横浜では有名な話らしいが、2年前の横浜の市長選のときは、候補者のひとりとして名前が挙がっていた池田氏に直撃した。

「ちょうど横浜DeNAベイスターズの球団社長を辞めて横浜を離れたタイミングだったのですが、そんな噂が出ていたのは知っています。(市長選に)出るとすら言っていないのに、“出ないと言え!”、と横浜の有力者から言われたときには混乱しました。こちらはそんな気持ちは全くなかったから本当に驚きました(笑)。このIR誘致はその市長選のときも争点になっていました。林文子横浜市長は『白紙』として当選したようですが、当時横浜の“村人”だった人間として言わせていただくと、それを今更ひっくり返すのは市民に不誠実にうつっているのではないかと思います。そんなに早く計画が進むわけがないから、最初からそうするつもりだった“出来レース”のように思えてしまうのでしょうね。

『白紙と言ったが誘致しないとは言っていない。市民を裏切ったつもりはない』という説明が逆説的にはたらいていて、横浜市民は蚊帳の外感が強く、納得できないのでしょう。本来ならば、住民投票や信任投票が必要な事態だと思います」

IRの誘致は、スポーツ界にとっても無関係ではない。横浜には今も新たなドーム型のボールパーク構想があり、IRを誘致するといわれている山下ふ頭もかつて候補地の一つにあがっていたとされる。

「いま横浜DeNAベイスターズの試合は、毎試合満員になるほどの人気ですし、来年には東京オリンピックの野球の試合が横浜スタジアムで開催されるなど、横浜のスポーツシーンはまだまだ盛り上がる余地があります。ラスベガスなどを見れば分かりますが、IRとスポーツは親和性が高いというのが世界的な常識。本当に誘致されるかどうか、その賛否については私は部外者なので意見を述べる立場にありませんが、一般論から言うと、アリーナを含めて横浜のスポーツ地図が変わる可能性がありますね」

林市長は、IR誘致の理由として市の将来的な財政を挙げているが、

「財政が厳しいからIRという説明では短絡的で、市民に対して説明責任を果たしているとはあまり感じられないのでしょう。となりの川崎市は、行政改革を行うことで黒字化を果たしていますし。カジノが市の財政を潤すであろうことは誰でも理解できますが、街の文化や景観に与える影響も大きい。カジノを主軸に市民対話するのではなく、市民が家族で楽しむことができるスポーツやエンターテインメントを含めて対話を一から始めたほうがよかったのかもしれません。

案の定規定路線のように、なし崩し的に、2.6億円のIR推進費の補正予算案も9月に自民党が多数の議会で議決されていくらしいです。横浜に縁がある人間は誰もがこの問題には注目し続けていくでしょう」

すでに反対派も記者会見を行い、市長との全面対決の姿勢を明らかにしている。国策とも関わるこの問題、横浜市民ならずともその行く末が気になる。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部