギュレーション違反だから、ここを直してくれ」になるはず。しかし、残念ながら12月以降の2ヶ月ではそうはならなかったということです。

(C)下町ボブスレーネットワークプロジェクト

Q.「2017年12月の納期に間に合わなかった」のか? ⇒ A.間に合っている

ということは、上記の件もそうなのですね。間に合っているし、本来ジャマイカ側の責任である部分も下町PJが引き受け、レギュレーションチェックを通すために尽力したと。一方、本来であれば「直してくれ」になるはずが、全くそういう話し合いはなかったと。
 
國廣 12月以降はそういう協力的に物事を進めていく関係にはなれていなかった。BTC使用以降お互いがチームとしての話し合い自体がそもそもなくて、メカニックの要望通りに作ったものに対しても耳を貸さない。また、ジャマイカ側が紹介したハンネス・コンティ氏が公平な立場で行なった滑走テストの結果も見ない。

大野 実はソチ五輪のときも不採用になって、その時も散々バッシングを受けたんですね。「レギュレーションに受からないソリを作りやがって」と(苦笑)。弁明したい部分が多かったのですが、その声は届きませんでした。ただ、2015年11月にIBSFの審査官を日本に呼んで様々な検査具を使って確認してもらい「パーフェクトだ」という評価を受けています。僕らは、決して変なものを作っているわけではない。それはお伝えしたいです。レギュレーション違反という言葉が、そもそもきついですよね。欠陥品だという印象を受けます。

――「製品チェックに通らない不良品」ぐらいの印象を与えていますね。ただBTCやBMWなりのソリでは起きていることなのでしょうか? 
 
國廣 BTCのソリは経験と実績があり、めったにレギュレーションチェックには引っかからないでしょう。下町はゼロから新しい挑戦をし、レギュレーションの指摘に対応しながら進化しています。他国のソリも、資金不足のチームが破損個所を直せず寸法が変わってレギュレーションチェックに引っかかることがありえますが、あまりひどいものでなければ失格にならないこともあるようです。
 
大野 改造車を作ってルールを無視してバリバリ走ってるなら落とすと思いますが(笑)、僕らはそういうものは作っていません。

(C)下町ボブスレーネットワークプロジェクト

Q.ドイツでの滑走テストで、ラトビア製BTC(ソリ)と比較して2秒遅かった? ⇒ A.テスト条件が公平でない。BTCの回(16日)はすべてのソリが速かった

國廣 これは、テスト条件が同一ではありませんでした。2018年1月15日にテストを行ない、下町のソリとランナー(刃)、パイロットはジャズミンとセグリニーという選手が乗車。重量は測っていません。翌16日にはラトビアBTCを使い、パイロットとブレーカーは一緒ですがランナーが違いました。F1でいえば、履いているタイヤが違うものです。重量も不明でした。
 
両日とも気温・天候が違ううえ、15日はペイ・プラクティスデーで「お金を払えば誰でも練習していい」日でした。しかし、16日はW杯公式練習日。しっかり製氷され、アイスマンがレースの状況を整えていました。 
 
――外的要因・内的要因とも、両日でまったく条件が異なったということですね。
 
國廣 そうです。15日(ペイデイ)の全体の数字と16日(公式練習)のそれを比較するとわかることですが、下町ボブスレーとBTCだけではなくすべての滑走において16日が速かったのです。もちろん全体が2秒差あるわけではないですが、1秒前後の差は間違いなくありました。それだけ条件が違うのに、「2秒遅い」ということにどれだけの信憑性があるか。
 
再度お伝えしますが、われわれは「ジャマイカ側が用意した」公平な第三者であるハンネス・コンティ氏に2017年12月30日にオーストリア製のワルナーと改良した下町と、環境条件やセッティング、選手などフェアな条件でテストしてもらった所、オーストリア・インスブルックのコースで「最速と呼ばれるオーストリア製のソリ・ワルナーと同等」という評価を受けています。ワルナーはBTCより速いという評価なので、ハネス氏からは下町ボブスレーはBTCより速いという評価も得ています。
 
――続いて伺います。

Q.「安全性が低い」というのは本当か? ⇒ A.本当ではない。レギュレーションをクリアしている。

大野 これはレギュレーションチェックで、ランナーの操舵角の部分のことを言われているのだと思います。
 
國廣 ランナーの操舵角は最大12度という規定があり、我々のソリはそこに入っています。ただ、若干のカーボンの小ささで、ランナーがソリの外からでてしまうというところがあるので、そこは改修しました。
 
