サインを書いて新幹線に乗り遅れ? ハマの番長の“神対応”

 球団社長として「ファン目線」「観客ファースト」を徹底してきた池田氏は、現役時代、丁寧なファンサービスで知られた三浦氏を「チームにとって“特別な選手”」と評します。

 三浦氏のファン対応といえば、ファンにサインをしていたら移動の新幹線に乗り遅れたという神対応エピソードが有名です。

三浦「あれはちょっと恥ずかしかったですよ。ホームでサインをしていて、パッと見たら新幹線が動いていて。もう恥ずかしくて恥ずかしくて。ホームから一回降りて、チケットを買い替えて次の新幹線車に乗ったんです」

 照れくさそうに語る三浦氏ですが、球団社長として“番長”の行動を見てきた池田氏は、「お客さまの大切さを知っている」選手こそ、これからのプロ野球に必要な人材だと語ります。

池田「やっぱり番長はファンサービス、お客さまの大切さをすごくわかっている選手ですよね」

三浦「ファンにはいろいろ助けてもらいましたからね。サインできる時は応じます。もちろんできない時はすみませんって断りますけどね」

池田「そんな番長から見て横浜のファンってどうですか?」

三浦「本当に温かいですよね。苦しい時も、勝てない時も、シーズン終盤で順位が確定した後でも、その日の勝ちを信じて球場に来てくれたり、テレビやラジオの前で応援してくれてますから」

子どもたちに夢を! 賞も受賞した活動の数々

「いま、ファンがこれだけ増えたというのもうれしいですね」と、目を細める三浦氏。池田元球団社長の下、観客動員数が大幅に増えたベイスターズ。立場は違えど、横浜スタジアムを満員にした立役者といっていい2人に共通するのは、「ファンを大切にする」という姿勢でした。

池田「『三浦大輔選手グローブプレゼント』というイベントで、毎試合子どもたちにグローブをプレゼントしていたじゃないですか? あれ、結局、いくつプレゼントしたんですか?」

三浦「どうですかね? いつから始めたんですかね。ハマスタの内野のネットがなくなるというので、ファウルボールが飛んでくる回数が間違いなく増えるなと思ったのがきっかけだったんですよ。僕らが子どもの頃は、球場に行く時にホームランボールとかファウルボールを捕るためにグローブを持って行ったんですよ。そういう子どもが少なくなってきたなっていうので、じゃあグローブをプレゼントしたらどうかっていうのが最初でしたね」

 小学生以下の子どもに、ホームゲームの毎試合、5つのグローブをプレゼントするこのイベントは10年以上にわたって続き、プロ野球選手に憧れる少年少女がハマスタに足を運ぶ理由の一つになっていました。

池田「あれをもらった子どもたちはすごい喜ぶんですよ」

三浦「うれしいですね。『グローブを飾っています!』とか、『布団の中まで持っていって寝ているんです!』とか、お手紙をいただいたりするんですよ。実際にボロボロになるまで使ってくれて、『サインが消えたんでもう一度書いてください!』って言われた時もうれしかったですね」

 選手が横浜の小学校を訪れて児童に夢を語る「星に願いをプロジェクト」も2005年、三浦氏が球団へ提案したのがきっかけとなり、10年以上経った今でも続けられている大切なプロジェクトです。三浦氏は、「グローブプレゼント」や「星に願いをプロジェクト」などの活動を通じて、2007年、プロ野球選手の社会貢献活動を表彰するゴールデンスピリット賞を受賞しています。

再びユニフォームを着る日は『いつの日か』

 現在は球団のアスペシャルアドバイザーを務める三浦氏。クライマックスシリーズ進出に向けて正念場を迎えた18日には、ロッカールームを訪れ、試合前の声出しを行ったことも話題になりました。

 声出しの際にも「選手からも結構いじられた」と笑う三浦氏ですが、池田氏は、こうした三浦氏の同僚と接し方を見ていて気が付いた点があると言います。

池田「選手たちにとってすごく怖い存在ではなくて、年齢も近いし、いじれる部分もある。ちょうどいい存在なんでしょうね。でも、選手への影響力はとても大きいんです」

 リーダー像の話が出てきたところで気になるのは、やはり三浦氏がハマスタにユニフォームを着て戻ってくる可能性について。

「やっぱり将来の監督・コーチなど、自分でどういうビジョン持っていますか?」という池田氏の問い掛けに、「いずれは戻りたいなって気持ちはもちろんあります」と答える三浦氏。

 続けて、昨年行われた引退セレモニーでのラストソング、矢沢永吉さんの『いつの日か』に込められた思いを語ります。

三浦「あの曲が本当に自分の心、気持ちを代弁してくれているんです。あの歌詞を使いたかったので。『いつの日かまたこの場所で会おう』っていう自分からのメッセージも込めてあの曲にさせていただきました」

「いずれ」はいつになるのか? 三浦氏は「横浜で25年やってきて、横浜の世界は知りましたけど、今は外の世界を見ているところ」だと言います。

 盟友ともいえる三浦氏の現場復帰について語ることを「こそばゆい」と語る池田氏は、「そういう流れだと思うし、みんなが求めている」と三浦氏の今後の活躍に期待を込めます。

池田「外の世界を学んでいるということですが、一番刺激になったのはどのあたりのことですか?」

三浦「息子が高校生になったので、高校野球を見ながら、アマチュア野球の全体像も見ましたね。あとは、アメリカに行かせていただいて、他球団の野球も見て、いろんなもの見ながらもう一度勝負したいって気持ちがちょっとずつ湧いてきています。ただ、こればっかりは、戻りたいって言っても戻れるものでもないですからね」

池田「やっぱり勝負したい?」

三浦「そうですね。現役で投げる勝負は終わりましたけど、指導者としての勝負、またいずれユニフォームを着たいなと思っていますけどね」

 引退後の時間を「外を見る機会」と捉え、「準備はしています」と力強く語る三浦氏。これまでと違うさまざまな野球に触れて、パワーアップした“ハマの番長”が戻ってくる日は意外に近いのかもしれません。

<了>

取材協力:文化放送
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