21年の東京五輪代表の塩浦は「東京五輪は無観客で寂しかったが、今回はお客さんの前で泳ぐことができる。ぜひ会場で見てもらいたい。僕は2001年の世界水泳(福岡大会)で山野井(智広)さん(50㍍自由形で当時の日本記録を樹立して銅メダルを獲得)を見て憧れを抱いた。自分もカッコイイ泳ぎでメダルを獲ってそういう存在になりたい」と決意。5度の世界水泳に出場して3個のメダルを獲得した松田氏は「私は自国開催の世界水泳には縁がなかったが、伝える立場で精いっぱい盛り上げたい」と意欲を見せた。

 大会はマリンメッセ福岡をメイン会場に来年7月14~30日に行われる。競泳、飛込、ハイダイビング、AS、水球、オープンウォータースイミングの全6種別75種目を実施。日本で世界水泳が開催されるのは22年ぶり2回目となる。当初は2021年夏に計画されていたが、新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年延期されたことを受け、日程がスライド。22年5月開催の予定だったがオミクロン株の感染拡大で再延期された経緯がある。

 競泳は4月4~9日に開催される日本選手権(東京アクアティクスセンター)が世界選手権の代表選考会となる。男子は2021年東京五輪200㍍バタフライ銀メダリストの本多灯(21=日大)がエース格に成長。昨夏の世界選手権ブダペスト大会の100㍍バタフライで銀メダルを獲得した日本記録保持者の水沼尚輝(26=新潟医療福祉大職)らにも期待が懸かる。

 昨年12月の世界短水路選手権の400㍍個人メドレーで全種目を通じて史上初の6連覇を達成した瀬戸大也(28=CHARIS&Co.)、19歳で初出場した09年ローマ大会から8大会連続の世界選手権出場が懸かる背泳ぎのスペシャリスト入江陵介(33=イトマン東進)らベテラン勢も健在。若手では昨年の世界ジュニアで女子個人メドレー2冠を達成した成田実生(16=金町SC)、昨年12月のジャパンオープンの男子200㍍個人メドレーを制した小方颯(19=イトマン港北)らに勢いがある。

 海外勢では昨夏の世界選手権で個人メドレー2冠を達成したレオン・マルシャン(20=フランス)、100、200㍍自由形2冠のダビド・ポポビッチ(18=ルーマニア)ら若手が台頭。マルシャンは400㍍個人メドレーで〝怪物〟の異名を持ったマイケル・フェルプス(米国)が高速水着時代に出した世界記録に0秒44差に迫る好記録を持っており、潜在能力は計り知れない。

 松田氏は「マルシャン選手やポポビッチ選手、次世代の水泳界を引っ張るスター選手が来る。日本にとっては成田選手や小方選手ら若い選手が経験を積む最高の大会。2001年の世界水泳も日本の水泳界にインパクトを与えた。会場で見ると印象が違うので見てほしい」と呼びかけた。

 アーティスティックスイミングの日本代表は昨夏のブダペスト大会で日本史上最多7個のメダルを獲得。日本飛び込み陣には男子高飛び込みでメダルの有力候補に挙がる16歳のエース玉井陸斗(JSS宝塚)がおり、競泳以外の競技も見所は多い。

 22年ぶりに日本に戻ってくる真夏の祭典。この日のイベントには大会公式マスコットのシーライとシャーニーの姿もあった。ともにイルカがモチーフで、頬には福岡名物の明太子があしらわれている。名前の由来はシーライが「海(Sea)」と「光(Light)」でシャーニーは「輝き(Shine)」。FUKUOKAに携わる全ての人々の未来を明るく照らす大会を目指す。


木本新也