大野 レギュレーションというのは、IBSFも安全性を守るために作っていると思います。その角度についても、その場の調整によってすぐに直せるレベルの違反だったわけです。
 
國廣 ピンを一つ入れるだけで修正できるものでした。直そうといえば、翌日に直せる程度の軽微なものです。ジャマイカ側からは、スピードについての言及は12月30日のテスト結果以降でておらず、最終的には「アスリートが安全でないと言っている」という主張をされました。でも、スピードに関しては上記のとおりですし、レギュレーションの範囲内ですから「安全でない」ということも否定できると思います。
 
大野 遅くないということをデータで示し、安全性もレギュレーションをクリアして示したわけです。
 
國廣 オリンピックという状況もつらいですね。どうしても、人にフォーカスされがちです。「いくら契約があっても遅いものは遅いだろう」と言われてしまうので。
 
――そもそものラトビアBTCを「レンタルする」(※後日、レンタルではなく元コーチの私物であることが疑われたが真偽は不明)ことを許容したのは、輸送会社の倉庫でストがあったせいで、ノースアメリカンカップを転戦していた10号機が北米から欧州に届かなかったという経緯がありました。
 
國廣 ジャマイカ側から「ソリが届かない、このままでは五輪に出られない。ワールドクラスのソリをレンタルできた。」ということで許容しました。契約上は、選手がワールドカップ等の公式レースで他のソリに乗るなんてことはあり得ません。非常に不本意ですが、緊急トラブルであり、なおかつ同じ五輪を目指すチームとして許容しました。
 
――ジャズミン選手が五輪に行くことを、契約よりも優先したわけですね。もちろん、選手が出られなければ契約も意味がないとはいえ。

大野 僕らだってすごくアスリートのことを考え、スポーツの道具を作っているという前提はありますから。

(C)下町ボブスレーネットワークプロジェクト

Q.「自国で採用されないほど低性能なソリ」という批評は本当か ⇒ A.今回と同じこと。新参者は圧倒的な性能差がないと採用されない。

國廣 日本連盟とは包括協力協定を結び、五輪直前の2013年10月にソチを目指す共同記者会見をしているほどですが、現場の選手・監督から27項目の改修要望を受けました。すべてすぐに修正可能でしたが、「検証する時間的な余裕がない」として不採用になりました。
 
直後の全日本選手権では好成績を残しています。その経験から僕達は、ソリの開発に全力を挙げてきました。世界のライバルも毎年性能を上げてきますから、ドイツの実績のある有識者を招聘して検証したり、海外のドライバーに評価を受けるなど、下町としてのノウハウを積み重ねてきました。そして2016年から現在までジャマイカチームとの共同開発では、BMWでも開発経験のある方のノウハウが入り進化しています。
 
大野 僕らも欧米の方々が積み重ねたアイデアに触れ、海外に出たことで大きなものを得ています。海外のコーチが「ああ、こういう視点で作るんだ」ということが。その点は、昔とは大きく異なります。
 
――ただ当時の時点では、日本連盟は採用しなかったということですね。
 
國廣 はい。実績を積み重ねられてない新規参入のソリはなかなか使ってもらえません。僕たちは「採用されなかった」ということを深く受け止めなければならないと考えています。

Q.補助金を、不当に6,000万円入手している? ⇒ A.不当になんてあり得ない

國廣 国の補助金なんて、そもそも不当に入手はできないですよね。国の「ジャパンブランド育成支援事業」は2013年から2015年まで3年間使わせて頂きました。中小企業が海外販路を開拓するために経費について3分の2を補助していただける制度でした。年間の限度額が2000万円ですが、各年度とも満額ではありません。
 
補助金の対象経費には細かい規定があり、下町PJではドイツの医療機器部品の展示会に出展したんです。各社のブースの真ん中にボブスレーを展示して来場者の注目を集める、といった販路開拓の取り組みについて補助を受けました。ソリ輸送費や人間の渡航費は補助して頂いていますが、ハードウエアの開発経費は対象としていません。申請内容は所管の経済産業省にチェックされていますし、事業終了後には会計検査院の監査も受けたんです。
 
