海洋ごみとは海辺に打ち上げられたり、海を漂ったり、海底に沈んだごみのこと。中でも半永久的に分解されないプラスチックごみが今、地球規模で大きな問題になっている。その7~8割が私たちの暮らす街で発生していると言われている。

 海に流れ込むプラスチックごみは全世界で年間約1100万トン。これはジャンボジェット機5万機分に相当する。このまま対策をしなければ2050年には海の魚よりもごみの量が多くなると予測されている。

 ユニクロのサステナビリティ活動を担当しているコーポレート広報部部長のシェルバ英子さんは、「スポギョミ!」を開催する狙いについて次のように語る。

「『スポGOMI』は当初、従業員だけで試験的にやっていたのですが、試しにお客様参加型で開催してみたところ、お客様の反応が非常によかったんですね。服を買うだけではない部分で、ごみの問題とか、地域をキレイにすることに関心を持っていただける方がどんどん増えている実感がありましたので、規模を拡大して全国で実施できる枠組みを作ろうとしています」

「海洋ごみの問題は世界規模の課題ですが、サステナビリティを難しい問題と考えてしまうと自分事化しづらくなります。なるべく敷居を下げ、みんなが楽しく参加できないと続かないので、『スポギョミ!』で皆さんとユニクロが一緒に力を合わせて海洋ごみを減らす取り組みができればと思っております」

 「スポギョミ!」は海洋ごみを減らして魚たちの生育環境を守る活動ということで、東京海洋大学客員教授で魚類学者のさかなクンが隊長に就任。抱負を語った。

「今日から『スポギョミ!』の活動に参加させていただきます。『スポギョミ!』によって海のごみをどんどん減らし、ゆくゆくは『ギョミゼロ!』を目標にできたらうれしく存じます」

隊長を務めるさかなクン。この日は参加者に向け海洋ごみ問題への理解を深めるための特別授業も行なった

 また、過去にユニクロのボランティア活動で「スポGOMI」に参加したことがあるタレントの井上咲楽さんが副隊長に任命。元気に意気込みを語った。

「『スポGOMI』の活動を前回やらせていただいたとき、みんなで楽しく前向きにごみを拾える活動って、すごく素敵だと思ったので、この活動の輪を広げていけたらなと思います」

 「スポギョミ!」の競技方法は、決められた競技エリアの中で指定の時間内にごみを拾い、ごみの重量ではなくポイントで上位を競い合う。

 ごみ100g当たりのポイントは、燃えるごみが10ポイント、燃えないごみが5ポイント、ビン・カンが20ポイント、ペットボトルが60ポイント、タバコの吸い殻が50ポイント。ペットボトルのポイントが高くなっているのは、ちゃんとリサイクルすれば資源として使えるというユニクロの強い思いが込められている。

 ユニクロは2022年7月から服の力を通じて地球環境に配慮した活動にお客様と一緒に参加するプロジェクト「JOIN:THE POWER OF CLOTHING」を開始した。

 おなじみの青色ではなく緑色の「ドラえもん サステナモード」をグローバルサステナビリティアンバサダーに起用し、イラストが入ったTシャツやポケッタブルバッグを販売。これらのアイテムは100%リサイクルポリエステルが使用されており、売り上げの一部(1商品あたり1USドル)が海洋ごみの削減に取り組む団体に寄付される。購入者が自然とサステナビリティ活動に参加できる仕組みとなっている。

 昨年は公益財団法人日本財団に200万USドル(約3億円)を寄付。日本発祥の「スポGOMI」を世界に広める「スポGOMI ワールドカップ」の開催運営に活用された。

 今年の寄付先は公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター。海洋ごみをはじめとする環境教育の推進のために活用される予定となっている。

 「JOIN:THE POWER OF CLOTHING」プロジェクトは2022年10月3~31日に第2弾キャンペーンを実施。「ドラえもん サステナモード」をモチーフにしたファーリーフリース商品を発売した。そして今回の2023年夏が第3弾キャンペーンという位置づけになる。

