こんにちは、田島翔です。

 先月から日記の連載が始まり、いろいろな方から連絡をもらったり、声をかけていただいたりする機会が増えてきたように感じます。そんなとき、よく聞かれるのが「普段、東京では何をしているのですか」という質問です。

 たしかに、僕はプロサッカー選手と名乗っていますが、ブラジルのプロリーグ・セリエBのナシオナル・ローランディアに合流するのは来月……今は何をやっているのか。
 
 人間はそこにいるだけでお金がかかります。ただ息をしているだけでも、家賃は払わないといけないですものね。そんなわけで僕は、週に3日ほどプロ雀士として健康麻雀店のガラパゴスの高田馬場店か神保町店に勤務しています。朝9時から夕方16時半までみっちり、お客さんに麻雀を教えたり、接客をしたり。健康麻雀なので、もちろん何かを賭けるようなこともありません。

芝国際高校

 それから、週に2日は外部コーチを務めている芝国際高校(東京都)のサッカー部で指導にあたりながら、生徒たちと一緒にボールを蹴っています。芝国際高校は新設校のため、部員は1年生だけで構成され、練習場所はテニスコートより、やや広めの校舎の屋上。生徒達はもっと広いコートでボールを蹴りたいでしょうが、環境というのは徐々に整っていくものですし、じつは狭い練習場は悪いことばかりでもないのです。

 僕はコーチとして、この「狭さ」を効果的に使う練習方法を考えることにしました。ドリブルや守備の強化を意識した1vs1、アジリティなどの俊敏性、最低人数での守備の崩し方といった個にフォーカスしたメニューを中心に組み立てたのです。

 やはり、現代サッカーの基本は「個の強さ」。その前提の上で、各自に役割を与え、チームとして戦っていくというのが僕の考え。狭いコートだからこそ、たくさんボールに触れられたり、一人ひとりに目が行き届くメリットだと思います。

 ちなみにFC琉球初期の頃は、ゴールやロッカールームもない普通の公園でトレーニングをしていました。それでも監督の与那城ジョージさんをはじめ、元Jリーガーの選手達は文句を言わず、結果で環境をよくしていくために頑張っていました。その時の経験があるからこそ、環境に文句を言うのではなく、置かれた環境を活かしてトレーニングをする。それこそが大切なのではないでしょうか。

NERIMA CITY FC

 芝国際高校以外にも、僕にはNERIMA CITY FCのテクニカルアドバイザーという立場があります。NERIMAは東京都の練馬の意味で、つまり練馬区を拠点にしたアマチュアの社会人チームです。創設者は、現役大学生の丸野友也さん。彼の掲げている理念は、素晴らしいものです。

 Mission: 「NERIMA CITYのある日常」でシアワセを――クラブに関わる全ての人たちの週末に“ワクワク”がある日常を提供したい。NERIMA CITY FCの存在で誰かのシアワセを生み出し、今よりちょっと生きるが楽しいを創る。

 Vision: 関わる全ての人に夢と感動を与えるもう一つの居場所をこの街に――NERIMA CITY FCが地域の名を背負い高み目指す過程で感動を届ける。子供たちに夢を与え、練馬区民の誇りとなり、家庭・職場・学校ともう一つの居場所を届ける。
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 こちらでも、週に1度はトレーニングに参加するよう心掛けています。

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デュアルキャリア

 サッカーと麻雀。どちらの方面でもプロとして活動する、僕のような暮らし方は「デュアルキャリア」と呼ばれています。かつてアスリートは、選手としての活動期間中はそこに専念し、引退してから次のキャリアを始めるのが一般的でした。

 けれど近年では、選手として活動しながら、社会人としても働く人々が増加しています。僕がサッカー界で初の麻雀プロになったのは、2022年のことでした。手先や頭を使う麻雀は認知症予防にも効果があると言われ、お年寄りを中心に健康麻雀が大人気なのです。

 ちなみに、麻雀界とサッカー界は意外な繋がりもあります。麻雀にはMリーグと呼ばれるプロリーグがあるのですが、このMリーグを立ち上げたのが、FC町田ゼルビアで社長を務める藤田晋さんなのです。

 さらにMリーグの最高顧問はJリーグ初代チェアマンの川淵三郎さん。じつは、川淵さんとお目にかかって、お話ししたことがあるのですが、それはまた別の機会に――。

田島翔のフッチボール日記 Vol.5

田島翔

北海道北斗市出身。 函館工業高校卒業後、シンガポール、クロアチア、スペイン、ニュージーランド、アメリカ、韓国を渡り歩き、2020年には日本人初となるサンマリノ共和国でプレー。国内ではFC琉球、ロアッソ熊本に在籍。 2024年、自身8カ国目となるブラジルでプレーすることが決まった。また、サッカー界で初めてプロ競技麻雀団体・RMUに入会し、麻雀プロとしても活動している。