日本学生野球憲章には、こう記されている。「学生野球は、学生野球、野球部または部員を政治的あるいは商業的に利用しない」(第2条4項)。施設使用料と設営費のためにダンス部が設定した500円の入場料が商業的な利用にあたるというのが高野連側の見解だ。
「いつも応援してくれるチアガールのために、野球部員が舞台にあがる。しかも入場料は500円でどう考えても利益が出るわけがない。それを商業利用だとして処分するなんて、高校生の健気な気持ちを傷つけるような行為だと思います。こういうことをしているから、若い人に閉塞感が蔓延する。前例がないからと、すべてを否定していたら新しいムーブメントは起きない。このニュースを聞いて、悲しい気持ちになりました」

日本学生野球憲章が制定されたのは、1950年。もちろん健全な学生スポーツの運営上、必要なことも少なくないが、近年では“時代遅れ”という指摘も少なくない。
「高知商業野球部の問題からは少しずれますが、野球はユニフォームや道具などお金のかかるスポーツです。強豪校ともなれば、遠征や合宿も多く、親の負担も大きくなります。高校サッカーではすでに企業のスポンサードなどが認められていますが、野球だけは頑なにそれを拒んでいる。誰かが儲けるわけでなく、それが学生スポーツの発展につながるなら、認めてもいいのではないでしょうか。そもそも新聞社が主催している甲子園大会やその放送などは、商業利用になっていないのかという疑問もありますよね」

いまだ坊主頭が当たり前の高校野球。時代にあわせて変革していくためには、高校野球界にも前例重視の管理調整型ではなく、パイオニア型のリーダーが必要だと池田氏は語る。
「でも実際に“高校野球村”で、そんなことを言い出すと、組織から排除される可能性がある。だからこの問題をおかしいと思っても、内部からは誰も声をあげないんです。本当は、スポーツ庁などがしっかりと検証すべき問題だと思うんですが、鈴木大地長官のコメントは『個人的には、もう少し寛容でもいいんじゃないかと思います』という第三者的なもの。これでは何も変わらない。高校生たちが、健全に、いきいきと野球を楽しめるように、前例にとらわれずトライすることを認めるリーダーが登場すべきだと思います」

スポーツ庁は、何のために存在するのか?前例にしばられ、旧態依然としたスポーツ界を改革するためではなかったか?若者がいきいきとスポーツを楽しめる世の中を作ることが、スポーツ庁の仕事なのではないだろうか。


[初代横浜DeNAベイスターズ社長・池田純のスポーツ経営学]
<了>

取材協力:文化放送

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VictorySportsNews編集部