池田前社長がラミレス監督起用を決めた想い

池田氏は16年をもってすでに球団の社長を退任しているが、今回の日本シリーズ進出で、多くの人からメッセージをもらったという。

「メールやフェイスブックなどで、たくさんの『おめでとう』『ありがとう』というメッセージをいただいた。僕はもう辞めてしまっているので、お礼を言われる立場にはないのですが。ラミレス監督や選手たちはもちろん、球団スタッフ、そして何より、DeNAベイスターズを愛するファンの方々と、横浜の地で球団を支えてくれている皆さんに、この場を借りてお礼と、『おめでとうございます』と伝えたいです」

アレックス・ラミレス監督と池田前社長はベイスターズの「同期」に当たる。ラミレス監督は現役時代、ベイスターズの親会社がDeNAに変わった2012年にチームへ加入した。

池田前社長は「選手時代から、彼はずっとマネージャー(監督)を目指していると明確に僕に言っていた。だから、僕もそういう目線で彼を見ていた」と説明する。社長と選手という立場だが、二人の共通語である英語で盛んにコミュニケーションを取っていたそうだ。

ラミレスは2013年にベイスターズを離れ、14年に独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手を引退。その後はオリックスの巡回コーチなども務めていたが、二人のコンタクトは続いていた。

15年のオフに中畑清監督が退任し、後任にラミレス氏の名前も挙がった。しかし球団内からも異論はあったという。「ゲッツ」などのパフォーマンスで明るいイメージのあるラミレス監督が「中畑前監督とキャラクターが被るんじゃないか」「選手より目立ってしまうのではないか」というような危惧もあったという。

池田氏も「『観客を入れたいだけ』『人気取りのために監督を選ぶのか?』みたいな意見がたくさん出て、否定的なことを言われた」と明かす。しかし、高田GMを交えた三者面談の際に、ラミレスが自ら提案資料を準備して熱い想いを伝えてきたこともあり、彼を起用しようという考えは、さらに強まっていった。

監督選好で重視した2つのポイント

池田氏が監督の選考で重視したポイントは「選手とのコミュニケーション能力」と「心の安定」だった。ラミレス監督のスタートは散々なもので、16年の4月を終えた時点でチームは9勝18敗で最下位に沈んでいた。しかし、そこでラミレス監督の「心の安定」が発揮される。チームは5月を16勝7敗で乗り切ると、そのまま初のクライマックスシリーズ出場を決めた。

池田前社長は振り返る。「彼はどんなに負けても、常に平常心だったんです。だから選手が動揺しなかった。指揮官が安定していると、選手も安定する。モチベーションのコントロール自体は選手の問題ですが、監督はモチベーションを落とさない、動揺させない、選手を迷わせないというのが大切なんです」

時には大胆すぎるほどの“勝負師”的な采配で、19年ぶりの日本シリーズ進出をDeNAベイスターズにもたらしたラミレス監督。ソフトバンクとの日本シリーズでも、その“平常心”を武器に、さらなる驚きを野球ファンに与えてくれることを期待したい。

<了>

DeNA アレックス・ラミレス監督 選手を目覚めさせる思考(前編)

昨シーズン、新人監督のなかで最も高い評価を受けたのが横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督だろう。チームを11年ぶりにAクラスに導いた手法は見事の一言。そして、決して諦めることのないポジティブ・スピリッツと、選手たちを見放さない信頼の厚さ――若い選手たちはラミレス監督の応えようと頂点を目指し奮闘した。そんなルーキー監督の思考に迫る。

VICTORY ALL SPORTS NEWS
山崎康晃 プロフェッショナルとしての心技体(DeNA)いつか「ハマのファンタジスタ」と呼ばれる男・濱口遥大(DeNA)【池田純コラム】今の野球界には、監督にふさわしい人材が少ない

【\横浜優勝/】横浜DeNAベイスターズ 19年ぶり日本シリーズ進出!

\よこはまごうがい!/

VICTORY ALL SPORTS NEWS

VictorySportsNews編集部