これと同じようなことがゴルフ場でも起こっている。ゴルフはコロナ禍でも三密(密閉・密集・密接)を避けられるスポーツとして注目を集め、2020年夏ごろからゴルフ場は大いににぎわっているが、来場者のほとんどは4人1組単位の個人客だ。

ゴルフは5人以上で集まっても同組で回れるのは4人までなので密になる心配は少なく、プライベートコンペを中心に3組12人、4組16人、5組20人といった単位のコンペ需要は少しずつ戻ってきているが、ラウンド後の表彰式を行わなかったり、表彰式を行うにしても時間を短縮したりするのがスタンダードになっている。

法人主催のコンペは壊滅状態。企業が大人数を集めてゴルフコンペを開催し、参加者の中から万が一にでも感染者が出た場合、大きな批判を受けることが容易に予想できるため、顧客を招待するコンペも社員同士のコンペも開催するのが難しい状況になっている。

この流れは今後ワクチン接種が進んでも、新型コロナウイルスが収束に向かっても、簡単には元に戻らない気がする。なぜならば、感染防止の観点からテレワークが推奨され、多くの人が働き方や生活スタイルも含めて大きな変化を余儀なくされているからだ。感染のリスクが減ったからといって、働き方や生活スタイルを元に戻す方向には向かわないだろう。

以前のように職場の仲間が集まって飲み会を開いたりする機会は格段に減るはずだ。そうなると、職場で1年に2~3回開催されていたゴルフコンペも自然消滅する可能性がある。顧客を招待して100~200人単位で行う大規模コンペはなおさらハードルが高い。こちらはプロゴルフトーナメントが以前のように人数制限なしでギャラリーを入れることができるようにならないと、開催するのが難しいだろう。それはいったい、いつになるのか。

ゴルフ場業界では以前から、18ホールのコースと27ホールのコースと36ホールのコースの特徴について、次のように語られてきた。「18ホールのコースは使いやすいけど、貸し切りのコンペを受けると、それ以上の予約が受けられなくなる」。「27ホールのコースは18ホールよりも多くの予約を受けられるけど、コンペの際に同一コースでのプレーを希望するケースが多いため、残り9ホールの使い道が難しい」。「36ホールのコースであれば、18ホールを貸し切りにしても、残り18ホールで通常営業ができるので最も使い勝手がいい」。

27ホールのコースの説明は少し補足が必要かもしれない。27ホールのコースは東コース(9ホール)、西コース(9ホール)、南コース(9ホール)というふうに分かれているのが一般的。ここに30組120人のコンペを入れる場合、東コース→西コースに10組、西コース→南コースに10組、南コース→東コースに10組ずつ入れるのがゴルフ場にとって最も効率的だ。

ただ、そうすると参加者が3パターンのコースをプレーすることになるため、コースに難易度の差がある場合、不公平が生じる。そのためコンペ主催者は、時間がかかるのは承知の上で東コース→西コースに30組120人を入れるか、特例で東コース→西コースに15組、西コース→東コースに15組ずつ入れてほしいというケースが多くなる。そうなると、南コースが実質的に使えなくなってしまうのだ。そんな事情により、27ホールのコースが9ホール分の敷地を売却し、18ホールにリニューアルする動きが2000年代から2010年代にかけていくつか見られた。

一方、36ホールのコースは大人数のコンペにも個人客にも対応できるので、最も使い勝手がいいと言われていた。東京五輪ゴルフ競技の開催コースである霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)をはじめ、歴史ある名門コースは36ホールを保有しているケースが多い。

だが、大人数のコンペが見込めなくなると、36ホール分のスタート枠を個人客だけで埋めるのはなかなか大変だろう。体力(財力)のある名門コースならまだしも、中堅・大衆コースは苦しくなってくるかもしれない。

日本のゴルフ場数はピーク時に約2400コースあったが、その後は太陽光発電施設への業態変更などが相次ぎ、現在は2200コースくらいまで減っている。ただ、需要と供給のバランスを考えると、ゴルフ場数はまだ多いと見る向きもあり、1800コース前後が適正数と言われている。

飲食店などの動向と照らし合わせると、ゴルフ場は今後36ホールを有する施設が苦戦を強いられる流れになりそう。36ホール中18ホール分の敷地を売却するような動きがこれから出てきそうだ。

保井友秀

著者プロフィール 保井友秀

1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーランスとして活動を始める。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。その他、ゴルフ雑誌や経済誌などで連載記事を執筆している。