文=西尾典文
実力も輩出数もトップクラスの3校
まずは大学だが1位は、明治大(東京六大学野球)の22人となった。完全にチームの主力となっているのは島内宏明(楽天)、野村祐輔(広島)、高山俊(阪神)くらいだが、ルーキーの糸原健斗(阪神)、柳裕也(中日)、星知弥(ヤクルト)も戦力となっておりいて、今後の成長が楽しみな選手も少なくない。
2位は、リーグでも明治大としのぎを削る早稲田大(東京六大学野球)で19人。揃そろって1位でプロ入りした大石達也(西武)、斎藤佑樹(日本ハム)、福井優也(広島)はもうひとつ伸び悩んでいるが、有原航平(日本ハム)は新人王を獲得し、茂木栄五郎(楽天)もリーグを代表する内野手に成長している。
3位は15人を輩出している東海大(首都大学リーグ)。人数は立派だが高校のランキングでも触れた菅野智之(巨人)、田中広輔(広島)の二2人以外がもうひとつ戦力になっておらずりきれず、チームもかつては無敵だったチームも現在はリーグ戦で3季連続優勝を逃すなど、かつての栄光に陰りが見られるのが気がかりである。
戦国東都から輩出されたプロ選手
4位以下は亜細亜大(15人)、青山学院大(15人)、東洋大(15人)、中央大(13人)、日本大(11人)と東都大学リーグのチームが続いている。亜細亜大は東浜巨(ソフトバンク)、九里亜蓮(広島)、山崎康晃(DeNA)とエースが3年続けて上位指名でプロ入りし、いずれも戦力となっている。また大学時代に全く実績を残せなかった薮田和樹(広島)も今年は一軍に欠かせない存在となっており、投手陣の充実ぶりが目立つ。
青山学院大は過去2年間は2部リーグでの戦いとなっており、現役でも目立つ活躍を見せている選手は少ない。昨年の終盤にホームランを量産した2015年ドラフト1位の吉田正尚(オリックス)の台頭に期待したいところだ。
10位にはいわゆる“地方大学”である白鴎大(関甲新学生)が10人でランクインした。レギュラーと呼べるのは岡島豪郎(楽天)だけだが、昨年は大山悠輔(阪神)と中塚駿太(西武)の2人が上位指名でプロ入りしており、非常に勢いを感じる大学である。
首都圏集中型から地方分散型へ
リーグ別で見ると東都大学が105人でダントツの1位。1一部2二部に所属する12大学すべ全てからプロ選手を輩出しているのは、“戦国東都”と呼ばれるリーグの厳しさとレベルの高さをよく表している。
2位の東京六大学に続いて3位に入ったのは関甲新学生リーグだ。先述した白鴎大だけでなく、リーグ戦で王者として君臨している上武大も8人を輩出しており、安達了一(オリックス)、井納翔一(DeNA)などはチームの主力に成長している。牧田和久(西武)もこのリーグの平成国際大出身だ。これらの選手は高校時代はに無名だった選手がほとんどであり、指導力の高さは全国でもトップのリーグと言っても過言ではないだろう。
地方では7位タイにランクインした東海地区大学リーグも勢いがある。菊池涼介(広島)、則本昂大(楽天)と2二人の侍ジャパンを輩出しただけでなく、14年の野間峻祥(広島)、昨年の吉川尚輝(巨人)と次々と1位を輩出している。昨年の大学選手権では吉川を擁する中京学院大が初出場初優勝を成し遂げており、リーグ全体のレベルも年々向上している。
独立リーグが新たなプロ供給源となる
続いて社会人だが、JR東日本が17人で1位となった。2位で並んだトヨタ自動車、日本生命の9人を大きく引き離しており、まさに頭一つ抜けている状況だ。顔ぶれを見ても十亀剣(西武)、吉田一将(オリックス)、飯田哲也(広島)など、大学時代には主戦ではなかった選手たち達をうま上手く開花させていることがよく分わかる。スカウティングだけでなく確かな育成力があるチームということは間違いない。
4位は8人を輩出したHonda、JX-ENEOSでいずれも名門だが、6位には06年創部のセガサミーが7人でランクインした。宮崎敏郎(DeNA)、浦野博司(日本ハム)といった地方大学出身の選手が成長し、プロでも戦力になっているところは見事だ。
最後に独立リーグを見てみると、香川(四国)が2位の徳島(四国:11人)を大きく引き離す21人でトップとなった。これは社会人チームでトップのJR東日本をも上回る数字である。選手個人を見ても又吉克樹(中日)は独立リーグ史上最高順位の2位で入団しており、その後の活躍は見事と言う他ない。また21人中14人が育成ドラフトでの指名だったが、そのうち9人は入団後に支配下選手登録を勝ち取っている。亀澤恭平(中日)、水口大地(西武)、篠原慎平(巨人)などはその代表格だ。
ルートインBCリーグに所属している球団では、武蔵がリーグ戦参入一年目にいきなり5人の選手をNPBに送り込んだ。その中から三ツ間卓也(中日)が支配下登録され、今シーズンはセットアッパーとして大車輪の活躍を見せている。これらの実績から考えても、今後独立リーグがNPBのさら更に重要な選手供給源になることは間違いないだろう。
1位には名門3校が並ぶ! 過去10年出身高別プロ野球選手輩出ランキング
3月のコラムで掲載した「高校別プロ野球選手輩出ランキング」。これはあくまで現役選手に限ったものだった。より直近の勢力図を見るために、今回は過去10年間にプロ(NPB)に入団した選手の出身校をランキング化することにした。なお、社会人と独立リーグについては複数のチームを経てNPB入りしている選手もいるが、そのようなケースは各カテゴリーの中でドラフト指名時に所属していたチームのみをカウントした。また、育成選手としての入団も対象としており、指名を拒否して入団しなかったケースは対象外としている。
甲子園の出場数、勝利数ランキングから見る強豪校
3月19日に開幕し、熱戦が続いているセンバツ高校野球。来年夏には大きな節目の100回目となる全国高校野球選手権が行われる。これまで数多くの名勝負が繰り広げられ、その時代を代表する強豪チームが出現してきたが、近年では環境の変化により地域のレベル差も少なくなっている。そこで今回は過去10年間の春、夏の甲子園大会での成績から現在本当に力のあるチーム、地域はどこなのかということについて検証。甲子園での勝利数を07年〜16年の春夏20大会、甲子園出場回数についてはそれに加えて17年の選抜大会も含めた21大会の記録を適用した。
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今春から導入されるタイブレークに、夏の大会の外野席の有料化と中央特別席の全席前売り、指定化など、選手権大会100回の節目の年となる今年は“高校野球改革”の1年となりそうです。自らも甲子園に“観客”として球場に足を運ぶ球技ライターの大島和人氏に、高校野球変革がもたらす影響について寄稿いただきました。(文=大島和人)