――使途目的は限定されているのが当たり前ですし、不正使用があるなら誰かに刺される話ですからね。

Q.安倍晋三総理大臣との関係性は? ⇒ A.単に報告しにいっただけ

國廣 安倍首相は、この場所(インタビューは株式会社フルハート・ジャパン様のオフィスで行なわれた)にもいらしたことがあります。中小企業の成長戦略の一環として、下町ボブスレーについて施政方針演説で「大田区でこんな取り組みがある」と取り上げてくださいました。「この取り組みで、中小企業が活性化したらいいですね」という話でした。
 
あとの繋がりは、2016年7月にジャマイカチームに採用されたことを首相官邸に報告しにいったことですね。両国の国交を広げる可能性があるとして、外務省の冊子などで下町ボブスレーを取り上げてくださいました。そういう点で自信ができたので、安倍首相に報告しにいったということです。
 
――アベノミクスの第三の矢、成長戦略にマッチしたということですね。日本の産業を、海外に輸出するという部分で。
 
國廣 それを言っても「いや、普通の人ならそもそも報告しに行けないはずだ」と言われるかもしれませんが、僕たちはご挨拶をして記念撮影をしただけです。

大野 われわれは、ソリの製作もPR活動、スポンサード活動なども町工場が協力し自力でやっていますから。そこの自負は強く持っています。ネットに出回ってる写真にしたって、あれは中小企業サミットの際にボブスレーをお貸ししたものであって。僕らは中小企業どころか零細企業であり、下町ボブスレーの活動では持ち出しの方が多く利益も全く出ていません。もちろん大前提として首相に零細町工場が挑戦している取り組みを応援していただけるのはありがたいですけど。
 
國廣 しかも成果物は出しているわけですよね。結果こうなったからいきなり補助金泥棒、と言われるのはよくわかりません。

Q.公式アカウントで過去、平昌五輪を揶揄するツイートが見られたが?  ⇒ A.おっしゃる通り。管理が甘かった。

大野 おっしゃるとおりです。この件については、僕らの管理が不十分でした。公式アカウントもサイトも複数人で共同管理しているですが、4年前に我々の仲間がそういう情報を配慮せず悪意なく書き込んでしまいました。
 
國廣 これについては私の責任です。管理・監督が甘かったと言わざるを得ません。マネジメント側のチェック機構が機能していなかったと思います。
 
大野 組織のようで組織ではなくて、たとえば「**さんツイッターやっといてね」となったら任せっきりになっていました。そこはいまさらですが反省しまして、最近の発信では非常に慎重に行なっています。

Q.下町応援団幕に「打倒日本」「日本に勝て」の横断幕があった? ⇒ A.承知していないが、われわれにそのような気持ちはない。

國廣 ソチ五輪の前の話ですよね? あるとしたら、全日本選手権でしかないと思います。これも同じく、しっかりしたチェック機能がないままやらせてしまっていたところかと。
 
大野 もっとも応援団幕ですからね。僕らの意向に沿うように書いてください、ということは言えません。ただ、僕らにそんな気持ちはないですよ。
 
――恐らく、ソチ五輪時に日本代表に採用されなかったことで、見返してやりたい気持ちがあったのではということなのでしょう。
 
大野 ああ、そういうことなんですかね。
 
國廣 どのような局面で出されたものなのか、いずれにせよきちんと説明できる話だと思います。

Q.下町ボブスレーPJは、最初からマーケティング目的だった? ⇒ A.最初からそう明言しているし、それだけでもない。

國廣 ビジネスで始めるわけですから、マーケティング目的ではあります。僕らは日本のものづくりの良さを世の中に知っていただく、そのためにやっています。それはHPに書いていることで、若い子たちに日本のものづくりの凄さを知ってもらい、興味を持っていただきたい。そういうことが一番ですね。
 
――それらすべて隠していなくて、最初から「そういうプロジェクトだ」と明言されていますね。
 
大野 もちろんそこだけじゃなくて、僕らは気持ちでやっている部分も大きいですから。町工場のおじさんたちがどうして下町ボブスレーに協力してくれたかというと、心意気や意気込みの部分が大きいんです。「細貝さんが言うなら、やってみようぜ」「誰々ががんばってるから俺も協力するよ」といった、マーケティングというより地場の繋がりの部分ですね。
 
國廣 うまくいけばマーケティング大成功で、叩かれることもなかったですよね。実際はマーケティングどころか、無償でやっているわけで。補助金があるし大企業からのスポンサードもあると言ってる人いますけど、僕ら一円ももらってないんですよね。
 
大野 僕達のような多くの協力企業や支援者が、部品を作る時間やプロジェクト運営やPR活動などの労力も、どれだけ掛けてやってるかということですよ。
 
<了>

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