ドラフト1位候補の150キロ超大学生投手がずらり。行き先は果たして・・・

 既に広島が青山学院大学・常廣羽也斗投手(大分舞鶴)の1位指名を公言している。最速155キロを誇る本格派右腕は今春の全日本大学野球選手権大会でチームの日本一に貢献し、最高殊勲選手賞(MVP)、最優秀投手賞を受賞。侍ジャパン大学代表として参加した日米大学野球選手権大会では先発と抑えを経験し、2大会連続20回目の優勝に大きく貢献した。先発、抑えともに適性は十分であり、他球団との競合は必至。今年は即戦力投手が豊作なだけに1位指名を非公表としている球団が多い中、競合球団を1つでも減らすべく、広島はあえて公表に踏み切ったと思われる。

 常廣の他にも、東都大学野球連盟の1部リーグにはドラフト上位候補の投手が5名いる。常廣と並ぶ先発2本柱として、青学大の投手陣を引っ張ってきた下村海翔投手(九州国際大付)もその一人だ。今春のリーグ戦、登板前日に発熱した常廣に代わって先発マウンドに上がると7回1失点の好投で神宮初白星をマーク。緊急登板にも動じず、チームを救った右腕はスカウト陣をうならせ、一気に評価が高まった。侍ジャパン大学代表にも選出され、日米大学野球選手権大会では主に先発としてチームを連覇に導き、最高殊勲選手賞(MVP)を受賞した。

 亜大の153キロ右腕・草加勝投手(創志学園)も大学代表に選出されており、東都を代表する本格派右腕。高校時代は阪神・西純矢投手の控えを務めていたが、亜大入学後はエース格へと急成長。完成度が高く、「生田前監督には入学した当初から『1回戦と3回戦で完投、完封するのがエースの仕事』だと言われてきた」と常に恩師からの教えを胸に刻んでマウンドに立ち続ける。今春9試合に先発し、リーグトップの6勝は全て完投での白星。そのうち4試合で完封勝利を挙げた、まさに先発完投型のピッチャーだ。

 今秋のリーグ戦でさらに評価を上げた一人、中大の155キロ右腕・西舘勇陽投手(花巻東)も即戦力として期待がかかる。今春は思うような成績を残せず、侍ジャパン大学代表は選考漏れ。それでも大学ラストのリーグ戦では通算10勝目をマークするなど、2度の完封勝ちでチームの1部残留に貢献。防御率1.11(リーグ2位)、リーグトップ60奪三振の成績を収めた。

 大学トップレベルの左腕も忘れてはいけない。一人目は左ではアマ最速となる158キロの速球を投げ込む東洋大・細野晴希投手(東亜学園)。今春の2部リーグ戦では無傷の5勝で防御率0.82をマーク。最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率、ベストナインの投手4冠に輝き、タイトルを総なめにした。秋はわずか1勝に終わり、やや苦しんだがその実力に陰りはない。

 もう一人、国学院大・武内夏暉投手(八幡南)は最速153キロで制球が武器。今春は2勝3敗、防御率2.88と思うような成績を残せなかったが、大学日本代表として国際大会の経験を積んだことで春まで151キロだった最速を2キロ更新。鳥山泰孝監督は「春の悔しさをバネに自分で考えて。この夏は頭の汗も体の汗も両方流したと思う。日本代表を経験して、その環境をモノにした武内が立派だった」と成長を認めている。今秋は10試合に登板し、リーグトップタイの5勝をマーク。与四死球15で、防御率0.97と抜群の安定感を示し、最優秀防御率とベストナインの投手2冠を達成した。

 注目の大学生投手は東都1部リーグの6投手だけにとどまらない。大学日本代表に選出された全11投手がプロ志望届を提出しており、最速153キロを誇るサウスポーの桐蔭横浜大・古謝樹投手(湘南学院)、大学3年時にも日の丸を背負った最速154キロ右腕、大商大・上田大河投手(大商大高)らもドラフト上位候補に名を連ねている。東京六大学野球連盟からは7投手が志望届を提出。明大のエースナンバー「11」を背負う村田賢一投手(春日部共栄)、蒔田稔投手(九州学院)の両右腕は、侍ジャパン日本代表としても躍動。最速は150キロにわずか1キロ及ばないが、力強い速球を両コーナーに投げ分ける明大・石原勇輝投手も注目サウスポーの一人だ。

大卒選手の活躍が目立つ日本球界。阪神、オリックスは大卒選手がリーグ優勝に貢献

 多くの大学生投手が150キロを超える速球を武器に、即戦力として期待がされているが、近年大卒選手に限らず、高卒選手の活躍も目立つように見える。今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2009年の第2回大会以来、14年ぶりに世界一奪還を果たした侍ジャパンのメンバーの約6割が高卒選手。先発した投手に限ると、決勝で先発したDeNA・今永昇太投手を除いて、パドレス・ダルビッシュ有投手、エンゼルス・大谷翔平投手、オリックス・山本由伸投手、ロッテ・佐々木朗希投手の4投手らはいずれも高卒だ。大リーグで活躍している日本人選手はレッドソックス・吉田正尚外野手を除き、8選手中7選手が高卒であり、高卒選手でも若いうちから結果を残している選手は多い。

 ただ国内に限ると、近年は大卒選手のほうが結果を残しているようにも見える。18年ぶり6度目のリーグ制覇を果たした阪神は4番・大山悠輔内野手、大型ルーキー・森下翔太外野手、佐藤輝明内野手ら、社会人経由を含めてもレギュラーは大卒選手ばかり。投手陣をみても、最優秀防御率に輝いた村上頌樹投手、チームトップの12勝を挙げた大竹耕太郎投手はいずれも大卒。社会人経由だが、伊藤将司投手も村上に並ぶ2桁10勝をマークするなど、数字を残している。1992年の西武以来となる3連覇を達成したオリックスも同様、杉本裕太郎外野手、頓宮裕真捕手、中川圭太内野手ら大卒の選手がチームを牽引している。

各球団のドラフト戦略にも注目!

 広島だけではなく上沢直之投手、加藤貴大投手が抜ける可能性のある日本ハム、トレバー・バウアー投手、今永昇太投手が同じくチームを離れる可能性があるDeNAなど、即戦力として期待がかかる大学生投手を1位で指名する球団は多いと見られる。だが豊作であることを逆手に取り、あえて大砲候補の大学生スラッガー、伸び代十分の高校生投手を1位指名し、2巡目以降で大学生投手の指名に踏み切る球団も出てきそうだ。昨年は341名がプロ志望届を提出し、社会人なども含めて69名が支配下での指名を勝ち取った。狭き門をくぐり抜け、夢のプロ入りを果たすのは。運命のドラフト会議は10月26日に開催される。


VictorySportsNews編集部