 対象商品は「ドラえもん サステナモード クルーネックTシャツ」、「KIDSドラえもん サステナモード クルーネックTシャツ」、「ドラえもん サステナモード ポケッタブルバッグ」。さらに、夏の定番商品である「ドライEXクルーネックTシャツ」のメンズとKIDSもリサイクルポリエステルを使用した商品なので寄付の対象となる。対象期間は6月5日~7月4日となっている。

 ユニクロのシェルバ英子さんは「JOIN:THE POWER OF CLOTHING」プロジェクトについて次のように説明する。

「ユニクロの服作りで大切にしている考え方として、LifeWearがございます。あらゆる人の生活をよりよく、より豊かにしていく究極の普段着。その価値を高め続ける上で、もう一つ大切にしている価値観が『THE POWER OF CLOTHING』(服の力を社会の力に)というミッションになります」

「私たちはLifeWearを新しい産業にすることで、持続可能な社会の実現に貢献していきたい。LifeWearがお客様の手元に届けば届くほど、世の中がよくなっていく。こういった循環の事業活動を行っています」

「生活に寄り添う企業として、地球上の限りある資源を有効活用し、廃棄物ゼロ事業モデルを目指しています。今回も引き続きリサイクル繊維を使用した商品を通じた寄付活動を中心に、新たな取り組みということで『スポギョミ!』を開催いたします」

 「スポギョミ!」の参加者に配布されたユニフォームも、実はリサイクルペットボトルでできている。そのユニフォームを総勢60名の参加者が着用し、1チーム3人までの編成で、荒川の河川敷で35分間ごみ拾いに励んだ。そして参加者全員で45.23kgのごみを集めた。

 参加者と一緒にごみを拾った隊長のさかなクンは「ものすごく一生懸命拾っていただきまして、お魚を代表して『ありがとうございます!』。河川敷をキレイにしていただきまして、お魚ちゃんも喜んでいます」と皆さんの健闘を称えた。

隊長のさかなクン、副隊長の井上咲楽さん(左)も参加者と共にごみ拾いを行なった

 副隊長の井上咲楽さんも「皆さん本当にごみ袋いっぱいに集めてくださって、笑顔で楽しく集めていたのが素敵な時間でした。みんなで楽しく拾うことで、いろんなごみが落ちていることが分かったので、これをきっかけにみんなでみんなが生きているところをキレイにしていけたらいいなと思います」と参加者にエールを送った。

 「スポギョミ!」は第2回が福岡県・新宮海岸(6月11日)、第3回が新潟県・藤塚浜(6月25日)、第4回が神奈川県・片瀬東浜海岸(7月2日)で開催される。第2回と第3回はすでに応募が終了しているが、第4回はまだ間に合うかもしれない。

 スポーツ感覚でごみ拾いを楽しむユニクロの取り組みに賛同する人は着実に増えており、近い将来、より大きな活動の輪が広がっていきそうだ。

萩野公介さん 夢を応援する世界水泳プロジェクトをユニクロと本格始動。第1弾はスポGOMI

世界水泳選手権2023福岡大会(7月14日~30日)のナショナルスポンサーを務めるユニクロが、ごみ拾いをスポーツ感覚で楽しむ「スポGOMI」と、世界水泳福岡とのコラボイベント「スポGOMI×UNIQLO×世界水泳福岡」を4月16日に福岡市内のシーサイドももち海浜公園で開催した。

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アースデイに『スポGOMI×UNIQLO×花井祐介』が開催。原宿でのごみ拾いが海洋ごみ削減につながる?

毎年4月22日は地球のことを考えて行動する日「アースデイ」。今年、2023年の4月22日(土)にも世界中で多くの環境保護にまつわる催しが行われた。東京渋谷区のユニクロ原宿店で開催された『スポGOMI×UNIQLO×花井祐介』もその一つ。地域のごみ拾いをスポーツ化する「スポGOMI」をユニクロが主催し、そこに国際的な人気を誇るグラフィックアーティスト・花井祐介氏がゲスト参加する形で実施された。“考え”そして“行動する”アースデイに相応しいこの取り組み。そこに込められた“思い”と“成果”をレポートする。

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VictorySportsNews編集部