佐賀県唐津市が募集していた唐津市野球場のネーミングライツを“半額”にするという。1月から3月まで3年半420万円で募集したものの応募がなく、ついに210万円で売り出すことになった。

「あまりにもタイミングが悪い。業界の値下げスタンダードの流れをつくりかねない。いっそのことやめたほうがよかったかもしれない。企業の経営が厳しくなったときに最初に削られるのが広告費です。今はほとんどの企業が手の打ちようがなく、どこまで“数字”が下がるかを戦々恐々とした思いで見ている状態。これまでのように“多少赤字になってもスポーツをスポンサードしよう”、というどころか、スポーツ以前に先ずは自分の会社のことで手一杯という会社が多いのが現状でしょう」

半額にして契約がまとまった場合、契約更新の際に元の金額に戻すのは難しい。バーゲンセールばかりやっている店では、誰も定価の商品を買おうとしないのと同じだ。ネーミングライツが半額で売却されたとしても長い目で見た場合、スポーツ業界にとってプラスにはならないだろう。

「いまはテレビの生番組でもみんながリモート出演している。1ヶ月前まではこんなことになるなんて誰も思っていなかったでしょう。でももはやそれがスタンダードになっている。常識が変わったんです。スポーツ界でもこれからどんどん常識が変わっていくでしょう。スポンサーの“ミルク・マネー”やネーミングライツなどに頼っていては、アフターコロナの時代には取り残されてしまいます。

無観客で行うなら選手の感染予防はどうするのか。移動はどうするのか。MLBでは、リーグを再編してアリゾナとフロリダにチーム集結させて、そこで無観客試合を行うというプランも出ています。どういうふうにプレーをして、ファンを楽しませ、そして経営を成り立たせるか。ビフォーコロナの常識は通用しないのだという覚悟をもって、今は経営者側が必死に考えなければならないでしょう」

コロナ被害が比較的小さく、早めに収束することができた台湾や韓国のプロ野球は無観客での開幕を決めている。MLBや台湾、韓国のリーグがどのように試合を行い、そしてビジネスとして成立させるのか。もはやかつての常識にとらわれていても仕方がない。アフターコロナの新しい時代のスポーツがどうなっていくのか。彼らの動きは大きな参考になるのではないだろうか。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部