ジャイアンツOBによる苦言や、元&現役メジャーリーガーからの肯定意見などが飛び交い、大きなニュースに。
それらを考察する評論家、野球ファンのコメントが数多く寄せられていた。良い悪いは別にして(概ね良いだったが)、ほぼ一貫した共通認識になっていたのが原監督=名将という認識だった。
もちろん、共にリーグ1位のチーム防御率3.39、守備率.993の鉄壁のディフェンスも大きな要因だが、ジャイアンツの強さの理由、その中心には名将・原監督がいる。
現在、長嶋茂雄終身名誉監督の1034勝を超え、監督通算1048勝(791敗61分)を記録。
ジャイアンツの監督通算最多勝利は、“V9”川上哲治氏の1066勝で、まもなく巨人軍86年の歴史の中で最もチームに勝利をもたらした監督になる。
13年間(今シーズンで14年目)の監督生活の中で8度のリーグ優勝、3度の日本一を達成。
原が巨人軍第13代監督に就任した2002年以降、8度の優勝はすべてが原監督によるものである。
この通算成績がすべてを物語っている。
原監督=勝てる監督なのだ。
■2012年以来の日本一へ
新型コロナウイルスによるシーズン短縮の影響で、クライマックスシリーズが行われない今シーズンのセ・リーグ。
単純にシーズン1位だけを目指す戦いは先手必勝とばかりに、監督は開幕戦から動く。
1点を追う7回、相手が継投策に出ると代打攻勢。強引に流れを変える采配で、史上初となる球団6000勝を逆転勝利で飾ると、そのまま阪神を3タテして開幕ダッシュに成功。
親子鷹として知られた亡き父・貢氏の教え「動かずに失敗するより、動いて失敗しろ」を実践するかのごとく、次々と動いてチームの勝利を追い求めた。
開幕間もない6月25日には、5人に拡大された外国人の一軍登録枠をフル活用すべく、楽天からウィーラーをトレードで獲得。
続いて7月14日には、高木京介の負担が大きかったブルペン強化として、同じく楽天から変則サウスポーの高梨雄平を獲得。将来のエース候補として期待されていた高卒4年目右腕を交換要員としてまで、である。
どちらも獲得、即登録。選手育成の根底にある競争をあおるため、ファームからの昇格組を含め、新戦力を積極的に起用してチームを動かしていく。
4年ぶりに監督に復帰した昨シーズンは、選手を見極めていたというが、戦力を把握した今シーズンは、勝つことを徹底。躊躇のない采配で勝利を重ねた。
普段はサービス精神旺盛だが、試合が始まると“勝負の鬼”へと変貌するとされる原監督。
生え抜き、外様、ベテラン、若手、外国人への忖度はなく、サカマルにもバントを指示。「非情の采配」とも評されるが、“すべては勝利のため”である。
そして前述のピッチャー増田に、サカマル解体。さらには“神走塁”の増田大輝や代打の切り札“亀井慎之助”の出番の見極めまで、将棋が強い原監督らしい流れを呼んだ采配がピタリとはまる。
第3次原政権194試合目にしてわずか2例目のサカマル解体が行われた8月12日、絶不調にあった2人がそろって猛打賞の活躍。
デラロサの出番はなかったが、同じ助っ人リリーバーのビエイラが試合を締めて、今シーズン2度目の3連敗を止めた。
昨年の日本シリーズでソフトバンクに4タテされた屈辱を晴らし、2012年以来の日本一を目指す今シーズン。
名将・原監督が勝利のタクトをふるう。
※データは8/12現在