プロ野球再編問題をきっかけに2005年から始まったプロ野球のセパ交流戦が新型コロナウイルスの影響で初の中止に追い込まれた。当初の3月20日開幕が4月前半に延び、さらに4月後半、5月と開幕の時期をずらしてきたプロ野球だが、ついに例年どおりの143試合の開催はほぼ不可能な状態となった。

「日本だけでなく、世界各国の感染症の専門家の意見を見ていても、この1〜2ヶ月での収束というのは、難しいのが現状でしょう。1年以上かかるという方も多いし、なかには2022年まで自粛が続くというレポートもあります。要は誰にもわからないということ。そんななかでプロ野球やJリーグは、『今月は無理、来月はどうだろう?』という検討を繰り返しています。もちろん選手もファンも開幕を待ち望んでいるのは事実ですが、もし試合を開催してそこで感染が引き起こされたら、元も子もありません。無観客試合といっても選手は移動するし、スタッフや放送、報道の関係者も含めると多くの人が集まらざるを得ないわけですから。様々な側面や障害もあり言い出しにくいのは私も同じ。しかし、そろそろ思い切った検討や決断も必要なのではないかと私は思います」

仮にコロナが収束するタイミングが来たとして、すぐに試合を始められるわけでもない。

「例年の場合、選手は1月から自主トレを開始し、2月からキャンプ、オープン戦と準備を重ねて、3月末から4月の開催を待ちます。約3ヶ月、じっくりと準備を重ねて、本番のシーズンを迎えるわけです。現在は、すでにいったん作り上げた身体すら、思う存分動かせない状態。チームごとに対応が分かれていて、感染の拡大を防ぐためチームとしての練習を行っていないところもあります。

この状態から再び開幕を迎えるには、最低でも1ヶ月以上の時間が必要なのではないでしょうか。そう考えると、仮に5月6日の緊急事態宣言の期限で収束を果たしたとしても、開幕できるのは6月。とはいえ、ワクチンや治療薬も確立されていない状態では“完全”はなく、様々な側面で支障が立ちはだかるのが事実。1ヶ月刻みで“できる・できない”の議論をするのではなく、もうそろそろ中長期的視野を持って、プロ野球全体、各スポーツリーグをどうしていくか、選手の年俸の補償やファンやスポンサーへの対応など含め、いっそ今年を諦めざるをえないなど、思い切った方向にむかえない現状を脱する検討も必要ではないかと思います。最悪のプランをしっかりと議論し、見つめ、世の中やファンと対話し、そして実際に最悪にならなかったら、ラッキーなこと。」

中途半端な感染予防、中途半端なコンディションで開幕しても、心から楽しむことはできない。もちろん誰もが体験したことのない未曾有の事態だ。でもだからこそスポーツが果たす役割は大きい。

「いろいろなことも考えたい、大切にしたいのは皆同じ。しかし今重要なことはサバイブできるか否か、というところも多い。生き残られないことには、何もない」

開催を自粛するのにも、再開するのにも大きな責任がともなう。各スポーツ団体には、その責任を自覚しての対応を期待したい。とはいえ、最も重要なことは各々のクラブや球団、チームがこの状況を「サバイブすること」であるのは間違いない。




取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部