4日(水)には森保一監督が10月の日本代表メンバーを発表する予定です。はたしてどんなメンバーになるか……ということに注目が集まりますが、ほぼメンバーは変わらないでしょう。

 ドイツ、トルコを破ったチームを大きく変える必要はありませんし、ドイツ戦、トルコ戦で大幅にメンバーを入れ替えても勝利を収められたということで、選手層にも不安はなく、大きく選手を入れ替える意味はありません。

 そもそも絶好調の久保建英をドイツ戦の先発で使わなくていいくらいの充実ぶりです。ある程度、中心の選手たちは代わらないと思っています。

 とは言え、今後誰かがケガするケースが出てくるかもしれません。これまでもたくさんの不測の事態がありましたから、クラブで出続けて結果を出している、調子のいい選手は招集して試しておくべきです。今でいうと南野拓実でしょう。

 昨シーズン、イングランドのリヴァプールからフランスのモナコに移籍した後、南野は苦しんでいました。ですが2年目を迎え、リーグにもチームにも慣れて得点もアシストも決め、調子を取り戻しました。

 そもそも森保監督は2018年に就任したあと、右サイドに堂安律、左サイドに中島翔哉、そしてトップ下に南野という4-2-3-1を基本布陣にしていました。

 現在は4-2-3-1に加え4-1-4-1、3-5-2とシステムのバリエーションが増えてきましたが、僕はこれ以上あまり増やさずに、選手をどんどん入れ替えて試していったほうがいいと思います。

 南野ならば2トップの一角もできますし、シャドーストライカーもこなせます。久保がトップ下に入るのなら1トップでの起用も考えられるでしょう。2022年カタールワールドカップ後は呼ばれていませんが、まだ28歳ですし、ワールドカップでPKを外して代表生活が終わるというのも寂しいものです。

 今シーズン、キャリアを取り戻しているので、ここで代表に呼ばれることで南野自身のモチベーションも大きく上がるでしょう。もう一度チャンスを与えていいのではないでしょうか。

 そして今回はあと2つ、考えなければならないポジションがあります。

 まずFW。ドイツ戦で負傷した上田綺世は、まだここで無理させることはないと思います。では1トップはどうなるか。大迫勇也が代表を外れて以来、このポジションの最適解はまだ見つかっていません。上田が一歩リードしたと思いますが、ポストプレーがうまいFWはいないのです。

 1トップに前田大然や古橋亨梧を起用することも考えられるでしょう。ですが2人も裏抜けするタイプでタイプは違います。U-22日本代表には細谷真大や藤尾翔太が選ばれていますが、フル代表になるにはまだ成長が必要です。U-22日本代表からフル代表に上がるには、ドイツに勝ったあのチームに割り込めるだけのパフォーマンスを見せなければいけません。

 そう考えると、今回試すのではないかと思っているのはドイツ・ニュルンベルクの林大地です。

 東京五輪のとき、上田がケガをしたためピッチに立ったのは林でした。前線でがんばって体を張り、泥臭くボールに食らいついていく姿は岡崎慎司を思い起こさせます。林ならば日本の豊富な2列目のよさを引き出してくれるのではないかと思います。

 もう1つのポジションはGKです。トルコ戦では先発した中村航輔が負傷してしまいました。代わって入ったシュミット・ダニエルは、移籍話がなくなってしまったためチーム内で宙に浮き、出場機会を失っています。シント・トロイデンの鈴木彩艶はまだ海外移籍したばかり。

 そう考えると、やはりドイツ戦でゴールを守った大迫敬介をゴール前に据えたほうがいいでしょう。GKは経験がとても大切なポジションです。フィールドプレーヤーのように調子によって起用するのではなく、ある程度は固定したほうがいいと考えられます。

 2026年ワールドカップから出場国が増え、それに伴ってアジアの出場枠もこれまでの4.5カ国から8.5カ国に増えています。正直に言えば、これまでほどは緊張しなくていいのではないかと思います。

 ただ、それでも何が起きるか分からないのがワールドカップ予選。前回はいきなり新型コロナウイルスが世界的に蔓延して、日程に大きな変更が加えられたこともありました。最終予選の最初の3試合で日本が2敗するとは、誰も想像していなかったことでしょう。

 どんなハプニングが起きても乗り越えていくことが必要ですし、何より日本はワールドカップでの躍進のためにチーム作りをしなければなりません。そのために無駄にできるゲームは一つもないのです。

 ドイツ戦やトルコ戦で見せてくれた素晴らしい戦いぶりを、今度は国内の多くの人の目の前で繰り広げてくれることを期待しています。

前園真聖

前園真聖

鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。アトランタオリンピック本大会では、チームのキャプテンとしてブラジルを破る「マイアミの奇跡」に貢献。その後日本だけでなくブラジル、韓国などの海外クラブでもプレーし、2005年に現役引退。現在は、サッカー解説などメディアに出演しながらも、サッカースクールや講演を中心に全国の子供たちにサッカーの楽しさや経験を伝えるための活動をしている。