“あいつができるなら俺でもできる”と思われる選手に

―コロナ禍で活動が制限される中で、改めてスポーツであったり、卓球の価値っていうものの認識が変わった部分などはありましたか?

神:社会という大きなパイの中の、スポーツというパイの中に、卓球があるっていうふうに改めて感じました。社会から見ればまだまだ優先度は低いところにあるというか。でも、それに気づけたことは重要だと思っていて。やっぱり、スポーツは世界が平和じゃなきゃできないわけで。大会を開催するにしてもスポンサーの皆様であったり、サポーターの皆様のおかげで運営できていて、その上でスポーツが成り立つっていうことが、身に染みて感じられました。その一方で、スポーツの持つ力も大きいと思っていて。誰かに感動であったり、パワーを届けたりたりもできるので、そのバランスを踏まえた上で、卓球選手として、また違った自分をプレーの中で見せられるんじゃないかなと。だからこそ、再開した時には卓球っていうマーケットを大きくできるような行動をしていきたいと、微力ながら思っています。

―アスリートという存在の価値に関して言うと、どうでしょう?

神:アスリートとしてはあまり考えたことはなかったですね(笑)。シンプルに言うと、同じ競技をやっている方たちに、夢とか希望を届けたいっていうのが一番かっこいいし、一流のアスリートだなって思うんですけど。でも僕の場合は少し違っていて。例えば、野球選手はイチロー選手だけじゃないし、サッカーであれば本田選手だけじゃないですよね。トップオブトップの選手じゃなくても、競技一本でやっていける選手はたくさんいるわけで。でも、そこにいくことですら大変じゃないですか。卓球もそうで、僕は世界でも日本でもナンバーワンじゃなくて、たくさんいる選手のうちの一人なわけで。でも、その中で泥臭くやってきたところに共感というか、「あいつがやってんなら俺でもできるでしょ」くらいに思ってもらえるようなアスリートになりたいですね。夢とか憧れというよりは、現実的に叶えられそうな「目標」的な存在でいたいです。

―コロナをきっかけに、多くの選手がSNS活動を始められたと思うんですが、それはどのように捉えられていましたか?

神:それを待ち望んでいるファンがいるならいいと思いますし、その競技が少しでもメジャーになればいいことだったんじゃないかなとは思っていますね。ただ、SNSって少しのことで失言をしてしまったり、イメージが下がることもあるので、自分もそういうことには気をつけたいと思っています。

「実力に人気を伴わせたい」卓球界発展にかける思い

―今、神選手の立場から、卓球界に感じる課題などはありますか?

神:卓球っていう競技は、マーケットとしてはサッカー、野球に届いていないですけど、競技実績で言えば世界でも上位の国だと思うんです。スポーツって実力も大事ですけど、それに人気が伴うわけでもないじゃないですか。そういうところに違和感というか、もったいなさを感じます。もっと、伸びるポテンシャルがあるのにって。そういう意味では、実力に人気を追いつかせるところが課題だと思います。とはいえ、競技人口も増えてきていて、近年は追いついてきている傾向はあるとは思うんですけどね。ただ、僕たち選手のパフォーマンスも更に高める必要もあります。

―Tリーグ開催も迫ってきましたが、意気込みを教えて下さい。

神:年内無観客っていう発表が出ていて。個人的には、ファンの方たちと一緒になって戦うのが一番楽しいんですけど、プロ選手としては勝利を求められているので。コロナで無観客とか、リモート応援っていう外的要因には関係なく、競技を全うしたいと思っています。ただ、ラケット持っている時だけがプロ選手としての役割ではないので、大きなイベントなどができない分、オンラインサロンであったり、今回のPasYouを通じてもっと個人向けの発信をすることで、新たな形にチャレンジしていく姿勢を見せられると思っています。

―プロっていうお言葉がありましたが、実業団時代との意識の差はありますか?

神:実業団の時代は卓球と業務を両方やっていて。会社の広告宣伝のために卓球をしていたので、そういった意味ではプロ意識っていうのはもともと持っていて。大きな変化はないです。変わったのは、実業団の時は日本一になってもならなくても大きな収入の差はなかったんですけど、今は勝つか負けるかで収入が変わってくるし、それによって世界ランクも変わってくるので、競技者としてのプロ意識は変わりましたね。

―実業団時代から、そういう「プロ意識」を持っている選手は、そんなに多くないと思うんですが、神選手の中でそういう考えに至ったきっかけなどはありますか?

神:一般的に、スポーツ選手じゃない人は勉強をして大学に入って、会社に入って仕事をすることで収入を得るじゃないですか。僕らはそういう時間を卓球に割いているわけで、それは社会の中では特異な状況にいるっていう感覚を失いたくないなとは思っています。僕らは会社のお金で国内試合や海外遠征とかにいかせてもらっていても、社員さんの中にはなんで卓球にお金かけるんだって思う人も絶対いると思っていて。卓球でお金をもらっているのであれば、それ以上のリターンを会社にもたらしたいなっていう思いはありました。

―その実業団から、プロ選手としてプレーすることを決めたきっかけを教えて下さい。

神:実業団に入る時に、そこが卓球人生の最終章だって思って入社したんですよ。そこが終われば会社員として働くっていうことを、自分の中で考えていて。卓球をやっているからこそ、社長さんや取締役さんにも顔を覚えてもらっていたので、その特性をいかして会社のために働こうと思っていました。実業団でやっていたら今年か来年くらいに引退するくらいの年齢だったと思うんですけど、目標も達成していないしまだまだやりたいなって。
また、いずれは引退することになりますが、引退後も何かしらの形で卓球に関わっていたいという思いもありまして。
選手としも道半ばですし、引退後の事も考えてプロになることを決断しました。プロとしてプレーすることでしか見えないものもあるのかなとは思っていましたし、大学、実業団、プロも経験することで、必要とされる人材になれるのかなっていう考えを持って決意しました。プロリーグができたことで、大学や実業団を経ないでプロになるという選手も多くなる可能性があると思います。実業団とプロでの経験、その両方を持っている人っていうのは、希少性が高いのかなと。

PasYouでビデオメッセージをリクエストしよう!

憧れの選手から『あなただけ』に向けた完全オリジナルメッセージが届きます。ファンの方のリクエストをもとに、1つずつビデオレターを撮影いたします。(一本およそ60秒程度です。)特に、下記のようなリクエストが集まっております。

『毎日頑張る子どもにメッセージを贈りたい!』
『友人の誕生日にメッセージを贈ってあげたい!』
『大事な試合に向けて、自分のことを鼓舞してほしい!』

神巧也選手へのリクエストページはこちら

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VictorySportsNews編集部