「知らない人に知ってもらうための雑誌。いいなあと思った。当事者ではない方々で自分の近くに、もしかしたら(セクシャルマイノリティが周りに)いるかもしれない。それを知ってもらうことが大切だと思う」

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大も影響し、YouTubeやTwitterといったSNSなど急速かつ強制的に社会全体のデジタル化が進展する昨今。若年層も含め老若男女問わず全世代へ、“新規開拓”を願い、発行物として生涯「形」として残る雑誌作りへの協力を決めた。

 セクシャルマイノリティの取り巻く仕事探しや職場などにおける思い、意見を集めることで状況や課題を知る機会を作るプロジェクトだ。人々から寄せられた声を踏まえ、ライフマガジン『BE』を6月に創刊予定(無料配布)。編集スタッフにトランスジェンダーモデルとして活動し、自身も建設会社で働くサリー楓さんらとともに参加することになり、ダイバーシティ(多様性)のある働き方の推進に寄与できればとも考える。

 “美人すぎるバレーボール選手”として人気を集めた滝沢さんは現役引退後の2017年にレズビアンであることをテレビ番組で公表。自身がありのまま生きている姿を発信しながら、長年関わったスポーツ界を軸に一人一人が自分らしく生活できることを広げようと活動する。

「自分軸で生きるのが結構、強いタイプ。レズビアンだからといって不幸でもない。幸せに生きている私のあり方を見せて、見てくれた人が何かを感じ取ってくれたらいいなという思いだけ」

 公表当初、同じバレーボール選手から「実は私もそう(レズビアン)です」と連絡をもらったことがあったという。滝沢さんは手を差し伸べ、悩みなどの相談に乗った。経緯や公表後の実体験を本音で伝えると、相手の心が晴れやかになることを感じたという。「当事者同士の空間は心が軽く、自分らしくいられる。ちょっとでも楽にさせてあげられた。元気や勇気を感じてくれた」。昨年実施した悩みを聞くオンライントーク会などを通じて、世間でも当事者に抱く感覚に変化が出てきたと強調する。

 昨夏の東京大会、今年2~3月に開かれた北京大会の両五輪・パラリンピックは性的少数者を公表し、国を背負って戦った海外選手が多数いた。東京五輪重量挙げでは、五輪史上初めて男性から女性へと性別変更したトランスジェンダー選手のローレル・ハバード(当時43、ニュージーランド)が女子87キロ超級に出場(記録なし)。性自認に基づいて生きる権利がある中、平和の祭典で歴史を作った。

 一ファンとして画面越しで大会を見届けた元バレーボーラーは「ゲイやレズビアン(などの印象)でみていなくて一競技者としてみている」と前置きした上で、「自分をさらけ出してプレーして(ファンらに)応援してもらっている。その分、ファンとの信頼関係が構築できているのだろうなと思った」アイデンティティーを明らかにした選手たちの活躍にうなずいた。継続して行動に出る。

「社会でセクシャルマイノリティに関して認知度が高まり、寛容になってきている。少しでも受け入れ態勢ができてくれたらすごくいい。あまり接点がない人もいるし、周りにいないと思ってしまっている。少しでも情報が届けられれば嬉しい」

 Indeed(インディード)の日本法人Indeed Japanが毎年6月に世界各地でダイバーシティについて啓発を促すイベントなどが行われる「プライド月間」に向けて始めた「Indeed Rainbow Voice 2022」の一環。

 この雑誌は世の中にいるセクシャルマイノリティの人たちの声をネット上で集め、その声を元に編集し、最終的に世の中の様々な働く世代に“多様な性の存在やリアル”を知ってもらうために都内で無料配布をされていくようだ。

 信念を持って、今回の雑誌編集も含め発信を続ける滝沢さん。すべての人が多様な“性”を知り、自分らしく生きられる社会実現が加速されることを切に願っている。

参考:Indeed BE特別ページ

VictorySportsNews編集部