オリックス:即戦力49+将来性45=94点

1位 曽谷龍平投手(白鴎大)
2位 内藤鵬内野手(日本航空石川高)
3位 斎藤響介投手(盛岡中央高)
4位 杉沢龍外野手(東北福祉大)
5位 日高暖己投手(富島高)

 1位で公表通りに曽谷を指名。完成度も含め大学ナンバーワンの呼び声高い左腕の単独指名に成功し、山本、宮城らに続く即戦力の先発候補の補強を実現した。チーム事情でまずは救援に回る可能性もあるが、大きな期待がかかる存在であることに変わりはない。斎藤、日高と素材型の投手も2人指名。こちらも高卒投手の育成に長ける球団だけに期待が持てる。

 2位の内藤は高校通算52本塁打のスラッガー。1位指名の候補にも挙がっていた潜在能力の高さが魅力の選手で、2位の指名順が後ろだったにも関わらず確保できたところに巡り合わせの良さがある。4位・杉沢は即戦力候補の長距離打者。今季のチーム本塁打は89とリーグ最少だったこともあり、課題解消に向けた手もしっかり打っている。バランス的に今回のドラフトで上位といえる結果となった。

ソフトバンク:即戦力25+将来性45=70点

1位 イヒネ・イツア内野手(誉高)
2位 大津亮介投手(日本製鉄鹿島)
3位 甲斐生海外野手(東北福祉大)
4位 大野稼頭央投手(大島高)
5位 松本晴投手(亜大)
6位 吉田賢吾捕手(桐蔭横浜大)

 来季からの4軍創設を発表したソフトバンク。何より驚かされるのは、育成で14人もの選手を指名した点だ。千賀、周東、大関ら育成から飛躍を遂げた選手は多く、素材を集めてその中からダイヤモンドの原石を掘り当てようという、他球団とは別次元のドラフトを行っている。今年のドラフトの指名選手は全体で69人。昨年の77人、一昨年の74人より少なく、“不作”といわれた評価を表す数字となった。一方で、育成は昨年の45人から57人と大幅に増え史上最多に。その要因となったのが、まさにソフトバンクだった。

 1位指名は公表通りイヒネ。身体能力の高さは折り紙付きで、走攻守そろった未来のスターとなり得る大型遊撃手だ。2位以降も潜在能力、将来性の高さが期待される素材型が並び、完成度よりスケールの大きさや“一芸”に振り切った指名となっている。このドラフトが成功だったか否かを判断するには数年の猶予が必要。今すぐに高い評価をつけるのは難しいが、“爆発力”を秘めているのは間違いない。

西武:即戦力47+将来性43=90点

1位 蛭間拓哉外野手(早大)
2位 古川雄大外野手(佐伯鶴城高)
3位 野田海人捕手(九州国際大付高)
4位 青山美夏人投手(亜大)
5位 山田陽翔投手(近江高)
6位 児玉亮涼内野手(大阪ガス)

 今季チーム打率がリーグワーストの.229と、一発がある一方で打線に安定性を欠いた西武だが、1位指名を公表していた蛭間の一本釣りに成功。大学通算12本塁打、シュアなバッティングも光る外野手は、まさに補強ポイントに合致する存在だ。小学生時代にライオンズジュニアでプレーし、埼玉・浦和学院高出身とホームタウンの埼玉に縁がある選手でもある。

 2位も外野手で、身体能力の高い素材型の古川。脚力もあるタイプという点は蛭間と共通しており、1、2位で外野手を指名した巨人と同様に層の薄い外野に厚みをもたらそうという狙いが分かりやすい上位指名となった。

 5位の山田は甲子園大会で存在感を見せたスター性を秘めた選手。上位指名候補といわれた中で、前評判通りの評価とはならなかったが、投打で高いレベルにあるのは間違いないところ。まずは投手での育成となる見込みだが、可能性は広がる。

楽天:即戦力47+将来性38=85点

1位 荘司康誠投手(立大)
2位 小孫竜二投手(鷺宮製作所)
3位 渡辺翔太投手(九産大)
4位 伊藤茉央投手(東農大北海道オホーツク)
5位 平良竜哉内野手(NTT西日本)
6位 林優樹投手(西濃運輸)

 浅野とともに、今回2人しかいなかった競合で荘司の交渉権を獲得。米田球団社長がロッテとの抽選で当たりくじを引き当てた。188センチの大型右腕は大学3年で頭角を現し、一気に評価を高めた投手。大卒ではあるが、即戦力という以上に将来性を期待される存在だ。

 2位の小孫は“外れ1位”の候補に挙げていた球団も多かった逸材。3、4、6位もタイプの異なる投手を指名し、育成を含めた10人のうち7人が投手。今季ソフトバンクに次ぐ533得点を挙げた強力打線に不安は少なく、チーム防御率3.47はリーグワーストと、課題も明確だけに、野手の有望株が少ないという懸念材料はあるものの意志が感じられるドラフトとなった。

ロッテ:即戦力43+将来性37=80点

1位 菊地吏玖投手(専大)
2位 友杉篤輝内野手(天理大)
3位 田中晴也投手(日本文理高)
4位 高野修汰投手(日本通運)
5位 金田優太内野手(浦和学院高)

 規定投球回に到達した投手は小島だけで、10勝の美馬、史上最年少で完全試合を達成した佐々木朗とともに軸となる投手を補強したいところ。非公表で臨んだドラフトで1位指名したのは楽天が公表していた荘司だった。しかし、抽選で交渉権を逃すと、タイプの異なる菊地にスイッチ。圧倒的なストレートという武器を持つ荘司に対して、こちらは総合力の高い実戦型。4位・高野とともに即戦力となれる投手の補強に成功した。

 長年の課題である遊撃手として友杉を指名。守備力、走力は大学トップクラスで、こちらも即戦力の期待がかかる。5位の金田も遊撃を本職とする選手で、補強ポイントに特化した狙いが分かりやすい顔ぶれとなった。

日本ハム:即戦力49+将来性40=89点

1位 矢沢宏太投手(日体大)
2位 金村尚真投手(富士大)
3位 加藤豪将内野手(メッツ3A)
4位 安西叶翔投手(常葉大菊川高)
5位 奈良間大己内野手(立正大)
6位 宮内春輝投手(日本製紙石巻)

 日本ハムの特徴がよく表れた個性的なドラフトとなった。1位指名の方針である「その年一番の選手」として投打二刀流の矢沢を単独指名。春先には一番人気と目されていた能力の持ち主で、外野手としての能力は打撃、走力も含めてトップクラス。投手としての伸びしろも十分で、奇想天外な戦術を見せる新庄監督のもと、さまざまな起用パターンが期待される。

 3位は“逆輸入”となる米国出身の加藤。今季メジャーデビューを果たしたユーティリティー選手だ。新庄監督は入団交渉の成立に自信を見せており、その豊富な経験からもチームに刺激を与えそうだ。

 一方で、2位では1位での指名もあると言われていた世代屈指の右腕を指名。パ・リーグ最下位のためウェーバーで2位の指名順が早かったことを生かし、1位クラスのダブル指名に成功した。


VictorySportsNews編集部