2020年は東京五輪が7月24日に開幕し、男子ゴルフ競技が7月30日~8月2日、女子ゴルフ競技が8月5日~8月8日に開催されるため、期間中は試合を開催しない。

この期間に開催されていた2試合は、「大東建託・いい部屋ネットレディス」が1週間前倒しの7月23日~7月26日に開催。「北海道 meiji カップ」は休止となった。7月第4週に開催されていた「センチュリー21レディスゴルフトーナメント」は、契約満了により終了となった。

一方、37試合中5試合の賞金総額がアップした。6月25日~6月28日の「アース・モンダミンカップ」と10月22日~10月25日の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」の2試合は、4000万円増でツアー史上最高額となる賞金総額2億4000万円。5月28日~5月31日の「リゾートトラスト レディス」は、3日間競技から4日間競技に変更したことにともない、2000万円増の賞金総額1億円。大会名称を変更した7月17日~7月19日の「サマンサタバサ & GMOインターネット ガールズコレクション・レディーストーナメント」が3000万円増の賞金総額9000万円。10月16日~10月18日の「富士通レディース」が2000万円増の賞金総額1億円と、各大会主催者の期待が表われる結果となった。

2019年の女子ツアーは渋野日向子というニューヒロインの誕生により、大いに注目を集めた。8月1日~8月4日の「AIG全英女子オープン」で海外メジャー初出場初優勝という快挙を達成してからは、渋野の姿を一目見ようと大勢のギャラリーがトーナメント会場に押し寄せた。

その後、笠りつ子の不適切発言により女子ツアーに厳しい視線が向けられた時期もあったが、渋野が最終戦まで賞金女王争いを演じたことで、盛り上がりがしぼむことはなかった。

結果的に渋野は、賞金女王には手が届かなかったものの、39試合中31試合に出場し、年間4勝を挙げ、賞金ランキング2位に躍進した。
2019年シーズン開幕当初はQTランキング40位で、開幕戦の「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」に出場できない立場だったが、2020年シーズンは出場する試合を自分で選べる立場になる。
大会主催者もそのような立場の変化が分かっているからこそ、渋野に出場してもらうために賞金を増額しているわけだ。

ただ、渋野は「AIG全英女子オープン」の優勝により、2020年の海外メジャー全試合に出場することができる。4月2日~4月5日の「ANAインスピレーション」、6月4日~6月7日の「全米女子オープン」、6月25日~6月28日の「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」、7月23日~7月26日の「エビアン選手権」は海外の試合を優先する可能性が高い。

そう考えると、「全米女子オープン」の前週に開催される「リゾートトラスト レディス」や、「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」の同週に開催される「アース・モンダミンカップ」が賞金を増額しているのは、渋野の出場の有無に関わらず試合の魅力を高めようとしており、ツアー全体に対する大きな期待がうかがえる。

また、渋野は2019年12月15日時点のオリンピックゴルフランキングで12位に入っており、2020年6月30日時点まで今の状況をキープすれば、東京五輪に出場することができる。
さらに、東京五輪に配慮して日程が変更になった「AIG全英女子オープン」(8月20日~8月23日)にはディフェンディングチャンピオンとして出場することになる。

これらのスケジュールをすべてクリアするために、最も注意すべきなのが故障だ。渋野は1998年11月15日生まれの21歳で、体力にはまだ十分に自信があるとは思うが、日本と海外を頻繁に行き来する転戦は想像以上に体力を消耗する。
2020年の女子ツアーの盛り上がりに、渋野の存在はもはや欠かせないものとなっているので、くれぐれも体調管理に気をつけながらスケジュールを調整してほしい。

一方、男子ツアーの2020年の日程はまだ発表されていないが、東京五輪に誰が出るのかが決まるまでは、相応の盛り上がりを見せてくれると思われる。

2019年12月15日時点のオリンピックゴルフランキングでは、14位の松山英樹と18位の今平周吾の2人が出場圏内だが、世界ランキングで見ると、松山が21位で、今平が32位。これに対し、石川遼が「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の勝利によって81位まで浮上しており、2人を猛追している。

男子の出場選手が決まるのは2020年6月23日時点となっているので、石川は日本の試合がない期間、海外の試合に積極参戦し、出場権獲得に向けたチャレンジをしていくだろう。まずは2020年3月末時点で世界ランキング50位以内に入り、「マスターズ」(4月9日~4月12日)の出場権を獲得したいところだ。
今平も今の世界ランキングをキープしていけば、2020年は海外メジャー全試合に出場できる。4月の「マスターズ」に加え、5月14日~5月17日の「全米プロゴルフ選手権」、6月18日~6月21日の「全米オープン」までの結果がオリンピックゴルフランキングに反映される。

東京五輪の出場権争いが熾烈になり、男子ツアーも国内外ともども盛り上がりを見せる展開になってほしい。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。