
スノーボード
平野歩夢はなぜ負けた?「かっこよさ」と曖昧な採点基準を考える
絶対王者ショーン・ホワイト(アメリカ)の金メダルで幕を閉じたスノーボード、男子ハーフパイプ。平野歩夢との異次元の争いは、間違いなく平昌オリンピックのハイライトの一つでしょう。「平野が3本目であの滑りをしていれば」「ミスがあったショーンの点数が高すぎる」など、物議を醸した採点を巡る議論が噴出したのも記憶に新しいところです。採点競技が多い冬のオリンピックの中でも特に異質なスノーボードの採点基準とは? よく使われるフレーズ「かっこいい」「スタイルがある」とは? 平昌でその魅力を知った人も多いスノーボードの採点について解説します。(文=大塚一樹)
株式会社Gifut代表 スポーツMC/アナウンサー 2018/03/01 18:10
スノーボードフリースタイルのジャッジの資格を持っています。今回の採点を僕なりにお伝えすると文中にもある『総合的な印象』というのはやはりジャッジの主観です。それはスノーボードの歴史とも多く関わっているものです。ストリートから産み出されたスポーツだからと言ってしまえばそれまでです。平野選手も金メダルに匹敵する滑りでした。ひとつホワイト選手が上回った、もしくは試合巧者だったのは予選を1位通過したことです。これで決勝が最終滑走となり、最後の最後でジャッジにアピールできる順番となりました。ジャッジはそれぞれレンジ(得点の範囲)で順位をつけます。もし平野選手が3本目にどれだけパーフェクトランをしても99点までしかいかなかったでしょう。それは最終滑走のホワイト選手がそれ以上の滑りをしたら最高点の100点を残すためです。しかも過去のX-GAMESとW杯で100点を出しているホワイト選手。平野選手に勝つためには予選を1位通過し最終滑走になるしか勝つ道がない、そう挑んだ結果だと考えます。『総合的な印象』を最後の最後に見せつけ、ジャッジの主観を味方につけた勝利と言っていいでしょう。
もっと読むfangate(株) 代表取締役/一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事 2018/03/04 11:49
自分は正直この競技の結果において勝った、負けた、採点基準が…というような感情も感想も持たなかった。演技終了後のショーンホワイト選手の平野歩夢の演技を見てモチベーションが生まれた。自分を後押ししてくれた選手への感謝とリスペクトを表現した。一方の平野もショーンの演技を見て素直に賞賛し、自分がそれ以上の演技をすると言う謙虚なコメントを残していた。競技の格好良さ、行う選手の外観の格好良さ、それ以上に彼らのマインド、スポーツマンシップの精神が格好良かった。
もっと読むスタンフォード大学フットボールコーチ 2018/03/06 12:23
解説者が抽象的でおもしろかった印象がある。オリンピックで解説する人が『かっこいいですねー、美おしゃれです』って表現するぐらいなんで、採点基準のゆるさも推して知るべし。まだまだ新しいスポーツなんで、これからいろいろ決まっていくんでしょう。個人的には、そういうスポーツの方がすきだなぁー。
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