プロ志望届提出へ ドラフトの超目玉になった清宮

ラグビー・ヤマハ発動機ジュビロ監督の克幸氏を父に持ち、リトルリーグの世界大会に優勝した中学1年生の時から関係者の話題では知られた逸材だった。早実進学後も1年生から甲子園で2本塁打を放つなど順調に成長を続け、世代を代表するスラッガーに。先日カナダで行われたWBSC U-18ベースボールワールドカップでも主将としてチームを引っ張り、2本塁打を放ったが、大会中には、大学進学か、プロに進むのか決めかねているという発言も見られた。

注目の会見では、「より高いレベルでプレーしたいと思いました」とプロ志望表明の理由を述べた清宮。米MLBでの活躍を目標に掲げていたこともあり、各メディアや評論家からは、大学進学、プロ野球のほか、米大学への進学などさまざまな進路を推す声が挙がっていたが、最終的に清宮が選んだのは日本球界での成長だった。

■今後のスケジュール
10月12日 プロ志望届締切り
10月26日 2017年ドラフト会議

 ※現時点でのプロ志望届提出者はこちらで確認できる

全日本高等学校野球連盟全日本大学野球連盟

史上最多指名競合になるのか? 過去の競合例は?

「清宮次第で大きく変わる」と言われていた今年のドラフト。各球団のスカウトは、今日の正式発表でさらに動きを活性化させることになる。早くも野茂英雄、小池秀郎の8球団競合を超える史上最多の指名競合か?と騒がれ、一躍ドラフトの超目玉になった清宮。過去の指名競合選手を見てみると、高卒では1995年、近鉄、中日、日本ハム、巨人、ロッテ、オリックス、ヤクルトの7球団が指名したPL学園高校の福留孝介が最多となっている(近鉄が交渉権を獲得したが、日本生命へ進んだ)。

6球団が競合したケースは、東京6大学三冠王など、数々の記録を更新した早稲田大学の岡田彰布、K・Kコンビで甲子園を席巻した清原和博(PL学園高)、高校・大学社会人のドラフトが分離式で行われていた時代に指名が集中した大場翔太(東洋大)、2009年の菊池雄星(花巻東)、10年の大石達也(早稲田大)などがあった。

5球団競合は、初先発の巨人戦でノーヒットノーランを達成した近藤真市(当時は真一、後に改名/享栄高)、2位指名ながらヤクルト、広島、巨人、ロッテ、ダイエーが競合した岡幸俊(高知商高)、最速157キロを記録した“みちのくの奪三振王”佐藤由規(仙台育英高)、大場翔太・加藤幹典とともに“大学BIG3”と呼ばれた長谷部康平(愛知工大)、2年生時に甲子園で1試合22奪三振という新記録を達成した松井裕樹(桐光学園高)、2016年の田中正義(創価大)、佐々木千隼(桜美林)の例がある。

4球団が指名した選手には江夏豊(大阪学院高)、江川卓(法政大)、原辰徳(東海大)、松井秀喜(星稜高)、田中将大(駒大苫小牧高)、中田翔(大阪桐蔭)などその時代の球界を代表する選手が名を連ねる。

過去の指名競合選手のリスト振り返るだけでも、選手名を目にするだけで、それぞれがその後に歩んだ道のりが浮かび上がってくる。ドラフトにまつわるドラマは、プロへの出発点に過ぎないが、その後の人生にも大きな影響を与える一大イベントでもある。

「自分を厳しく指導して、成長させてくれる球団を」

会見で自ら進みたい球団を問われてこう答えた清宮。複数球団競合となった場合は、指名権の行方はくじ引きに託されることになる。

「夢は変わっていない」

力強く語り、日本プロ野球界に進むという決断を下した18歳には、どんな未来が待ち構えているのだろう。運命の第53回ドラフト会議は10月26日、グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われる。


<了>

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VictorySportsNews編集部